『Bear Smart Japan』の活動理念について

クマの問題が発生した時のわが国の世論は、即座にクマの殺処分を求めるような過剰反応と、無条件にクマの駆除に反対する愛護思想の、両極端な意見にほぼ二分されていると思います。

しかし私たち『Bear Smart Japan』は、人間の安全を最優先に考え、クマのある殺処分を視野に入れつつも、それをぎりぎりまで回避することを目指す『非致死的なクマ管理』を提案したいと考えています。

人の生命と安全を、そしてクマの生命もまた守る『ベア・スマート』な社会の実現に不可欠なのが、クマを人里に呼び寄せてしまう誘引要因を除去する『誘引物管理』ですが、誘引物管理に最善を尽くしてもなお、餌を探し歩いているクマが偶発的に人間の生活圏に接近してしまうことはあります。

そのこと自体は、クマの自然な行動が引き起こした偶然の出来事であり、人間の食べものにまだ執着していないクマであれば、いきなり駆除する必要はありません。

そんな『迷いグマ』への対応するために必要なのは、クマを殺さない『非致死的な』クマ対応ができる現場技術者です。そして彼らには、散弾銃から発射されるゴム弾や花火弾、クマ撃退スプレーといった威嚇用品を駆使したクマの追い払い技術と、いざという時にはクマを射殺することのできる捕殺の技術が必要です。

しかし残念なことに、現在クマ対策の現場対応を担っている、猟友会員を中心としたハンターの大半は、クマを捕殺するためのノウハウしか持っていません。しかも、ハンターの高齢化にともない、昔ながらの『クマ撃ち』の技術は急速に失われつつあります。

そこで私たち『Bear Smart Japan』は、人里周辺でのクマ対策を担う関係者の皆さん、特に猟銃を持っているハンターの皆さんに、非致死的なクマ対応の可能性と、そのための具体的な知識・技術を提示することを目指します。