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DJ論(フォーマット編)

mp3かwavか
永遠のテーマでしょうか?

いままでたくさんの議論と検証がなされてきたこの話題ですが、僕なりの考察をしたいと思ってまとめました。

今やDJをするためには様々な方法があります。
昔ながらのレコード、CD、データ(USB)、サブスクリプション

レコードがデータか?
そうゆう時代もありましたね。

僕自身はカーオーディオで真空管アンプにスピーカーFOCAL Utopiaを積んで音楽を楽しんだりスーパーオーディオCDで音楽を聴いたりとそれなりにこだわった音楽生活を過ごしてきました。
だから音にはうるさいし少しは分かってるはず。

では、音が良くなるため1番大切な要素は何か?

それはフォーマットやスピーカーよりも前に音源自体の音質やクオリティだと思うのです。

極端な例えをすれば歌を録音したとして、高価なマイクを使いスタジオで録音したものと安物のピンマイクで路地で録音したものがあるとします。
安物のピンマイクで録音した雑音混じりの歌をwavで録音したとして、高価なマイクで素晴らしく録音された歌がmp3の128kbpsだったら、聴き比べたらどちらが良く聴こえるでしょうか?

おそらく後者だと思います。
僕の経験ではそうです。mp3 128kbpsの方が貧弱なスピーカーではそれなりに、良いスピーカーではビットレート以上に良い音を響かせてくれると思います。

素晴らしいアーティストが信頼できるエンジニアとスタジオで空気感をとじこめた作品は128kbpsでも確かにそれが残っているのです。
新鮮な魚であれば煮ても焼いても刺身にしても美味しいですが、鮮度が落ちた魚はなかなかそうはいきません。
つまりもともとの録音やマスタリングが良いmp3の方が録音が悪いwavより「高音質」に聴こえる事が多々あるのです。
僕はフォーマットを議論するあまり、録音のクオリティにより依存するのではないかとゆう論点が欠けているのではないかとずっと感じてきました。

DJで楽曲を選ぶとき曲で選ぶ場合と音で選ぶ場合があります。

曲で選ぶ場合
必ずしも良い音が全てでない、その日のフロアのストーリーによっては歌詞や作曲家の歴史、音が例えチープだったとしてもそれは狙って使えばストーリーを紡ぐ大切な要素になりえます。
浅倉大介さんがある番組で言及していて本当にそうだなと思ったのですが、いい音とはなにかと考える時、本当に人それぞれなのですがその人が育った時のフォーマットに依存すると語られていたのです。
レコードで育った人にはレコードの音が落ち着くけれどMDで育った人にはMDの音質、ストリーミング時代にはストリーミングのビットレートが心地よい。
その人その人が1番多感な時代に受け取ったフォーマットやビットレートの音色が思い出としてのこり、落ち着く音として頭のどこかに残されるのです。
低いビットレートで育った人は高いビットレートや解像度の高さに解像度疲れさえ起こしてしまっています。
そうした人からすれば低いビットレートやノイズの入ったラジオや映像は癒しなのです。一昔前のvaporwaveブームもその一環ですね。
つまりこうした事を狙ってその時代の音を出したいと思うならmp3 320kbpsやwavでは出せないのです。
この良い音にこだわらない、あえてビットレートの低い曲を使うのもDJの一つのテクニックでありえます。

では音で選ぶなら
まず準備が必要です。
家で選曲するために素晴らしいスピーカーかヘッドホンが必要になります。
そして音源を聴き、それがクラブでどのように鳴るのか想像しながら楽曲を選んでいきます。
ほとんどのDJの方々が経験しているように家で曲を買ってるときはすごく良さそうだったのにクラブで聴いたらぜんぜんよくなかった
みたいな事はほぼ全てのDJが経験しているでしょう。僕もいまだにありますし、これは経験を積めばだいたいこうゆう曲は大丈夫のようにわかってくるので訓練するしかありません。
もちろんこの時のクラブでの音の鳴りもビットレートよりミックスダウン(マスタリング)や録音の品質がより大切になります。

こうして(鳴りが)良い曲を選べたとして、

改めて音にたいして1番大切な要素はフォーマットではないのでは?とゆう提言の次に僕が言及したいのは、
mp3とwavはそもそもクラブで聴き分けることができるのか?です。
僕は自信がありません。
レベルの高い録音のストリングスやボーカルの音源でありしかも視聴環境がピュアオーディオだったり、十万円以上のヘッドホンで128kbpsのmp3とwavなら聴き分けられるかもしれません。

でもクラブで聴き分けられるのか?
聴きけられるクラブが何件あるのか?

クラブは音が大きいから音源が悪かったらわかっちゃうと言う人もいます。
確かに元の音源がYouTubeから違法ダウンロードした劣化したものなら流石にわかるでしょう。

しかし普通の音源なら?
さすがに128kbpsでなくても256kbpsくらいならどうでしょう?

そもそも本当に音が素晴らしいサウンドシステムのクラブが今日本に何件あるのか?
さらにジャンルに併せて完璧な音に調整してくれるPAさんが何人いるのか?
サウンドシステムが良かったとして、常にスピーカーが完璧にメンテナンスされ、調整されているのか?
メインステージは良くてもセカンドフロアの音まで素晴らしいクラブなどほとんど思い浮かびません。
ピュアオーディオのようなケーブルも使っていないし、照明やLEDがたくさんあればノイズもたくさん入ってそうです。
ケーブルが劣化しているけどほとんどメンテナンスされてないみたいなことも

そうなんです。そもそもWAVを活かせる環境のクラブなんてほとんど皆無なんですよ。
mp3かwavか、そんな論争をはじめるなら、それ以前にwavを活かせるくらい素晴らしいサウンドのクラブがもっと増えるように、PAさんのような部門にもっとお金をかけるようにクラブに働きかけてからではないかと思うんです。
セカンドフロアの劣悪スピーカーの放置っぷりを見ていたら、音にこだわるべきクラブのオーナーや関係者が、そこに全くこだわっていない、お金をかけようとしない。そしてDJ達も問題提起しない。
そっちの方がビットレート論争よりよっぽど議論すべきポイントなのではと思う次第です。

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