【ショートショート】てるてる坊主のラブレター#毎週ショートショートnote

「去年もらったのがあるよ」

　彼女から手渡されたてるてる坊主。僕はカバンにつけた去年のを持ち上げてみせる。

「こういうお守りは一年って決まってるの。今年も心を込めてつくったんだから」

　彼女はお揃いのてるてる坊主を笑顔の横で振ってみせる。

「今年の大会も晴れるといいね」

　僕は真っ白なてるてる坊主を受け取り、そうだねと笑う。

　去年の大会の前日、彼女はてるてる坊主を差し出し告白してくれた。それからちょうど一年になる。

　帰宅すると新しい方をカバンにつける。古い方をゴミ箱に捨てかけて、ふと魔が差す。中身を見たくなるのは理系男子の性だ。

　首元の紐をはさみで切り広げると、白いハンカチに黒っぽいものが包まれている。きれいに丸められたひと房の長髪。ハンカチには油性ペンでびっしりと文字が書いてある。

ナガセハルトハアマノミワノモノナガセハルトハアマノミワノモノナガセハルトハアマノミワノモノナガセハルトハアマノミワノモノナガセハルトハアマ

（４１０字）

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たらはかに（田原にか）様のいつもの企画への参加です。

今回のテーマは「てるてる坊主のラブレター」。月イチのお題甘口祭りだそうです。
文フリ会場でお会いしたときに、月イチで甘口を入れますと予告され、じゃあその時に参加します、と答えた手前書いてみましたが……はて、甘口とは。
中華は辛いから無理と駄々をこねたら、韓国かエスニックが出てきた気分です。

でもきっとこんな中でも「方眼紙フェットチーネ」で書くドSな諸先輩方がいらっしゃあると思うと、これ以上は何も言えません🐤