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【雑記/紹介/応援】いざ妖精の住む福島文学へ#創作大賞感想

 福島太郎という方をご存知でしょうか。

 大量にkindle出版をされ、記事の最後には必ずと言っていいほど宣伝(または猫の写真)を挟んでこられる御仁。ガッツリ交流されていれば当然ご存知かと思いますが、袖振り合う程度のご縁の方に誤解の無きようお伝えしておきます。

Amazonからのロイヤリティを含む収益は、毎月記事にて報告し、全額をNPO法人へ寄付されています。

 記事を見れば宣伝、会えば宣伝、口を開けば感想文依頼と、もうなんか圧がすごい笑 でもこの圧は、自らの懐を温めるわけでも猫のチュールのためでもない。地元のためだと知っていれば、「あれ、今日宣伝少なくない?」と逆に求めている自分に出会えます。


 福島県の公務員として生きる福島さんは、地元を舞台にした作品を書かれています。先日の文学フリマで購入させていただいたこともあり「妖精奇譚」のご紹介です。



 舞台は福島県の田舎、銀山町。平成3年の話です。
 当時の日本はバブル経済ですが銀山町には何の恩恵もない。そこで町長が思いついた「妖精の住むふるさと」という町おこし事業を、町に縁のない新規採用の田中が担当することになります。

 この、妖精で町おこしに至った理由がこちら

「とばっちりで申し訳ない。けど企画課としてもとばっちりなんだ。まずは『なぜ妖精』ということだが、去年の秋に県の教育委員会が実施している『ネイティブの生きた英語を子どもたちに』という英国人講師派遣制度で、南会津地方の小中学校を対象に英国人講師が派遣されて町長が表敬訪問を受けた。その時に英国人講師から
『銀山町は神秘的な雰囲気で妖精が住んでいそう。英国にもこんな素敵な場所は無い』
という話をされて町長が舞い上がり『妖精の住むふるさと』という町おこしを思いついてしまった。

第3話より

 無茶苦茶やん、と思われますよね。でも恐らく企業・自治体などの組織に属したことがあれば、なんとなくわかります。この「何故これが通った?」みたいなやつ。偉い人の思いつきを誰も否定できず、下々が体裁を整えるやつ。失敗すれば下々の責任で、成功すれば偉い人の業績になるやつ。

 でもこういう奇抜な話はこの流れでしか実現しないのです。下から上がれば当然潰される話なのです。面白がって乗ってみる、というのが実は最善策でもある。がんばれ田中。

 そういえば、全世界で放映されている超人気作品アニメ「呪術廻戦」の七海建人の最後のシーン。美しい海辺を頭に思い浮かべて、「マレーシア……そうだな、マレーシア……クアンタンがいい。なんでもない海辺に家を建てよう」とつぶやいたシーンがありました。
 これを見たマレーシアのパハン州は大歓喜。七海の記念碑を建てようという案が出ていました(実際建つのかは知りません)。
 銀山町のノリは、これに近いと思います。


 その他、田舎あるあるかもしれないエライへの根回し、その順番、飲み会(というか宿泊)がイコール会議の場といった、良くも悪くも日本らしいリアルを感じるお話。

 ストーリーはもちろん、そういう空気感を感じるのもこのお話の良さだと思います。




 福島文学は地元を題材にしたお話です。したがって、実際に存在します。

 福島県金山町にある妖精美術館。


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