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映画で知り、本で生き、舞台で弾ける。

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映画、本、観劇の記録です。 この3本の柱でわたしは成り立っています。
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2021年4月の記事一覧

すべての道は舞台に通ず

2021.4.17(土曜日) Go watch a play 2  ざぁーざぁーと激しい音がしている。走る車の音もタイヤに水気を含んでいるようでスムーズではない。昨夜、お芝居の帰りは傘もささないでいいくらいの小雨だったが、いつの間にか夜は明け本降りになっていた。 その雨のせいか今朝は少し肌寒く、リビングの床暖房をつけた。猫も嬉しそうにお腹を床にペタッとつけてくつろいでいる。私も夫も床にペタッと座り、テレビでニュース番組を見る朝だった。政治家の言葉は私たちの耳を通り抜け雨の

羊は安らかに草を食み

怒涛のうちに『羊は安らかに草を食み/宇佐美まこと』を読み終えた。読み終えたからといって怒涛の勢いが終わったわけではない。私はこの感想文を書くにあたって、何を伝えたらいいのか、自分は何を伝えたいのか、とても悩んでいた。戦争の悲惨さか、人の一生の辛さややるせなさか、それとも老いていく人間の尊厳か...。 「もうすぐ桜が咲くわねえ」 「そうね。またお花見に来なくちゃ」 優しげなタイトルで老人たちの他愛ない会話から物語は始まる。しかし実際はそんなに甘いものではなかった。 益江

そうして私たちはプールに金魚を、

「ポジティブ、怖っ」「ポジティブ、怖っ」「ポジティブ、怖いよ」「つまりね、この街で生まれた時点で死んでんのよ、生まれてこのかたずっとゾンビよ」 女子中学生の仲良し4人組のこんな台詞からこの映画『そうして私たちはプールに金魚を、』は始まる。知人に「あなたの好きそうな映画よ」と勧められて観たが、確かに好きな映画だと思った。2012年に埼玉県で実際にあった事件を元に作られた映画で「第33回 サンダンス映画祭」のショート・フィルム部門にて、グランプリを獲得している。 2012年の