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短歌9

頬をつけ体全体船を押す三月四日の月の湾に似て


ちいかわのスプーンと皿でカレーの日 犬、ゲージから上目遣いで


夜を抜け新札幌に帰り着く二人きりのバス君は起きない


こんなぼく光の速さで置いていけ地下鉄の鳴くちゅんちゅん聞きつ


手のひらのお菓子わたしは少なくて45度の思考が出来ぬ


ペンを刺す何度も何度も死んでいる一番最初の雁を狙う


春穿つ雪割りの音骨響く一方的に無条件にて


おでこだけ触ってくれる熱ならばたまに嘘だよ白い夢見た


白鳥の運河今年も見に行こう異国の粒子吸い込み飛べる


最終便心細くて空港で早足になるとても寒いし


公園で切り抜いたとこ見られてた5回点滅の約束をも


夜の中頁をめくる雪と雨闇が大好き換気扇の音


バファリンが一つで効く半分は優しさで出来 からっ風の夜


今なら熱あるのにひとりぎゅーができない本屋の夢だ




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