齢31にしてピアスホールを開けた話。
ピアスホールを開けた。
開けた直後の高揚感はなんだか既視感があった。
このじんじんとした痛みと、少し大人になったような気恥しい感覚。
痛みと興奮でアドレナリンが出ているのがわかる。
そうだ、
初めてのセックスだ。
情事に及ぶ前の、怖さと好奇心の入り混じった感情。
事後の「え?終わったの?…なんか痛いけど。そっか、これがセックスか。。。」というあっけなさと、照れくさいようななんだか大人になったような気持ち。
と、エモさに浸っていたのも束の間。
違う、これあれや。
抜歯のあとの痛みや。
ズキズキとかじゃなくてジンジンと重たい痛み、
歯列矯正のために歯を一気に2本抜いた時に似ている。
なんなら親不知を抜いた時でもいい。
なんや、めっちゃびびってたけど、私、歯4本抜いてるやん。
体に小さい穴開けるどころか
歯ぁ引っこ抜いてるやん。
何をビビってたんやろ。
ねぇ、お父さん、
「親から貰った体に穴開けるなんて」
そう言って、断固として反対したよね。
昔、私がピアス開けたいって言ったとき。
ねぇ、お父さん、
私、歯、4本抜いてるんだわ。
ちょっと出っ歯だったから。
小学生の時に連れてかれて、意味も分からず歯ぁ抜かれてんだわ。
親に貰った体の一部。
なんやったら矯正歯科医に
「あなたの場合、舌が長いので歯列矯正したとしても舌が歯を押してどうせまた前歯出てきます。なので舌を切りましょう」
つって、舌切られかけたんだわ。
結局、歯科医を変えたので切られずに済んだけど。
今年、32になる。
好きな人とセックスだってするし(好きな人じゃない場合もあるけど)
髪の毛も染めるし
ピアスだって開けるよ。
もしかしたらタトゥーも入れるかもしれない。
親からもらった大事な体だけど、
もう、わたしのものって思っていいよね?
わたしの意志で、
この身体はわたしと一緒に生きていくんやから。
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