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どうして日本ではピルスナーばかり流通してるの?

こんにちは!
クラフトビール専門ポータルサイトを運営しているビールの縁側です!

コンビニやスーパーなど、どこでも手に入る大手ビール会社の缶ビール。
そして、居酒屋やレストランで飲めるグラスやジョッキに注がれたビール。
皆さんは、その色や味を想像してと言われたら、どんなものを思い浮かべますか?
大半の方は、黄金色すっきりとした味わいのビールが浮かんだのではないでしょうか? 私もその一人です。
でも、どうして売ってるビールの大半は明るい金色で、キレのある味わいなの? そう思ったことは無いでしょうか。


以前の記事でお話した通り、日本には約800ものクラフトビールブルワリーがあります。
日本にブルワリーはどれだけあるの?|ビールの縁側|産地直送クラフトビールECモール (note.com)

しかし! それでも、日本に流通しているビールの大半はクラフトビールブルワリーで作られたクラフトビールではなく、大手ビール会社が製造しているビールです。
更に、その大手ビール会社の主力商品はどれもピルスナーというビールになります。そう、このピルスナーが先程皆さんが(多分)思い浮かべたピルスナーです!
それを考えていると、ある疑問が頭に浮かびます。
そもそも、何故日本ではピルスナーばかりが流通しているのでしょうか?
今回はその疑問を解消すべく、調べてみました!



ピルスナーはどんなビール?

そもそも、ピルスナーってどんなビールを指すの? と思われた方もいるのではないでしょうか。今更かもしれませんが、改めて特徴を見てみましょう!

  • アルコール度数4~6%

  • 麦わら色~黄金色の明るい色をしている

  • 苦みと炭酸が強く、すっきりとして爽やかな味わい

そうそう、これこれ! という感じですね。飲み会などでまず最初に皆で乾杯するイメージの、あのビールです。
ビールの縁側にもピルスナーについてのコラムがありますので、是非読んでみてください。ビールの縁側で販売中の、おすすめピルスナーもご紹介しています!
ピルスナーとは?味の特徴や歴史について (beer-engawa.com)

日本のビール醸造の歴史

さて、それでは本題に戻りましょう。
何故日本で流通するビールの大半がピルスナーなのか? です。
日本にビール自体が入ってきたのは江戸時代にまで遡りますが、その頃のビールはどれも海外で醸造され、輸入されたもの。
今回はきちんと日本国内でビールが醸造された頃からの歴史を取り上げてみましょう。

ウィリアム・コープランドとスプリングバレー・ブルワリー

日本で最初にブルワリーを開いたのは、ノルウェー系アメリカ人のウィリアム・コープランドでした。
彼はドイツ人の醸造技師に師事し、ビール醸造の技術を学んだ後、1864年に横浜へとやってきます。その地で彼が開いたのが、日本初のブルワリー──スプリングバレー・ブルワリーでした。
元々コープランドは横浜に住む外国人居住者向けにビールを販売していましたが、1880年代には日本人向けのビールの販売も始めています。この時既に、コープランドは日本人向けのビールとしてサッパリとした味わいのビールを販売しています。そう、ピルスナーのようなビールですね!
醸造の才能はあったものの、商売の才能には恵まれていなかったコープランド。次第にブルワリーの経営は悪化していき、1885年にはスプリングバレー・ブルワリーは公売に欠けられることとなりました。
これを買い取ったジャパン・ブルワリーが数年後に販売したビールが「キリンビール」です。今のキリンホールディングスの原型となったのが、スプリングバレー・ブルワリーだったんですね!
その施設を元としたキリンビールがピルスナーであったことも、納得できる気がします。

日本の気候とビールの味の関係

次に気になるのは、何故日本人向けとしてピルスナーが人気だったのか、ということです。これは日本の気候が関係しているのかも……?
日本はビール発祥の地であるドイツと異なり、高温多湿の国。
特に夏は、まったりとした飲み口のビールよりもキリッとしてのど越しの良いビールが好まれるように思います。
暑くて汗も噴き出る空気の中、よく冷やしたピルスナーをぐいっと飲む……。想像しただけで、美味しそうです!

下面発酵

また、ピルスナーが下面発酵で醸造されることも流通の主流となった要因の一つと言えるでしょう。
ビールの発酵には上面発酵と下面発酵があり、ピルスナーを含むラガービールは低温で発酵する下面発酵酵母を使用したビールです。
雑菌が繁殖しにくく、上面発酵のビールと比べて日持ちもします。
酵母の発酵条件から昔は寒い季節にしか作ることのできなかった下面発酵ビールですが、現在は冷却設備の発達によりいつでも醸造が可能です。
賞味期限も長く、大量生産に向くビールが流通の主流となっているわけですね!

まとめ

今回は「どうして日本ではピルスナーばかり流通しているの?」というテーマでお届けしました。
様々な理由が合わさって、あの黄金色のキレのあるビールが主流となっているわけですね。
いつでも飲める、大手のピルスナーも美味しいですが、クラフトブルワリーのピルスナーも種類が豊富です! 知らないビアスタイルを求めて冒険するのはちょっと怖いけれど、いつもとは少し違うビールを飲んでみたい……。
そう思われている方は、まずピルスナーのクラフトビールを試してみるのはいかがでしょうか?
お付き合いいただきありがとうございました!

なお、この記事の内容は諸説あるものやライターの個人的な見解を含んでいます。ビールの世界は非常に広く深いので、様々な情報や意見が存在します。
もし間違いや補足すべき点がありましたら、どうかご容赦ください。皆様のご意見やご感想もお待ちしております!

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