見出し画像

大阪編:稲田酒店@天神橋筋六丁目

ここは北区浪花町、都島通を渡り路地に入っていった。
紺暖簾白浮文字、かね又食堂の特製シチューが上手そうだ。

更に小さい路地に入ると、格子造りの渋くお洒落な店構え、杉玉は日本酒を出す店の証でビューティバーは夜に来てみたい。
下町の情緒豊かな町並みをぶらり歩いてゆくととある商店街にたどり着いた。

天五中崎商店街。目の前にはまだシャッターの閉まっている金浮き彫り文字の堀内酒店が渋い。

商店街で何かいいとこはないかと目の前に入ってきたのが稲田酒店。

清酒 大関 稲田酒店 サントリーウィスキーの金の浮き彫り文字。
右端入口は酒屋で左側のアサヒビール、稲田酒店の白抜き文字の紺暖簾から見える店内は立呑屋のようだ。

また、店頭に設置してある黄色い細長い日本盛の自販機がレトロでいい。

店内に入ると歴史ある酒屋というのがまずわかった。

黒いコンクリートの床、店の奥の昭和情緒、年季の入った木造入口玄関。
その上には、白雪、日本盛、多聞の木造金看板は卸問屋が各蔵元に掛け合い作ったものだろう。特約店稲田酒店の文字は消費者に信頼性をアピールでき、蔵元にとっても酒を専売する業者を確保しているという証だ。
また白鶴やアサヒビールの金看板もあり、懐かしいキリンビールの美人画ポスターも貼ってあって見ているだけで興奮してしまう(俺だけか?)。

それにもまして素晴らしいのが、右側のカウンター側の壁にズラリと並ぶ全国の地酒に焼酎だ。

それ以外にも入口手前にあるレトロなASAHI BEERのガラス張り冷蔵庫と奥の冷蔵庫にも地酒銘酒が保管されていて興味津々に覗いてみる。

色白エプロン姿が似合う女将さんが手作りのアテを冷蔵庫に入れているところで、その他にも年季の入った幅の広い丸みのあるカウンターには大皿料理が並ぶ。

「こんにちわ~、もうやってますか?」
「やってます~」

瓶ビールのケースを三段積んで、その上に白いテーブル板を乗せた立って呑むには具合のいい高さの即席カウンターに立って背負っていたリュックを降ろし、まずはビールをお願いした。

さっきビール呑んだけど、また違う店に入ると呑みたくなるのは何故だろうか?
手っ取り早いってのもあるが、今日は喉が渇く。

アテは何にしようかなぁ。
黒板に女乳と書かれたメニュー?(ここでは女乳をメニューと読むのか(笑)大阪らしいね。)はどれも安くありがたい。大皿には、鶏の玉ひも煮や鰯の煮付けなど旨そうだ。
冷蔵庫を覗くと「島らっきょなんか食べはります~?」
「島らっきょもいいですねー。味噌つけてっ。」
あっタコあるな。
「すいません!タコの刺身貰います。」

大阪らしい三杯酢がかかったタコ刺は生姜も乗っていて美味い。
東京の正油に山葵も良いが、大阪の酢の効いた出し方は夏の暑い時期などにはこっちがいい。

せっかくの酒屋、しかも沢山の地酒があるからには酒を呑まなくてはいけない。
呑んだことのない酒を頼むべきなのだが、呑み慣れている安全なのを何故か頼んでしまう。
地酒に敬意を表して、呉春をコップで頂いた。
コップ一杯200mlは290~500円。また、半分の100mlでも頂け値段も半分だそうだ。
アテは大皿、女将さんオススメの鶏の玉ひも。

しょっぱくも、薄くもない丁度よい味付け、真っ黄色のキンカンはホクホクして美味い。
呉春の常温とピッタリと合う。
女将さんに午後一時からの営業を知っていたかの問いかけに「たまたまです。」
ここは地元客もそうだが、出張で来るサラリーマンにも知られている有名酒屋らしい。

何でも酒屋を始めたのが80年も前。女将さんは今は亡き二代目ご主人の奥さんで、今は息子さん二人が店を支えている。
三代目のお兄さんは日本酒に熱心で東京での酒のイベントや蔵元まで顔を出し新潟の地酒・蒲原を特約店にしたのはお兄さんだ。
弟さんは何処かやんちゃでのんびりとした雰囲気で店の接客にはピッタリだ。
近所、オススメのたこ焼き屋はうまい屋でソースを付けなくても美味いらしい。
また、天満・中崎町辺りの下町は寿司が安く食べられ、立ち飲み屋も勿論安いと言うから良いことを教わった。

しかし、本当に呑んでいて楽しい酒屋、酒場だ。
女将さんが「名前も稲に田んぼの田、やしね(笑)」
確かに!(笑)

帰り際、珍しい白雪酒造の丸い小さい木製金看板の写真が撮りたくお願いした。
「うぁー、これいいですね。欲しいくらいですっ。」パチリ。

本当にここはいいわ。別れの挨拶、お兄さんに名刺まで頂き、最後の「おおきに」が名残惜しく、ない後ろ髪を引かれた。

■居酒屋ロマンティクス 2011年6月2日のblogより

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?