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テレビの復権はあるのか

今の日本?世界?はインターネット動画に夢中ですよねー。猫も杓子もインターネットで動画ばっかり観てますよ。筆者もその御多分に漏れず、何を必死になっているか分かりませんが、毎日インターネットで動画ばっかり観ています。

これは不健康でしょうし、最近強く思います。しかし今日は健康問題でなく、インターネット動画に押されまくっているテレビ業界に復権はあるのかについて真剣に考えていきます。

まずはテレビ業界が抱える問題についてです。ここで言うテレビ業界は地上波に限定しています。

視聴率の低下

これしかありません。テレビが抱える問題の全てはここに帰結します。テレビはスポンサーが出資してくれることによって成り立ちます。スポンサーは出資する見返りに、自社の宣伝をさせてもらいます。視聴率が高ければ高いほど国民に観てもらうことができ、宣伝効果も高いので企業は視聴率の高い番組に広告を出したいのです。ですが近年視聴率は80年代、90年代と比べると右肩下がりでそれに伴いスポンサーも離れていきました。テレビ局にとってスポンサーは生命線なので長期の視聴率低下は長い病にかかっている状態と一緒です。

では何が視聴率を低下させる要因だったのでしょうか。よく言われているのは「面白くなくなった」が一番じゃないでしょうか。テレビに元気があった時代は製作費を潤沢に使い派手な番組作りをしていましたので、単純にインパクトがあり面白い番組も多かったです。しかし派手なことばかり続けていると視聴者も慣れていきますので、視聴者にさらなる刺激を与えるために過激な番組作りにシフトしました。それによりおおらかだった時代ですら許容できない表現も散見されるようになり、過激な表現はどんどん表現が規制されました。それで終われば良かったのですが、世間の事件とも重なり、とても細かい部分まで規制されるようになってしまった結果、刺激のない番組しか作れなくなってしまいました。これが面白くなくなったと言われる一番の原因です。刺激の多かった番組を見ていた世代はテレビを観なくなり、気づけばインターネットが普及し、そこで自分の観たい映像を観ることが可能となればそちらに移ることは当然です。刺激の少ない番組しか観たことのない世代はインターネットで刺激的な映像があるので当然テレビを観ることはほとんど無くなってしまいます。これはテレビの功罪でありますが、過激な番組を提供し続けたことで視聴者が「過激なことが面白いんだ」と、面白いと思う感覚がそうなってしまいました。その結果インターネット動画の黎明期も過激なものが非常に多く、結果テレビと同様に表現が規制されました。時代は回るもので最近ではインターネット動画もつまらないという声も増えてきました。自分で好きな映像を観るのでテレビよりもその声は少ないですが確実に増えてきています。さて次は何が来るんでしょうか。

テレビの動乱の時代を乗り切ったテレビ局もありました。過激なことでは無く、視聴者に新たに、これが面白いんだぞと「様々な面白い」を提供し、少ない番組制作費でも高視聴率をたたき出し、スポンサーを集めているテレビ局もあります。それは、ただ過激なことをやっていれば良いという時代では無くなったことを意味しました。新しい面白いを提供できる創造性を持ったテレビ局だけが生き残ることのできる超実力主義の到来です。それを乗り切ったテレビ局は一定のファンが付き、こんな時代であってもなんとか安定して視聴率を取ることができています。

どこかで同じようなことが起こっていますよね?

インターネット動画業界です。インターネット動画が物珍しく、出せば儲かるような時代は終わり、現在では実力の無い者は一切生き残れない戦国時代です。戦禍は果てしなく拡大しそこに莫大な資金がつぎ込まれ強者が弱者を駆逐し、強者のみが利権を取れるそんな世界になってしましました。

いずれこの業界も落ち着きを見せるでしょうが先はまだ遠いようです。

これは別のお話ですが、勉学と一緒に戦乱の世を生き残る術も教えていた松下村塾のように、インターネット動画全盛の時代にそれを生き残る術を教える学校や塾も出てきました。個人的には「こんなくだらない塾なんて」と、否定したいですが、業界黎明期に超有名動画配信者に憧れた子供が自らの顔を晒し、あまつさえ個人情報を垂れ流し、取り返しのつかない結果となる事例が多発したこともあり、何の武器も知識も持たず厳しい戦に自ら身を投じ、無意味な討ち死にや被害を受ける子供や若者を少しは戦えるように訓練するのも大人の務めでは無いのかと思うようになりました。子供は親の言うことは聞かなくても自分の信頼する先生から「これはダメだぞ」と教えれば素直に聞きます。誰でも気軽に参加できる業界だからこそルールを守らせるために大人が頑張らないといけません。余談でした。

ではどうやったらこの混沌とした動画時代にテレビ業界全体が活気を取り戻すことができるのでしょうか。筆者の考える答えは一つです。

「無料で観れるアドバンテージを活かせ」です。

地上波はテレビ本体以外は全て無料です。ここのアドバンテージは非常に大きいです。何を当たり前のことをと思うでしょう。実際一昔前なら至極当たり前でしたが、今は定額制で月々お金を払って動画を観ていることが多いです。テレビを観ることにお金がかかりやすくなった時代になった今、無料で良質な番組を観ることができれば必然的に視聴者は確実に無料コンテンツにに流れます。しかし、インターネット動画も無料ではありますが広告が付きます。ここはテレビと同じですが決定的に違うところがあります。それは製作者の匙加減で広告を増やせるか否かです。

もちろんテレビでも同様に広告を打つ頻度を調整はします。スポンサーの兼ね合いの為大体どこも同じようなタイミングで広告を出すことが多いです。しかし、インターネット動画の場合は何の決まりも無いため、製作者が利益のために大量に広告を出すこともできます。結果どうなるでしょうか。テレビの広告でも、番組の間の広告によりテンポが悪くなると「スポンサーのイメージも悪くなって逆効果だから広告やめろ」等と文句を言われてしまうのに、製作者が好き勝手に広告を差し込んだらどうなりますか?

誰も観なくなります。

いくら面白くても利益優先で動画のテンポを無視すれば動画を観ることが億劫になり誰も観なくなります。現在ではノウハウもあるのでそんなことをする人はいなくなりつつありますがここで面白い現象が起きています。テレビの視聴率の為の広告跨ぎの演出は長い間否定され続けてきましたが、それを否定していたインターネット動画業界の人もやっているということです。消費者から提供する側に回るとそれが有効な手段だと気づき手法として使います。いくら消費者時代に文句を言っていても立場が変われば考え方も変わる物なんですね。

有効に広告を打てるテレビだからこそ、良質な番組を作り視聴率を取り、広告もストレスなく観てもらうことができれば、お互いにwin-winとなり、業界にお金も戻り、消費者も戻って来るということです。

次に企業の広告の完成度向上も必要です。面白い番組を観ている最中に面白くない広告が出てきたら当然観ている側の気持ちは萎えます。面白い番組の途中に面白い広告、逆に落ち着けるような広告があれば自然と観てしまうものです。そしてそれはダイレクトに企業のイメージ向上に繋がります。記憶に残っているテレビ広告ってありますよね?人に良い記憶として広告を残すことができれば企業としては大成功です。最近は粗悪な広告を乱発しており、広告の使い方だけでなく、広告自体が不快にさせるような物も多いです。企業側も今一度広告を見直すことが必要だと強く思います。

まとめですが、番組を提供する側、広告を出したい側がしっかり手を取り合いお互いが良質な物を提供することが業界が復権する近道だと思います。いくら個人で動画を配信できる時代でも個人でできることなどたかが知れています。大勢の人間が関わり面白いことを無料で提供することができるテレビ業界だからこそできることがあるはずです。今は下火ですが、この小さい炎はいずれまた大きくなることを信じています。

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