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「第三者委員会」は魔法の会議

 世の中に不祥事が起こると立ち上がるのが「第三者委員会」。いじめがあったら第三者委員会、会社に不正があったら第三者委員会、個人情報の漏洩があったら第三者委員会。世の中、第三者委員会だらけである。タイムリーなところでは、LINEのサーバーに中国からアクセスできた件についても早速第三者委員会が立ち上がるそうである。

 この第三者委員会というもの、不祥事の当事者や関係者ではない第三者が検証しますという会議だと思うのですが、当事者である企業や政府あるいは省庁はどうやって第三者を選んでいるのだろうか?

 そもそも利害関係のない第三者というのであれば、取引先はもちろん、知り合いであってもいけないと思う。そうすると人選、依頼はものすごく大変だと思う。しかし、第三者委員会の立ち上げはとにかく素早い。1〜2日で立ち上がる。

 ひょっとしたら、第三者を生業としている職業「第三者」の人材バンクでもあるのだろうか?人材派遣会社が派遣してくれるのだろうか?

 受ける側の第三者と言われる人も不思議である。第三者委員会が立ち上がる時点で、問題はそれなりに大きいはず。そして、難しく時間もかかるはず。そんな問題に対する依頼なら受けるかどうか逡巡するのが普通だと思う。しかし、すぐに受けるとするというのは、もとから懇意であるか、報酬が高いのではないかと勘繰ってしまう。

 もし、そのような実態であれば、第三者委員会の人選に対して、公平性の疑問が残る。

また、立ち上がった第三者委員会はきちんと進行しているのだろうが、どんどん新しい第三者委員会が立ち上がる世の中では、過去の第三者委員会の結果報告を聞く機会がほとんどない気がする。

 さらには第三者委員会には法的拘束力がたぶんない。どんな結果が出ようが当事者が真摯に受け止めて終わりなのではないだろうか。その真摯に受け止めている間に、世間の興味は次の不祥事に移っている。

 そう思うと「第三者委員会」とは、不祥事に対して外部から評価してもらってますよ感の演出と、時間稼ぎにより問題を風化させてしまう魔法の会議ではないだろうか。企業、政治家、官僚に取ってはなくてはならないものだろう。

 個人のSNSが炎上した時も、「第三者委員会で検討してもらいます」の決め台詞が通用しないものだろうか。

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