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アイルランド紀行vol.13「メガネ君の敗北」

「日本人は英語を学校で6年も勉強するのに、文法ばっかりだからしゃべれるようにならない」とかよく聞く話。

文法大事だけどねー。
間違った発音するのが恥ずかしい、とかつい意識してしまう。

留学、というか英語の国で数週間、数ヶ月過ごすと、ちょっと耳や口のストレッチができてくる。
それと、他の国のひとたちが、文法も発音も結構間違いだらけでも平気で英語しゃべってるのを見聞きすると、
「なんだ完璧にしゃべらなくても伝わるのか」
と気づく。

で、とりあえず間違いを恐れずにしゃべってみると、案外通じる。

相手にとっても「リスニングの間違い探しテスト」じゃないもんね。
三単現のsが聞こえてようが聞こえてなかろうが関係ないよねそりゃ。

きれいな発音より正しい文法より、ヨーロッパサッカーの選手を知ってるほうがよっぽど会話が盛り上がる。
クリスチャード・ロナウドとメッシだけじゃ、ちょっと盛り上がらない。

とはいえ語学学校のクラスでは英語の文法の試験がある。
ここはがんばりどころ。
日本のセンター試験なめんなよ。
文法偏重教育の成果として高得点を取ってクラスのヒーローになりたい。
実際、クラスメイトの日本人は文法テストの成績は良く、蔵田もがんばっててほめられておった。

しかし、そこへ登場したチェコ人のスザンナ。
彼女はスピーキングスキルが高い上、文法テストもいつもだいたい満点。
こちとら1〜2問はつい間違っちゃうのに、彼女はほぼノーミス。

さらに、チェコ語以外にもドイツ語がalmost(だいたい)分かるとか言ってた。
だいたい分かるのかよ。
隣国だから?ずるくない?(ずるくない)

しかも、すげー性格が良くて、周りに困ってる人とかまだアイルランドに来たばかりの人にも優しく声をかけていた。

敗北だよメガネ君。
爽やかな敗北だよね。
ちょっとマネて来たばかりの人に優しく声をかけてみたけど、「いやお前はいい」的なリアクション。
敗北を重ねるメガネ君、21歳。
あっちはエースだ、戦う相手じゃないのだ。
ついてゆくのだ、むしろ。

以来思う、チェコ人とは素敵な人たちだと。
美味いビールがあって、サッカーが結構強くて、モルダウ川の流れる美しい国。
それがチェコなんだと。

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