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Murder Mystery 【怪奇殺人】2

あの話からしばらくして、仕事に向かっていたある日、僕のシフトは深夜0時〜朝8時までの勤務だった

その頃の僕は Guest Service (フロントデスク)でアシスタントマネージャーとして働いていた

夜中のシフトだから、昼間みたいにクレーム言ってくるお客様が長蛇の列をなしてメンタルがズタズタになることもなく、基本的にデスクに立っていて目の前に広がるラウンジを監視していれば良い

又は、シャワー室の水が温かくならないとか、鍵を部屋に置き忘れて部屋に入れないなどの問い合わせの電話がたまにくるくらいだ

夜中2時を過ぎるとフロントデスクの裏にあるオフィスの整理整頓をしてまた3時くらいにはフロントに戻り、朝のシフトのクルー(スタッフ)を待つのが僕の普段のルーティンだった

その日も同じルーティンで2時頃になるとオフィスの片付けをしてフロントデスクに戻った途端、オフィスから物音が聞こえたので確認のために戻った

誰も居なかったが、さっき消した3台のパソコンのうちの一台の電源がONになっていた

僕はかなり几帳面な性格なので、消し忘れることは無いはずなのになと思いながらそのパソコンに近づいた

画面を見た瞬間、今まで感じたことのない恐怖を感じた
背筋が凍るような、冷や汗が出るような
確かに確認したのは自分の脈が一気に早くなった事だった

僕の目の前にあったのは、パソコンの起動後の画面などではなく、さっきまで誰かがメールをしていたことを感じさせるEメールのページ

そして、そこには2ヶ月前に自害したと言われている“ Kevin ”の名前がフルネームで書かれていた

そして、硬くてなかなか男性の力でしか開けられないオフィスから船のデッキに出る扉が少し空いていた

閉まっていたはずなのにどうして...

僕は今までこんな体験などした事が全くない
霊感なんてものも無いし
むしろその類の話は全く信じない方だった

その後すぐにフロントデスクに再度戻り、オフィスには絶対戻らなかった

朝のシフトのクルー(スタッフ)が来るまでの5時間がとてつもなく長く感じた
深夜シフトはいつも1人
これほど誰かと一緒に居たいと思ったことは無い
これほど誰かに早く会いたいと思ったこともない
その日からお客様もクルーも居ない深夜の時間は本当に辛かった

やっと次の引き継ぎのクルーがパラパラと出勤してきて僕のその日の任務は終わったが、急いで自分のキャビンに戻った

彼女の Marina にまず話したかったからだ
キャビンに戻ったら、ちょうど彼女が出勤の準備中だった

一通り夜中に起きた出来事をシェアした後、彼女からも僕にシェアしたいとこがあると告げられた

そして、彼女の話はさらに信じられない事だった



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