見出し画像

万華鏡

書道家の米早食です。
万華鏡といえばディヴィッド・ヴュリュスターが偏光の実験の途中で発明したもので1817年に特許を取得しました。
初期は科学の道具として発明されていたものですが、玩具として急速に複製され、イギリス生まれの万華鏡は1819年にはすでに日本に輸入されておりました。
「紅毛渡り更紗眼鏡」などと呼ばれ、大阪では偽物が出回るほどの人気となりました。

今ではテレビゲームなどが小型化し娯楽のあふれる時代ですので、万華鏡がそれほどもてはやされるなど信じられないかもしれませんが…
機会があれば万華鏡を覗いてみてください。
見始めると、何かTikTokを見始めたらボーッとみてしまう感覚で幾何学的にその形を変える姿に目を奪われてしまいます…

この万華鏡の美しさは自然が生み出した偶然の上に存在しており、何千回と繰り返せば同じ形になる時もあるかもしれませんが、基本的にその形はその一瞬のみ存在していて、その刹那の美しさが人の心を惹きつけるのです…
かの現代音楽の雄、ジョン・ケージは楽譜をあえてしっかりと書かず演奏者に裁量を任すことで唯一無二の音楽を生み出し、偶然を芸術にまで高めました。
書道も同じく、何度書いても同じ作品というのは生まれません…私は万華鏡のように私自身が作品にならなくてはならないと考えていて…いつも墨をするところから作品作りは始まっていると自分に言い聞かせております。
私というフィルターを通した時に、私の書は万華鏡のようにキラキラとその姿を変える…そんな書道家に私もなりたいと思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?