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イニシャルDj

近年、DJ界でシンクボタンほど愛され、憎まれてきたものはないかもしれません。
そのボタンを押した瞬間、どうしても僕は悪魔に魂を売ったような喪失感、罪悪感を覚えてしまいます。
初心者でも即座にビートマッチしてしまうこの機能がDJの裾野を広げて新たな可能性を広げてくれたのかもしれませんが、
パイオニアが搭載してしまったこの悪魔のボタンが推進派と否定派を作り、数々の激しいシンク宗教戦争を世界中で生み出してきました。

この炎上間違いなしの話題に自分からガソリン持参で突っ込むにあたり、走り屋とケースが似ていると思ったのでその観点からまとめてみました。

車や走り屋に憧れる若者はやはり形から入りたがる人も多いのでGTRやランエボなど高性能なスポーツカーをいきなり買ってしまうことも多いと思います。
自分もかつてはいきなりインプレッサWRX STI VerVを買ってしまいました…

これはDJ機材を買う初心者にもよくある事で、見た目や形から入ってしまい、2チャンネルでいいところを4チャンネルだったり高機能な機材をいきなり不相応に買ってしまうケースに似ています。

車の話に戻れば、初心者がいきなり電子デバイス満載の高機能な4輪駆動だったり、ハイパワーすぎるエンジンを持つ車を持っても、ほとんどの人にとっては扱いきれず、性能を把握しにくいため練習もやりにくく、上達しにくいことになりがちです。
本当に早く上手くなりたければ『テンロク』ロードスターなど軽量でシンプル、少し控えめなちょうどいいエンジンパワーの車を選び、
そうした扱いやすい車の性能をすみからすみまで出し尽くし、手足のように車と一体になって扱えるようになって、上達して初めて高性能なGTRやランエボ、インプレッサに乗り換えれば、それらの高性能なエンジンパワーや電子デバイスの力を本当に効果的に引き出すことができると思うのです。

シンクボタンありきでDJをしている人はそうした電子デバイスの助けによって早く走れていると思っているドライバーに似ています。
本当のテクニックを持っている人からすればハンドリングやアクセルワークが未熟で機械の技術で補ってもらっているにすぎなく映るかもしれません。

新しい技術をどんどん取り入れて発展させてゆくことは素晴らしい事です。
ただ技術に頼りすぎればトラブルに対応する能力も身につきにくいですし
車にせよDJにせよ、それ本来の車と一体になって操る感覚やたのしみや、DJではズレた曲を少しずつミックスさせていく感覚や喜びを学びにくくなります。

そうしたDJとしての原点の感覚、楽しさをもっとたくさんの人に知ってほしい。
それを知った上で敢えてシンクボタンを使い、使わなければできないような新しいパフォーマンスを追求する、そのための機能であってほしいと個人的に思うのです。

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