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公園内の巡回警備に関する実証実験を実施...人材不足に対応へ、パーソルクロステクノロジー


パーソルクロステクノロジーは、2月27日~3月2日に開催した「あいちロボットトランスフォーメーション」で、3Dスキャナー搭載の自動走行ロボットを用いた公園内巡回警備に関する実証実験を実施したと発表した。実証実験の結果は、3月13日~15日に開いた「SMART MANUFACTURING SUMMIT BY GLOBAL INDUSTRIE」で報告したとした。

自動走行ロボットを活用した公園での巡回警備サポート

「あいちロボットトランスフォーメーション」は、愛知県がサービスロボット社会実装推進事業として開催している。商業施設や病院などの課題解決を目的としてロボット導入を目指すユーザーと、ロボット導入に知見のある専門家をマッチングし、新しいサービスモデルの創出に取り組んでいる。

そんな中、ロボット導入を目指すユーザーの1社として、名古屋「Hisaya-odori Park」指定管理者、三井不動産株式会社が「公園とデジタル技術の可能性を検証し、新たなまちづくりのモデルを創出する」ため、さまざまな課題解決ロボットを募集した。その結果、パーソルクロステクノロジーが提案したロボットが採択を受け、3Dスキャナーを開発するバイトムと共同で実験に参加することになったという。

実証実験では、「Hisaya-odori Park」には駐輪場があったが、駐輪禁止区域に多くの自転車があり、利用者の通行の妨げになるほか、景観の悪化にも影響している。放置自転車が多い場所は管理不十分との認識があり、犯罪が起こりやすい場所になるとの懸念の声もある。

しかし、1995年をピークに年々減少している生産年齢人口は、2050年には2021年から29.2%減の5,275万人になる予想もあり、警備の労働力が確保できなくなる可能性がある。そこで自動走行ロボットを活用し、広い公園での巡回警備サポートをロボットが補い、駐輪禁止区域の自転車を減らすことを目的として実証実験を行った。

設定したルートをロボットが自動走行、人材不足に対応

ロボットには、バイトムの3Dスキャナー「OWL(アウル)」を搭載。リアルタイムで3次元マッピングを行い、物体検知が可能となっている。データはネットワークを介し、PCやタブレットなどのデバイスで確認することができ、管理者は管理室から園内の様子をリアルタイムで知ることができる。

3Dスキャナーはカメラと違い、人物を物体として検出する。スキャナーの採用で、公園の利用者のプライバシーを守ることに留意した。通常のカメラでは弱くなる暗闇での物体検出も可能とした。

商業施設や公園、倉庫など場所によってロボットに求める機能や性能は異なる。一般的にはロボットを販売するメーカーでは汎用品を販売する。しかし、パーソルクロステクノロジーは汎用のロボットをベースとしたカスタマイズを施し、個別最適化を実現。ユーザーの課題を解決へと導く。

さらにバイトムの3Dマッピング用スキャナー「MK3」で、あらかじめ取得した公園全体の点群データと、3Dスキャナー「OWL」で検知したデータを合わせ、放置自転車を赤い四角で表示し、人の位置も把握可能とした。パーソルクロステクノロジーによると、公園を監視するデータは、アウル本体に保存。本体のデータ容量は1TBで、外付けHDDなどの利用で保存容量を増やせる。過去のデータはアウル本体にHDMI接続でモニターなどを接続し、本体内蔵のPCにアクセスすることで確認できるという。

実証実験では、リアルタイムで届く点群データにより、離れた場所からでもPCなどで放置自転車の特定が可能であることを確認。事前に設定したルートをロボットが自動走行し、警備員が歩き回ることはなく、人材不足に対応できることも実証したとした。

担当者「放置自転車に悩むユーザー多い」、実用化にも言及

本稿記者の取材に応じたパーソルクロステクノロジーの担当者は、公園の利用者から「ロボットに顔や口(音声)を付けた方が良いのでは」との意見があったとし、「実証期間中に道路、公園、商業施設などの管理者と話した結果、想定以上に放置自転車対策に悩んでいることが多い」と実情を明かした。

そして、実用化については「ユーザーから要望があったら導入可能」と回答。実証実験の意義を「仮想のテストフィールドではなく、実際の現場でロボットを実証できたこと」と回答した。

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