【ショートショート】毒吐く南瓜#毎週ショートショートnote
事務所に帰るとすぐに高塚課長が、お疲れ様、と声をかけてくる。
私は笑顔で返事をする。全身を舐めるような視線に気づかないふりをして。
ああ、面倒くさい。どうしてそこに南瓜があるの。
高塚課長はジャック・オー・ランタンに似ている。顔も似ていれば体形も。
ろくに仕事も出来ないくせに、バブルの時代からこの会社に居座るお局様。
頭がいいから、こんな資料すぐにできちゃうのね。
打たれ強くて良いわね。私ならそんなの耐えられない。
スタイルが良くて羨ましいわ。ほら私、Eカップだから着られる服が少なくって。
仕事しながら結婚できるってすごいわよね。私なんて仕事の事しか考えられないから、恋愛なんて無理だったわ。
口を開けば嫌味、嫌味、嫌味。それがあなたの仕事ですか?
今日は珍しくいないと思ったら、ぎっくり腰で入院ですってね。ご愁傷様。
もちろん、南瓜パイを持ってお見舞いに行くわ。
心配しないで休んでください。貴女がいない方が会社はちゃんと回りますから。
(410字)
前回に引き続き、たらはかに(田原にか)様の企画に乗っかっています、のパート2。
今回のテーマは「告白」「雨雲」ですが、裏テーマは「毒吐く南瓜」。
普段文章を書かない、フィクションを書いたことが無い人にこういうのを見せたときに、「いつもそんなこと考えてるんだ、怖w」とか思われるのが嫌いです。
そんなこと言ったら、綾辻行人や貴志祐介は快楽殺人者だし、京極夏彦は半分くらいもののけだ。
いやむしろ、いつもそんなことを考えているのか。誰も考えつかない、思いつかないだろうことを必死に。
(独白ひよこ)
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