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お歯黒を再現したら、時代劇は革新的な美になるだろうね

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時代劇なんか見てると頭の片隅でずっと気になってるのが、『お歯黒』なんですよね。
まぁあぁいった物の時代考証は常々言われてますが、ともかくお歯黒っていうのを、当時、既婚の女性は嗜みとしてやってたと聞きますから、それは相当な数に登るハズですが、それをきちんとしてるドラマなり映画なりって見た事がない。

まぁやらない理由は明確で、いちいち喋るその歯が黒かったらもうなんか不気味、作品以前の話で、内容が全然入っていかへんってのは分かるんですが、そうなると余計気になるのが、じゃあなんで当時はお歯黒してたんだ? と。
一切調べずに今喋ってますけども……。

あれは当時でも不気味だったのか、それとも文化的な側面が強かったのか。
よく、妻を醜くして他の男に取られない為だなんて囁かれるんですが、それって夫も嬉しくないから随分と代償でかいなぁとか、第一そんな事をしてもやっぱり当時長屋ですから、割と不倫してた、なんて話は落語でも結構聞く話で。

でまぁそこで暫く考えたんですが、やはりこういう時に重要なのは、その当時の価値観、物の見方に立ってみる事ですね。
昔の日本人っていうのは色にまつわる言葉がとても多く、言われるのが、昔の日本人は今は見えない物を見ていたんだ、そういう捉え方をしていたんだ、とかありますけども。

で当時を考えてみると、そもそもの話、ちゃんとお化粧をする、いわゆる紅を引く様な派手な化粧をするのって、芸者くらいじゃなかったんじゃないかと。
もし現代の標準的なお化粧で居たら、相当遊びまくってるみたいな印象になるんじゃないでしょうか。
そこから景色が違う訳ですよね。

で当時は芸者というのが遊郭として、まったく別世界に住んでる訳ですから、そことは割と一線を画するというか、庶民の美っていうのは別だったのではないか。

つまり遊郭のはすっぱさに比べて、既婚者だけが出来るよって事でのお歯黒となると、もしかしたら、当時はあれが成熟した大人の落ち着きであったり、ちゃんとしてる女性みたいな美しさを表していたのではないかと。

黒と言えば、今でも伝わっている物として喪服がありますよね。
喪服の黒っていうのがあって、ああいうシックさとして、お歯黒もあったのではないかと。
ただ喪服と比べて今に伝わってないのは、やっぱ歯に塗るってのは、ちょっと手間が掛かるよなぁ……と。
なかなか装飾や化粧としてはなかなか見ない方法であって、面白いんですけどね。
ちょっと思い付くのはラッパーのグリルズくらいで。しかもこっちは超シックだぞという。

で、そこで思うのは、人々がちゃんとお歯黒をしている、それをシックな絵面としてやれたら、あるいはそういう映像を作ろうとする事自体が、かなり革新的な時代劇になるんじゃないかなあ……なんて思うんですが。

北野武監督の映画がキタノブルー、あと庵野監督は赤色っていうのにかなり前からハマっていますし、そこで黒という色を、日本人の色彩としてどう捉えるか、そういう話な訳です。

*この音声はライセンスフリーです、自由に使って頂いて構いません

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