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ワンオペ教室の生徒管理術

ひとりで何人まで生徒をみることができるのか?

わたしの教室は、これまでも書いてきたように、わたし1人だけで運営しております。いちおう株式会社という体裁にはなっておりますが、代表取締役がひとり(もちろんわたしw)いるだけで、それ以外に会計担当とかもおりません。子どもたちに接するのもわたしひとりで、アルバイト講師なども現在はおりません。典型的なワンオペ教室なのです。

この状態で、現在教室には60人以上の生徒さんをかかえています。この人数の生徒の現状や進捗をひとりで管理しているわけです。(1クラスは定員最大5名、ここに振替枠を常に1名分用意しているので、最大でも6名での運営です)

現在わたしの教室には、まだあと10名くらい入室余地がありますので、最終的に最大70人くらいの教室になる可能性はあるわけですが、今の感じから、おそらく70人くらいまではわたしひとりで十分管理可能だと考えています。

では、日常的にどうやって管理しているのかをご紹介しましょう。

まずは名札の作成

教室に入室した生徒さんは、かならずこのような名札を作成しています。もともとは、わたしが「人の顔と名前を覚えるのが案外苦手」だったという、まあ教師にあるまじき性格だったことを補うためにはじめたのですが、やっぱり教室の限られた時間の中に、はじめて来た生徒と、1年以上在籍する生徒さんが混在しているようなときには、こちら側の管理手法としては妥当だったと感じています。名札は、よく会社員がやっているような、首からぶら下げる式のものを入手して使っています。

これはわたしのものですが、子どもの名札は、生徒番号(これをTinkerCADなどのログイン番号に使ったりしている)、学校名、学年などが書いてあります。

最初はこれを首にかけてもらったのですが、子どもたちは名札をぶら下げるのに慣れておらず、これを嫌う子も多かったのですね。そのため、いつしか机の上に置くだけにしてあります。ただ、結果的にこの方がこちらも好都合でした。首からぶら下げられると、名前が隠れてしまうことも多いので、かえって見にくいのですよね。(この名札は一卵性双生児の兄弟が同時に入室されたときは、とても役に立ちましたw)

とにかく日々のレコーディングが大切

そして、一番重要なのは、その日子どもたちが何をやったか、それができたか、できなかったか、その反応等を記録(レコーディング)しておくことです。結局キモはこのことだけだと思っています。記録簿はごく普通の表形式で、個人別にしてあります。わたしはExcelを使って、曜日別にファイルを分けています。さらにファイル内は、タブに個人名を書いておき、それぞれのファイル内に、日付と内容を書いておくだけです。これ以外に、もう一つExcelのファイルがありますが、こちらはタイピングの結果をランキングにするために使っているものです。レコーディングについてはこれだけです。もちろんExcelではなく、GoogleDocとかでも問題ないです。もっとスマートなやり方もあるかもしれませんが、要するにあまり準備に手間がかからない方法が一番大事かなと思っています。

そして、クラスが終わるごとにここに、生徒の記録をつけていくわけです。これはためないで必ずその日のうち、教室終了直後に記入しています。わたしの教室では、各クラスの間に必ず30分のインターバルを設けているのですが、それはこの記録をつけるための時間を確保しているわけです。

記録内容については、とにかく思いついたことをそのまま書いています。これは、あくまでわたしが指導を行うためのメモというか、カルテみたいなものですので、わたしの印象、疑問なども含めて、その日の指導内容とその子の様子なども含めてみんな書いておくのです。そのため、この学習記録は、ちょっと保護者の方にはそのままお見せできない内容だったりします。たとえば、「○○くんよりわかってないかもしれない…」とか、そんなこともつい書いてしまうんですよね。さらに、「こんな口答えした」とかも記録してあることが多いです(^^) でも、これがわたしとしては、自分の記憶に、よりフックするための記述だということなんです。これを続けることで、一人一人への認識がだんだんと深まっていくわけです。

尚これは、特段保護者の方に「学習記録」などをお送りするためにしていることではありません。また、ここの記述をもとに、「学習記録」を作成して送付したりすることも一切行っていません。こういう保護者向けの個別の通信はやっておりませんが、それに不満を言われたことはありません。案外そういうことは求められないです。ときどき面談にいらしてくださる保護者の方や、「最近うちの子どうですか?」みたいな問い合わせには、その記録簿を手元で見ながらお話しやメールするだけです。

記録に際してのちょっとした工夫ですが、たとえば、「○○がまったく分かってない」「タイピングではローマ字表示を消して練習始めた」などの特記事項があったら、そこだけ文字を赤くしておくとかするだけで、後でざっと見返すときに楽になります。工夫といっても、その程度なんです。

教室前の準備は記入用紙を作るだけ

教室の日は、その日に来室する生徒の名前を紙(普通にプリントミスの裏紙とかを使ってます)に書き出して、そこに、前回までの記録を見ながら、その日やる予定のことを書き出しておきます。また、タイピング練習の前回までの結果もここに書いておきます。これをホルダーにセットして教室中も持ち歩き、隙を見て、そこにメモを書いておくことにします。

アンケートとかを書くときに使うやつですかね。これを使ってます。

これは後で自分が見るだけの内容ですから、適当な符丁でメモするだけでも良いです。こうして、それぞれの生徒がその日にやったこと、その他諸々をそこにかんたんにメモしておき、教室が終わったら、これを見ながら先のExcelシートに記録するということの繰り返しです。完全にアナログなやり方ですが、この人数をひとりで管理するのでしたら、変なシステムとか作る方がよっぽど時間がかかりますので、この方が効率良いのです。

前提としてのカリキュラム

ただ、これを回していくためには、例えばScratchであれば、やはりしっかりとしたカリキュラムが、指導者の頭に入っていることは必要だと思うのです。今、目の前の生徒は、カリキュラムの「どのへん」をやっているのか、ということを明確にしておく必要があるわけです。わたしの教室には、Scratchについては、10個のゲームを順番に作りながら、ひととおりScratchの内容を学んでいくカリキュラムがあります。もちろんこれはわたしが考えて作ったものですので、基本的な内容は当然わたしの頭には入ってます。

ところが、実際にやってみると、このカリキュラム通りに進行しないケースが多多あります。カリキュラムについて行けないというよりは、生徒がわたしの指示に従ってくれないとか、「自分はこれがやりたい」という主張が激しいケースも多いんです。そういう子の場合でも、そのふるまいを否定せずに認めながら、なるべくプログラミングの知識を注入するようなやり方をしてるからです。そういう際にも、自身のカリキュラムの中で、「いまこの辺」的な意識を持って、それが出来ているのか、出来ていないのかということを常に認識、把握しておく必要があると思います。そして、そこから次には「これをやらせよう」というところで、進めていくわけです。もちろん、能動的にカリキュラム通りにやらない子どもは、そういう提案をしても見向きもしてくれない子も多いのですが、それでも一応プログラミングはやってるわけで、その中でバラバラと、細かい知識は吸収していくんです。こういうとき、その子がそれまで何をやって、何をやっていないのか、これが把握できてることが重要だと思います。

こういうやり方をする場合、一番重要なのはやはり「カリキュラムがきちんと講師の頭に入っている」ということだろうと思います。ですから、教室でScratchでプログラミングを教えようとするのであれば、まずこのカリキュラムを自分で作ってみる必要があると思います。自作のカリキュラムであれば、一度作れば、その内容は頭に入るでしょう。だからこそ、それを運用してる中で問題点があれば、追加したり、順番を入れかえたり、オプションをつけ加えたりと言うことも出来るようになるのです。他人が作ったカリキュラムを順番通りに進めて、進捗管理だけやるのでは、このスタイルの教室運営はできないと思うわけです。