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映画で知り、本で生き、舞台で弾ける。

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映画、本、観劇の記録です。 この3本の柱でわたしは成り立っています。
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2020年9月の記事一覧

これもまた幕末の青春の証拠

「チーム・オベリベリ/乃南アサ」を読み終えた。 ひとことで言うなら圧巻であった。私の知らない歴史がここにあった。 明治十六年、英学塾の学友だった依田勉三・鈴木銃太郎・渡辺勝の三人は北海道開拓を決意、「晩成社」を立ち上げて同志を募り、十勝の原野に入植した。彼らが選んだ地はアイヌの言葉でオベリベリ。今の帯広である。十五年で三千万坪を切り拓く予定だったが、厳しい自然やバッタの害などで開墾は遅々として進まない。女性を含めて三十名いた開拓団も脱落者が相次ぎ、どんどん減っていく。そん

現実という話のつづき

「百年と一日/柴崎友香」を読み終えた。 この本を読んで思ったことがある。おもしろい本とはどういうものなのか?恋愛、サスペンス、時代、ミステリー、人生ドラマ...いろいろな分野があり、それぞれにドキドキしたりハラハラしたり切なくなったり悲しかったり抱腹絶倒だったりと数々の事件や出来事が起こる。それらが豊富であればあるほどおもしろいと思っていた時期もあった。でも最近は「そうでもないかもしれないな」と思うようになった。以前、江國香織さんの「去年(こぞ)の雪」を読んだ時もそう思った