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大谷翔平の今後と球団の未来

恐れていた事態が起こってしまった。大谷選手内側側副靭帯損傷の一報が入り筆者の頭は真っ白になった。思えば、怪我の兆候は確実にあった。

オールスター明けの7月は例年疲れからか大谷は成績を落とす傾向にあって今年も同じ状況だった。それについては何も心配していなかったが、例年と違ったのは身体の痙攣を訴えるようになったことだった。監督や本人は水分不足として、水分補給をたくさんして寝れば大丈夫と楽観的だったが、筆者はその時から嫌な予感を感じていた。

大谷は前例のない活躍をこれで3シーズン目で、去年は投打両方で規定に到達する前代未聞の快挙を達成した。筆者は大谷の化け物ぶりに今後10年は安泰だろうと楽観視していたが、この痙攣の知らせでで我に返り、大谷も人間なんだと再認識するに至った。

ましてや大谷は2018年にTJ手術を行っており、足や腕のその他の部位も怪我していたのだ。大谷の出力に体が耐えれなかったのは明らかで、本人もそれを自覚して想像を絶するトレーニングを行い体の強化を図ることになった。その結果強靭な肉体を手にして、手術明けのこの3年間弱をほぼ怪我無くきていた。しかし、様々な無茶に耐えるために強化した肉体もついに音を上げて痙攣という形でSOSを送ったのだ。

もう無理だとこれ以上やったらとんでもないことになると体は悲鳴を上げたが、大谷と球団はこの忠告を無視した。その結果が靭帯損傷でしかも前回手術した部位と同じ個所(後に別の箇所と判明)今後の大谷の投手としてのキャリアが終わりを告げるかもしれない、そんな岐路に立たされてしまった。

この稀代の二刀流を失うことは野球界にとってスポーツ界にとって多大なる損失であり、球団とひいては大谷自身に大きな責任がある。チームのプレーオフの少ない望に懸けて強行出場を繰り返すより、休養をとりながら上手く試合出場数を調整していればこのような事態は起きていなかったはずだからだ。

しかし時は既に過ぎ去ってしまい、無理をした結果、残ったのは後悔と弱体化したチームだけである。世界中のファンが悲しみに暮れており、球団への非難が集中し、大谷も少なくないバッシングを受けている。それは当然のことで、大谷をコントロールできなかった球団自分をコントロールできなかった大谷自身、プレーオフ進出に懸け買い手に回り少ないファームからプロスペクトを放出してまで選手を獲得したが全て不発、そしてその結果が大谷が強行出場を決断するほどの大失速となればバッシングも当然と言える。

少なくともエンゼルスは大谷が全てを捧げるに値しない球団であることは誰の目にも明らかであっただろう。しかしそれは外野の意見で、大谷のプレーや生活を最大限サポートしてくれ、大谷のやりたいことを全面バックアップしてくれた球団には本人も恩義も感じていたとは思う。自身が最終年でトレードの話も持ち上がり毎日その雑音を聞きながら献身的にプレーし、チームも登り調子となり、ついに球団も買い手となることを選択し選手を補強した。大谷も自身をトレードしていくらでもチームとして優位に立てただろうに、その選択をしたチームに報いるために多少体が悲鳴を上げても登板し、打席に立ち続けた。

大谷は過去、東北が震災に見舞われた時、当時の監督に「僕が地元を勇気づける」と、意気込み猛練習に励んでいたらしく、監督は「一人では全てを背負い込むことはできないぞ」と思いながらも、大谷の真っすぐな目と表情、練習に打ち込む姿勢を見て何も言えなくなったそうである。日本ハム入団した時も栗山監督の一番の仕事は、練習をし過ぎる大谷を止めること、休みを与えても練習してしまう大谷の監視をすることだったそうだ。

このことからも、大谷は自分がこうと決めたことには自分を犠牲にしても取り組む強固な意志があると分かる。そもそも大谷は野球が大好きで誰よりも野球が上手くなりたい誰よりも野球で勝ちたいと思う負けず嫌いであるからこその行動なのである。しかしその結果が、人類スポーツ史に残る偉業達成と、悲しい結末だったのである。

筆者は最初、大谷をここまでさせた球団と大谷自身に怒りを隠せなかったが今は少し違う。

大谷の今後の去就は怪我が無ければ十中八九移籍だっただろう。しかしこの怪我の発覚により一転して残留が濃厚になった。理由は二刀流という唯一無二の宝であり、人気も球界で1位2位を争いう大谷を獲得したい球団は多く、総額800億以上とも言われた前代未聞の年棒であるがメッツやドジャースを中心としたお金持ち球団が構わず獲りに行く姿勢を見せていた。しかし、怪我により二刀流がこの先数年難しくなり、DH専となってしまった大谷を巨額の年棒で獲得する球団はほとんど無くなってしまったと思われる。もちろん大谷自身がお金で動くことは無いのだが、大谷を安く買いたたかれるのは代理人が首を絶対に縦に振らないだろう。

そこで白羽の矢が立つのはエンゼルスである。エンゼルスはトラウトやレンドーンといった野手に対して高額年棒で契約していて、既にぜいたく税を超過しているが、移籍がほぼ確実視されていた大谷を残留させるなら血を吐いてでも引き留めにかかるはずである。少なくとも買い叩こうとする球団より、大谷側の提案する条件にも柔軟に飲むであろうし、今後も変わらず大谷を中心としたチーム作りを約束するはずである。

ここまでされたら、いかに勝ちたい大谷といえど首を縦に振るはずである。手術から投手復帰までの道のりも他の球団に移籍するよりははるかに分かりやすく、何より野球に集中できる環境があると考えたら他はないだろう。恐らく契約年数も長期ではなく短期で3年、年60~70億程度で大谷の怪我から復帰して再び二刀流ができるまでの時期を想定して契約を結ぶはずだ。そして、3年間で球団一丸となってWSを目指せる土壌作り、3年後に大谷がさらに契約延長しても良いと思える様なチーム作り行うと予想できる。

こう考えると大谷の今回の怪我も一概に悪いだけのものでは無い様な気もしている。大谷の大切な全盛期の時間を奪った!とも考えられるのだが、大切を使っていたとしても遅かれ早かれ怪我は避けられなかったと考えている。大谷はとにかく暇さえあればトレーニングをしてまう野球狂いであるため、大谷の人権を無視した監視体制でなければたとえたくさんの休みを与えてもあまり意味は無く、怪我をしていた可能性は高い。しかし20代で怪我をしたことが功を奏して、30代で野球選手として脂が乗りきる前に大谷のハードワークにストップをかけることができたし大谷自身も自制するようになると思う。

これから更に輝かしい野球人生を残していく大谷に貴重な休憩時間を野球の神様が与えてくれたと信じ今後も大谷を応援していきたいと思う。

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