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オンラインマーケットも抱える即売会、技術書典について語るよ

https://techbookfest.org/

技術書典が今月25日まで、つまり明日からの祝日から週末でのピークを迎えて閉会する、みたいな気配がありますので
ここでちょっと話しておこうかなと。

技術書(薄い本)の即売会

技術書典というのは元々同人誌の即売会でして、と言ってもエッチな本だったり二次創作だったりを配布してる場所ではなくて、
技術書、つまり特定のプログラム言語だとかインフラとか、あるいはもっともっとニッチな事について書いた
マニアックな薄い本を、人々が思い思いに配布している場所なのである、と。

これをお聞きの方はコミケ、コミックマーケットに足を運んだ事はおありでしょうか、
コミケもまた即売会ではありますが、さすがに巨大過ぎ、
ぶっちゃけコミケと、コミケ以外の即売会ではかなり体験に違いがあります。
どちらも良いものですが。

私の場合はゲームとかなんですが、ツィッターで耳にして、
そういった類の即売会の第一回、第二回に勇気を出して行ってみると、
きっとそのスケールの小ささ、
でも配布している人、あるいは運営との距離の近さというのが凄く身近に感じられるのではと思います。
サークルが10コ、一般参加者、見に来た人ですね……は俺を入れてフロアに二人だ、みたいな世界ですからね。

あぁそう、知らない人に注釈を付けると、
コミケは大体半年に一回ですが、実は東京では小さい物を含めると、
毎週なんかしらの即売会がどこかで行われている、という位なのですよ。
コロナでさすがにそこも断絶しがちになってしまっているのが、気になる所ですが。

そんな訳で、小さい即売会というのは
まさにコミケにも今でも理念としては残っている、
お客さんってのは居ない、一般参加者がいるのみだという、あの本当の所がある訳ですね。
左を見ても右を見ても、まあ自分自身もそう、そのジャンルを好きな人しか居ないという。
良いじゃないか、分かってるだろ? どうせ同じ穴の狢だ、っていうね。
見知らぬ人なのに、心は通じ合っているんだろうな、みたいな奇妙な信頼感。
これを技術書に当て嵌めると、まぁその会場に居るほぼ全員がIT関係者という事ですね。

即売会を始めたばかりだと当然、運営側としてもノウハウが不足していて、
予測してなかった細々とした問題が起きる訳ですけども、
それに対して、まさに運営自身も熟練したIT関係者な訳ですから。
その解決にすら技術者的アプローチを試みてたり、面白いものですよ。
そういった事をパンフレットというか、運営からのお知らせみたいな冊子で毎回読めて、
それが楽しみでしたねえ。

会場の大きさがこれだけで、机のスペースがこの数だけあって、
サークルの配置も、Rubyみたいなバックエンド、JavaScriptみたいなフロントエンド、あとハードウェアの人は別々の所にしたいよね……
みたいな要望があって。
じゃあどういう風に詰め込めば、一番効率的な配置になるのか、
それをプログラム的に求める、みたいな話も読みましたねえ……。
まさに現実の問題をプログラムで解いておる訳です。

そんな訳で技術書典と、あともう一つ、双璧を成すように技術書博というのが技術書の即売会としてある訳ですが、
この二つに明確な違い、転機が訪れたのはやはり昨年のコロナ以降でしょうか。

技術書博は先月6/19日に実際の即売会を行いましたが、
一方で技術書典の方は、まだ基本的にオンライン上での即売会といった体裁。
一応、トライアルとしてリアルでもやったみたいですが、
ここも現金のやり取りは一切禁止、
運営が配るアプリをあらかじめインストールして、それで決済しましょうと。
こうする事で接触時間を減らす、あと即売会にありがちなお金のトラブルを減らすという事ですね。
入場前に当日券を購入したり、それに際してスマホ持参が絶対だったり、
だって俺らエンジニアじゃん? というのを強烈に打ち出しているかなと。

コロナを機会として、むしろITでよりこの状況を御(ぎょ)してやる、コントロールしてやるのだと、
大きく舵を切った者として、恐らくですが、即売会として日本では最速かなと。
そりゃそうですわね、そういう事をやるとしたら即売会もエンジニアに頼むでしょう、
で、そのエンジニアがまさにここに居るんだという。

通販+オンラインマーケットも抱える技術書典


でもう一つ面白いのがオンラインマーケット。
技術書典のサイトに行けば分かりますが、普通に同人誌を売ってる、決済も通販もするよというサイトを構築してるんですね。
強調すると、即売会の運営側がこれを作ってる訳ですよ。
ちょっと振り返って欲しいんですが、即売会のサイトに行って、参加サークル主とかはともかく、
そこから頒布してる物を通販で買えるよってサイト、見た事あります?
私は他に知らないですね……

運営が中でどれだけ苦労してるかは分かりませんが、こうなるとまぁメロンとか虎の穴より、
ある意味で、かなり使い勝手の良い同人誌のECサイトが登場していると言えるかも知れない。

一つに中の人がエンジニアだからという事もあるかと思いますが、
もう一つは扱ってる薄い本が技術書オンリーだから、ってのもありますね。
そういう意味で並べて語られるべきはamazonかなと思ったりもするんですが、
いやあ、あっちを見渡してもこっちを見渡しても
自分の興味ありそうな本ばかりが並んでる……ってかなり良い体験ですよ。
あ、無料の同人誌とかも割と配られてて、
通販の事を先に言いましたが、もちろん、サイト上での購入も出来ますから。
それでとりあえず無料のをDLって経験をしてみて、で確かめたら、おぉ本棚にさっきのが入ってる、
そのまま読める、ってね。
そんな事があると、ついつい浮かれて買い過ぎちゃいそうな感じ。
そう、これってまさに即売会ならではの気持ちで、それをネット上にある程度再現してみせてるって意味では、
とても有意義かなと。

ただこれは自分があんまり電子書籍……、ipadの扱いに慣れてないからかと思うんですが、
今のところwebサイトのみでアプリが無いみたいなんですね。
でipadで本棚にある本を読もうとすると、Google chromeとかでそのまま開く。
この操作性がね、もうちょっとズームしたかったり、
どうにも腰を据えて真剣に読むにはまだ足り無いかなーという感じ。

んー、多分私がipadの設計思想をあんま分かってなくて、PCみたくダウンロードしたものを好きな場所に置いて、
対応したソフトで開かせろよって思うんですが、それが出来ない? のかな…。
周り見ても自分の好きな物ばかりだとか言って、全然ITオンチじゃねえかという。
まぁ下手の横好きという事っで……。

だからまぁ、私が本格利用を考えるなら通販ですかね……
まぁそんな選択肢の幅もありがたい。
思えばipadでの読書体験から、通販までがシームレスってのもなかなか無いのではないでしょうか。
虎の穴とかなら通販前提だし、無料でDLして読める本とかも無い、よね?
amazon kindleには通販に対応してない物も多いでしょう。あれは技術書の薄い本っていうより、電子書籍って感じですからね。

コミケもこの仕組み導入せんかな


そこで思ったのがまぁ、かなり無いものねだりではあるんですが、
コミケもこんな風に対応したらなあと。
まぁ絶対誰か言ってそうですが、コミケのサイトから、その回のコミケに出された本の通販や電子書籍を参照したいですよね?
それこそスペースをがーっと見て回れて、購入だっていう……

webサイトの古さを見てもどうも付いて行けてないというか、もちろんそれぞれの作者の権利とかもあるかと思うのですが、
もしコミケくらいの巨大規模でそういう事が可能になったら、
今はDL同人と言ったらDLsiteだFANZAだなんて争ってますが、そこに突如、第三勢力が登場するかも知れない。
しかもそれはエロだけじゃなく、技術書みたいな、一般の同人誌が好きな時に売れる場所かも知れないんだ、という。
余談ですが、そうなった時に読み物として、普段使いのブログとして、noteと接続するのも面白いかも知れないですね……
まぁそういう夢だったり、あとは、技術書典のオンラインマーケットの形式はPDFかな?
PDFなら自動翻訳みたいなツールも有効そうで、そうなると海外的にも、かなりアクセシビリティ上がるんじゃないかと…。

しかしコミケくらいの規模になると、通販だけでもとんでもない量の置き場が必要になりそうではありますね……
いやそれ以上にサーバーがドえらい事になるのか?
まぁ通販の置き場の方は、どうせならリアル書店を作ってみたら面白いのになって。
秋葉原もコロナでだいぶ空き店舗増えて寂しい事になってますし、在庫兼、店舗だと。
まぁエロはともかく、一般の薄い本の書店では赤字になっちゃうんですかねえ……

秋葉原でもcomic zinとかありましたっけ、
何かそれぞれの趣味を抱えた人が活動をして、そんな人の本が海外からも、そして店舗でも売れる。
それが出来たらすげぇ文化的って感じがするよなぁって……。
そして実際、その足元くらいは見えてるんだから…。


これはコミケに望むビッグスケールな訳ですが、
一方で技術書博の方は、あんまり拡大化を急いで欲しくない気持ちもあったり。
そりゃあ運営はエンジニアだし、そしてサイトは出来てんだから、
これを他の即売会に売り込むとかも考えられるんですが、
ただ個人的なワガママとしては、もうしばらく、この周りを見たら興味ある物ばかりって状態であって欲しいかなぁ……と。

それくらい居心地良いものでした。
あとは私自身の課題ですが、ipadで快適に読める手段を見付けねば……うーむ。


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