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【作編曲】Key(調)を決める根拠

このDTM時代、コロコロ転調していくポップスに耳が慣れてきてKey(調)のことはあんまり考えずに作曲する人が増えてきたように感じます。それは個人的にはとても素晴らしいことだと思っているし、今後もKeyに依存せず音楽が進化していくのを期待しています。
それはそれとして、クラシック界隈では「調には意味がある」と言われています。中には作曲者信仰的なものもありますが、作編曲者目線で、気楽で簡単に、具体的に、Keyが音楽にどういう影響を与えるのかを書き記しておきます。
とっても簡単なことなので、初心者の方も一読くだされば。


1.メインの楽器(歌)が演奏しやすい=いい音楽になりやすい

まずシンプルに、主旋律(メロディ)を演奏する楽器が演奏しやすいKeyがあります。例えばトランペットだとB♭が演奏しやすいです。管弦楽法についても楽なKeyがあります。楽器の特性として『楽なKey』があるのですね。

楽なKeyであれば演奏者のプレッシャーは軽くなり、結果的に快適で明朗な音楽になっていきます。
これは必ずしも「そうした方がいい」という話ではありません。あえて難しいKeyにすることで得られる倍音感、雑味も音楽のエッセンスになりますから、作者の意思による選択肢のようなものです。たとえばポップな雰囲気の曲ならば楽なKeyに、切ない曲想なら難しいKeyにする、といった感じです。

歌の場合は、メロディの音域がボーカリストにとって歌いやすければ良好な録音が期待できます。すっごい低いとか、すっごい高い音程は歌いにくく、難易度に気を取られて歌詞や情感まで気が回りにくくなるものです。
作曲してみて、一般的な音域から逸脱する場合、そのセクションを転調して楽な音域にすることがあります。「歌のために転調する/Keyを決める」は編曲の基本といっていいでしょう。

歌のKeyに合わせることで楽器的に難しいKeyになる、なんてことは日常茶飯事ですから、プロの演奏家は様々なKeyで演奏できるよう日々鍛錬をしているのですね。


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