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映画で知り、本で生き、舞台で弾ける。

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映画、本、観劇の記録です。 この3本の柱でわたしは成り立っています。
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2021年6月の記事一覧

[映画] 明日の食卓

子どもを産んだこともない、ましてや育てたこともない私が、この映画の感想を語るなんてどうなんだろうと思いながら、でも観た以上は自分なりの考えを書いてみようと思う。母親になった経験はないが、子どもになった経験はある。どちらかに偏ることなく書くのはとても難しい。癌になった経験のない人は癌患者の気持ちがわからないように経験のないことを語るのは、想像力が必要だ。 物語は...石橋あすみ、石橋留美子、石橋加奈という同じ苗字を持つ3人の主婦が主人公。この3人は住んでいる地域も違うし、生活

日常性というこのもっとも平凡な秩序こそ、もっとも大きな罪がある

占いと予言の違いは何なんだろうか?
この本「第四間氷期・安部公房」を読み始めた私の最初の疑問だった。

予言機械なるものが作り出されたところから物語は始まる。 

『地球にある陸地は水の底に沈んでしまう。
異常気象、温暖化、人間のエネルギー大量消費による二酸化炭素の増加...
そのような原因から、いずれ海面が高くなって...』
現在のニュースでも時々聞くような台詞だ。
これが62年前に書かれた小説だというのが信じられないくらいの生々しさがある。 

そしてその来る日に備え