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結婚について考えたい


けっ‐こん【結婚】

[名](スル)夫婦になること。(デジタル大辞泉)


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去年の12月末から、訳あってアパート生活を中断し実家に住んでいる


やはり家に誰かがいる環境は良い

朝目が覚めると洗濯機を回す音が聞こえる

ごはんを一緒に食べる

「ただいま」と家に帰れば、「おかえり」と迎えてくれる

「おやすみ」と言い、寝る


1人の時間が持てないことに息苦しさを感じ、家出するように一人暮らしを始めたあの頃と、今は全く逆の気持ちだ


実家には父と母がいる

2人は仲が悪いわけではないが、そこまで良いわけでもない

ゆえに、

なんで結婚したんだろう?

と思うことがたまにある


趣味も合わなければ、食べ物の好みも合わない

父はインドア派だが、母はアウトドア派だ


そんな2人が結婚し、子供を産み育て、私が存在する

両親が結婚していなければ、今ここに”自分”という人間が存在していないと思うと

なんだか凄いことのように感じる


逆に言えば

なぜ、趣味も好みも合わない2人が
結婚し、子供を産み育てるという
凄いことをしようと思ったのか

私は分からない


両親に聞いてしまえばすぐ答えが得られそうな気がするが

その返答次第では、
『ふたりごと』- RADWIMPSで
"お前" がつぶやいたように

私の命がすべて嘘に変わるかもしれないので聞かない

怖くて聞けない


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年末に親戚の集まりがあった

大量の食べ物を各々つつきながら、当たり障りのない会話をする

「もうすぐ卒業だね」

「就職は決まったの」

お決まりの質問に、お決まりの答え


「実家は良いでしょ」

というおばあちゃんの問いに

「そうだね。アパートだと帰ってきても誰もいないから寂しいしね。」

と、用意していた答えを返した


するとおばあちゃんは、

「早く結婚することだね」

と言った


この返答は想定外だった


そういう時代に生まれた人なんだ
そこに他意も悪気もない

頭の片隅では分かっているものの、

抑えきれない拒絶感が

「絶対嫌だわ笑」

と口走ることによって精一杯の抵抗をしてみせた


口走った直後、"正解"ではない答えを言ってしまったことに焦り

「いや、友達がよくアパートに来るし自分も友達の家行くし」

(別に結婚という形を取らなくても解決できるし)

と、自分で自分をフォローをした


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両親の結婚、祖母が言った結婚が理解できず、
あまつさえ拒絶反応を示したのは

その行為自体にメリットを感じないからかもしれない

私は、日本の制度が想定しているように
子供を産み育てることはできないし
控除など、制度的優遇措置を受けることもない

一方で、同じような境遇にある人でも
"結婚"という形を取る人もいる


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両親がした結婚

祖母が言った結婚

今の社会制度では想定されていない結婚


改めて辞書を引いてみる

けっ-こん【結婚】

[名](スル)夫婦になること。(デジタル大辞泉)


本当はここに載らなかった意味があるのかもしれない

あるいは辞書の意味が間違っている可能性さえ考えられる

どちらにせよ、言葉が持つ意味は1つとは限らない
同じ言葉でもその意味は必ずしも一致しない



今はまだ、どの結婚も分からない

どれも絵本のおとぎ話のように感じる

私にもいつか分かるだろうか

結婚指輪の画像を添付し、#幸せとハッシュタグをつけて呟く日が来るのだろうか



おわり


#エッセイ #結婚