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民泊が”国策”である5つの理由 ③金融政策

北陸応援割、街を行き交う多くの訪日外国人……。観光関連の話題が絶えない昨今。それもそのはず、日本政府は今、なんとか観光業を盛り上げようと、さまざまな政策を施しています。

他人事? いえ、誰でもこの国策に乗っかりビジネスができるチャンスがあります。

それこそが民泊なのです!

では実際にどんな政策があるのか? 改めて概要を整理すべく、今回は「金融政策」編をお届けします。

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日本旅行は割安に

これまで、民泊が”国策”である理由として、日本政府が①観光政策に力を入れていること。そしてその柱のひとつが「インバウンド」であり、海外からの誘客のために積極的な②ビザ政策を進めていることを挙げてきました。

日本へ行ってみたい! ビザも楽ちん! …しかしお金がなければ旅行はできません。

大きなハードルとなる金銭面。これもまた、日本政府の政策によって、訪日外国人にプラスに働いています。いわゆる「円安」という為替の動きです。

2011年、1ドル70円台を推移していたアメリカドル為替レートは、2024年現在1ドル150円あたりを前後しています。同じ1ドルに対して、日本円を2倍以上払わなければならない状況、すなわち「日本円」が「安い」という状況です。

これはドルに限った話ではなく、ユーロ、ポンド、人民元、バーツ…と、ほとんどの通貨に対しても同じです。世界の主要通貨の中で唯一日本円だけが、どんどん安くなっています。

その結果、外国で外国の為替で稼いでいる人にとって、日本への旅行が割安になってきています。

円安で日本旅行はお手頃価格に

なぜ円安に?

では円安はなぜ起こっているのでしょうか? 今後も続くのでしょうか?

今回は、ごくごく簡単に、金利と国債という二つの観点から「金融政策」*をみてみようと思います。

*国の金融面からの経済政策。主に物価の安定、適切な雇用水準の維持、為替相場の安定を目標としている(みずほ証券 「ファイナンス用語集」より)。

1. 短期的影響:金利

一つ目は物価を安定させるための金利政策です。

2024年3月、日本銀行は「マイナス金利」を解除し、金利を引き上げることを決めました。なんでも17年ぶりというから大きな決断です。しかし海外では近年、より早く劇的に利上げが進んでいます

例えば長期金利。先進国の様子をみてみると、コロナ禍を経て経済が回復してきた2022年以降、足並みを揃えるようにグッとその数字を上げています

20年間の長期金利の推移(%)。出典:OECD (2024), Long-term interest rates (indicator).

このグラフの緑色・日本だけが、直近1〜2年、0〜1%の間に留まっています。2〜5%の間に位置する諸外国に出遅れている状況です。

すると、ドルやポンド、ユーロでお金を預けておけばより利益が出るから、日本円を売って、儲かる通貨に預け替えようと考える人が増えます。普通預金でも利率4%の口座と0.002%の口座だったら前者の方がいいですよね。

その結果、日本円に価値が見出されなくなる=円が安く見積もられる=円安が進む、という流れが起きています。

上のグラフを眺めると、緑のラインが急激に黄色や赤のラインに追いつくことは考えにくいです。よって、日本でも金利の引き上げられたとはいえ、少なくともしばらくは、円安の傾向が続く可能性が高いといえそうです。

2. 長期的影響:国債

二つ目は国債。つまり国の債=借金です。

これまた海外と比較すると、日本はトップクラスの借金大国であることがわかります。

債務残高の国際比較(対GDP比)。出典:財務省「わが国税制・財政の現状全般に関する資料

借金があまりに多いと、「日本政府って信用できるのだろうか」「日本の経済って危ないかも」と考える人が増えます。すると、今のうちに日本の国債or日本円を売ってしまうおう。そしてより安全そうな海外の金融商品にお金を回そう。なんなら買い物や旅行に使ってしまおうという機運が高まります。

その結果、日本円が安く見積もられ=円安、さらには、日本円が市場に出回りすぎる=インフレという動きが進みます。

インフレとは、お金の価値が下がること。同じ1個のおにぎりを買うために、昔は100円だったところ、今150円必要になることです。この時、おにぎり1個に対する日本円の価値は、2/3に下がっています。

より簡単にいえば、我々が日々の生活で直面している「値上げ」です。

生活は苦しくなるばかりで悪いことのように思えますが、実は日本政府はこのインフレをある程度望んでいます。逆接的ですが、それは借金を返済するためです。

100万円の借金がある場合、額面が同じでその価値が2/3になれば、言ってみれば、今67万円で返済するのと同じくらいの労力で完済できます。借金を負っている国としては、インフレになる方がラクなのです。

したがって借金超大国であり続ける以上、長期的な日本の金融政策もまた、大なり小なり円安+インフレに向かうようなものであり続けると予想されます

日本円の価値は今後も下がる!?

以上のことから、円安傾向&日本円の価値の低下=訪日観光客に優位な状況は当面続く、と考えられます。

そして、彼ら外国人旅行者にニーズが高い宿泊施設、それこそが民泊です(②ビザ政策編参照)。

今回みた金融・経済の傾向(現実には他にも膨大で複雑な因果が絡み合っています)は、「インバウンド」が一時的なトレンドではなく、長期的な成長分野になれる可能性を示唆しています。

その意味で、民泊は将来性のある新たなビジネスとしても、十分に勝算があります。

最後に

今回は、政府の金融政策について、訪日観光客にとってメリットである円安の背景を大まかにまとめ、民泊の可能性を考えてみました。

ポイントは、

  • 日本政府は観光政策の柱として訪日外国人の誘致に力を入れている

  • 「円安」は訪日外国人にとってプラス

  • 円安には金利や国債などが絡んでおり、今後もおおむね同じ傾向が続きそう

  • 旅行しやすい状況の訪日外国人が好む民泊は、ビジネスとして勝算あり!

以上4点です。

民泊は誰でも始めることができます。今からでも遅くはありません!

文=町田紗季子

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