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「言われたことをやらない子」と「言われたことしかやらない子」

プログラミングが上達するのはどんな子か?


「性格の悪い奴は受験で失敗する」

これは確かドラゴン桜のネタだったかと思いますが、先日、X(旧Twitter)で、ある人材コンサルタントの方が、「性格の悪い奴は成長しない」というコメントをしているのをたまたま目にして、そうかなぁ〜と思っていたのです。

わたしも実はサラリーマン生活結構長かったのですが、その中で「性格悪くても仕事はできる」という人間はけっこう見てきたような気がしますので、一概にそう決めつけるのもちょっと違うような気がしています…(^^;)

ただ、子どもたちとプログラミングを通じて向き合っていると、やはり何か新しいものを身につける際に「性格」というのは、大きなファクターになり得ると思うんです。要するに、プログラミングが短時間で出来るようになるか、ならないか、という点に、性格はかなりの影響を与えるものだと思うのです。

性格が良い、悪いというのは、かなり主観が入りますが、個人的には伸びない原因になる性格というのは、大きく分けて2つあるのではと思っています。

ひとつめは、

言われたことをやらない子」です。

いるんですよね。なんか「大人に言われたことをそのままやることを良しとしない」「必ず違うことをやって、困る人の顔を見るのが楽しい」みたいな振る舞いをする子がいるんです。まあそうでなくても、「自分のやりたいことしかやらない」という意識が強烈な子もいます。

こういう子は教室に来ても、まずわたしが用意したカリキュラムなんかやってくれません。ならば、カリキュラムから離れて「こういうの作ったら?」みたいな提案しても、たいていは採用してもらえません(^^;)。ローマ字タイピングのホームポジションだけは、比較的そういう子でも話を聞いてくれるケースが多いように思うのですが、それでもときどき、全部無視して自己流に積極的にこだわる子は現実にいます。「オレはこれでいいんだ!」みたいな宣言しちゃうことすらあります。

こういう子は、わたしが見た範囲では、たいてい認知力はそんなに劣ってないのです。むしろ認知力が高い方ではないかと思うんです。でも、これだと、やはりプログラミングやタイピングが上達するのに、時間がかかるようになるわけです。ちゃんとやってくれれば、もっと短期間に高いレベルに行けるのになあ….と思いつつ、こういう子がやる気になるツボはどこかみたいなことを考えるのですが、それがよく分からないまま終わってしまうようなこともあるんです。

ただ、この性格の中に希に「人から言われると、責められているような意識になってしまう」という子がいるんですね。「間違えることを異常に恐れる」というのも一緒かもしれません。わたしがプログラミングのことを一生懸命説明すると、「おなか痛くなっちゃう」とか、逆に攻撃に転じるのか「話を始めると突然反抗しはじめる」みたいな子がたまにいます。こういう子も、結果的に「言われたことをやらない」という性格分類には入るわけで、一言にこの性格といっても、かなり多岐にわたり、やっぱりひとりひとり、かなりパターンが異なるのですね。

さて、二例めですが、実はこちらは最初の性格よりもっと難しいパターンかもしれません。

言われたことしかやらない子」なんですね。

先ほどとは真逆のケースです。こういう子はたいていおとなしいし、わたしの話もよく聴いているように見えるのですが、あとから確認すると、何一つ覚えてなかったりとか、そういうことがよくあるんです。カリキュラムの課題はきちんとやってくれますが、課題が終わると、今やったワザ使って何か他の物作ってみようとか、今のゲームをもうちょっと改造してみようとか、そういうことは滅多にしません。そういう提案をしても、「いい」とか「次いく」とかの反応が多いです。そして、なんか妙に先に行きたがる傾向もちょっとあるかもしれません。そうして、カリキュラムで用意した課題が終わると、もう「何もやることがない」みたいな態度になっちゃうんですね。実際はほとんど何も身についてないのに….。本当は、そこがスタートラインなんですけどね。それじゃ困るので、あれこれいろんな提案するのですが、今度はあまりそれをやりたがらない。「好きなゲーム作ってみなよ」と言うと、「何も思いつかない…」とか言って、フリーズしたりします。Scratchのギャラリーのゲームで遊ばせて、「何か似たようなモノ作ってみなよ」と声かけても、だいたいが「ゲームで遊んで楽しかった」だけで終わってしまう。まあこういう子は、絶対わたしの話を聞いてくれないわけではないので、まあ手を変え品を変え、いろんなことを提案するのですが、なかなかやる気になってくれないことが多いです。まあこういう状態だから、プログラミングのスキルもなかなか伸びないケースが多いんです。

一方プログラミングが上達する子に共通するのは、「自分で何か作りたい」という意識が強い子だと思うのです。たとえば、ある4年生。2年生でうちにやって来た初日に開口一番「スーパーマリオの作り方教えて!」と言われて、ちょっとびっくりした子なんです。この子もあまりこちらのカリキュラムには乗ってくれないタイプの子でした。でも、とにかくいつも「自分で何か作りたいモノがある」状態で、しょっちゅう「これどうやればできる?」みたいな質問をされて、プログラムの定石みたいなものをずっと教えていたのですね。そうこうしているうちに、そういう定石がかなり定着して、いよいよその定石の応用みたいなことが自分でできるようになってきたのです。こうして最近急激に腕を上げて、かなり複雑なゲームも、きちんと動くように作り上げられるようになってきています。

もちろん、「性格」だけがキーになるかというと、実際は、「性格」×「認知力」の結果が大きいとは思います。そう考えると、それはもう生徒の人数分のパターンが存在するわけで、その中で「その子に対して」「何をやれば効率的なのか」というのが、常にわたしの問題意識ということなのです。精進します(^^)