見出し画像

2024/01/24の日記

6時起床。寒いし眠い。

この世はいつも厳しい

身分帳
身分帳

やっと読めました。

人生の大半を獄中で過ごしてきた山川一。
山川は40代半ばで刑期を終え、ついに社会に戻ってくることになった。
昭和61年にのことである。
もちろん頼れる人も金もないが、ある弁護士が身元を引き受けてくれることになった。
弁護士のおかげで東京に風呂無しアパートを借りる。高血圧でまともに働くこともできないが、行政や周囲の保護を受けながら車の免許を取ったり、とにかく社会の中で生きていこうとする。
元暴力団員の山川は必ず筋を通す性格ということもあり、周囲とぶつかってしまうことになる。読みながら「ああ、山川さんそんなことを言ってはダメだよ」と感じてしまうことになる。

山川は身寄りのない子供だった。
子供の頃から周囲に馴染むこともできず、色々な施設、少年院を転々としながら結局は暴力団の構成員となってしまう。
こう書くと、今風な言い方をすると「自業自得」な人生と言い切ってしまいそうになる。
だが、ひとりの人間を作るのは周囲の環境や、誰かの手助けである。不幸にもそれを得ることができなかった山川を誰も責められるわけがない。
人にはそれぞれの事情があるのである。

物語の後半、山川は自分のルーツを見つけに行こうとする。
福岡のお寺で、そのお寺にまつわる伝説のようなものを知った時に、その話が荒唐無稽なものであるにもかかわらず、なにか自分の人生に重なるものがあるように感じてしまう。
人のルーツとは不思議なもので、そんなものどうでもいいという考え方もできるし、ルーツから自分が得られるものもあるとも考えられる。
山川はどう感じたのだろうか。

物語としては、「人情」を感じるものであった。
いい人たちがたくさんいるし、騙そうとする人もいる。
全て含めて人情である。