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登記事項証明書の取得ならオンラインでやろう、という話

今回はフリーランスではなく主に中小企業の経営者に向けた内容ですが、フリーランスにとっても新たに取引を始める会社の情報を取得するために有用だと思いますので、ぜひ頭の片隅にでも置いていただけると役に立つ場合がある、、、かもしれません。

さて、中小企業の経営者のみなさま、自社の登記事項証明書を取得する必要が生じた際に、どうやって取得しますか?

登記事項証明書は「登記簿謄本」と呼ばれることもありますが、基本的には同じものです。登記簿は紙の書類であるのに対し、登記事項証明書はコンピューターで管理されているデータを記したもの、という違いがありますが、現在では多くがコンピューター管理されています。

普通に考えれば、法務局(この記事では出張所、登記所、法務局証明サービスセンターなどを含むものとします)に出向いて、請求することになるかと思います。

しかし、空いている時期や時間帯であればそれで良いと思いますが、昨今の感染症流行の状況下では、融資などの申請に必要となるため、自社の登記事項証明書を取得するために法務局の窓口に長蛇の列を作る・・・という状況が発生しているようです。

時間は貴重ですから、窓口に出向く時間の他に待ち時間が必要となるのはあまり望ましいことではないですよね。
さらに感染症流行下においては、感染リスクも無視できません。

でも、知っていましたか?登記事項証明書はオンラインで取得請求できることを。

利用するのは「登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと」というやたら長い名前のウェブサービスですが、これを利用してオンライン請求することができます。

上記ウェブサービスの他に、同様の機能を提供するデスクトップアプリ(申請用総合ソフト)もありますが、司法書士等の専門家でない限り、ウェブサービスで十分だと思います。

オンライン申請のメリット

「えーーオンラインとか面倒くさい!!!!」

と感じている方もいらっしゃるかもしれませんが、何と言ってもオンラインのメリットは
「窓口に出向く時間(移動時間)」+「待ち時間」が不要!!
という点が挙げられます。

さらに!
実はオンライン請求のほうが手数料が安いのです。

法務局の窓口で請求する場合は、1通600円ですが、なんとオンラインで請求して郵送で受け取る場合は1通500円なのです。
別途郵送費(郵便料金)が必要になるわけでもありません。1通なら本当に500円だけなのです。
※2020年4月10日現在

ただし速達を指定した場合は費用が追加されます

さらにさらに!!
窓口での受付は午後5時15分までですが、オンラインでは午後9時まで請求することが可能です。
5時15分までに窓口に行くことが難しいような場合でも、オンラインであればパソコン1つで夜間でも請求できます。

デメリットがあるとすれば・・・

メリットがあれば当然デメリットもあるだろう、ということで、オンライン請求の短所を考えてみますと、
・事前準備(アカウント登録)が必要
・手数料は基本的にはインターネットバンキングで電子納付が必要
・取得まで数日かかる
このような点が挙げられると思います。

事前準備はどうしても必要となるのですが、最初の1回だけですし、アカウント登録のために必要となる情報もそれほど多くありませんので、他サービスなどでオンラインサインアップの経験がある人であれば10分もあれば完了できると思います。

手数料は原則的に電子納付になりますが、法人口座の場合は利用している銀行によってはやや面倒かもしれません。ネットバンキングができない場合でも、ペイジー(Pay-easy)に対応したATMでも納付できるようです。(私はやったことないので詳細はわかりません。。。)

取得まで数日かかるのは、郵便で送られてくるわけですから、仕方ないところではあると思います。
ただ、数日といっても1〜2週間かかるようなものではなく、これまでの経験からすると請求日には投函されているようですので、近隣の法務局への請求であれば請求日の翌日〜翌々日には届くと思います。

以下の請求例をよく見るとわかりますが、請求は4月9日に行っており、翌10日には届いています

実際に請求してみよう

さあ便利ですよ利用しましょう!と言ったところで、実際問題どのような手順で行われるのかがわからないと手を出しづらいですよね。
ということで、実際の請求の流れをざっと記してみます。

以下すべての画像(特記しているものを除きます)は登記・供託オンライン申請システム(http://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/)から引用しています。また赤い楕円は筆者が追加したものです。画像は2020年4月9日現在のものです。

まずは利用者登録をして、ログインしておきます。

FireShot Capture 008---かんたん証明書請求---証明書請求メニュー---www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp

ログインしたら、会社情報の請求であれば分類「商業・法人」から「登記事項証明書(商業・法人)」をクリックします。

FireShot Capture 009---かんたん証明書請求---請求書作成---www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp

自社の情報であればそれを直接入力して、という方法もあると思いますが、赤文字の注意書きのとおり少しでも違うと受け付けてくれないので、ここは素直に検索を使った方が良いかもしれません。

FireShot Capture 010 - 検索条件入力 - 商業法人登記情報 - www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp

このような法人検索画面が表示されますので、商号・名称と所在地を選択して検索してみます。

FireShot Capture 011---検索条件入力---商業法人登記情報---www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp

今回は私もちょっと関係している社団法人を検索してみましたが、もちろん株式会社でも合同会社でも有限会社でも特定非営利法人(NPO法人)でも何でも検索できます。
検索条件によっては法人名が複数表示される場合もありますが、目的の法人を選択して「追加」しておきます。

FireShot Capture 012---かんたん証明書請求---請求書作成---www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp

こんな感じで追加した法人の情報が表示されますので、「請求事項」「証明書種類」を選択して、必要な通数を入力します。

FireShot Capture 013 - かんたん証明書請求 - 請求書作成 - www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp

次は郵送先の情報です。登録者の情報が予め入力されていますので、基本的にはこのままで良いと思います。必要に応じて速達を指定したり、郵送ではなく窓口での受け取りを選択したりすることもできます。

FireShot Capture 014 - かんたん証明書請求 - 納付情報入力 - www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp

画面の指示に従い、電子納付に関する氏名または法人団体名を入力します。

FireShot Capture 015 - かんたん証明書請求 - 送信確認 - www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp

ここで「送信実行」をクリックすると、請求情報が送信されます。

FireShot Capture 016 - かんたん証明書請求 - 送信完了 - www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp

送信が完了するとこのような画面になりますので、「処理状況を確認する」をクリックして進みます。

FireShot Capture 017---登記・供託オンライン申請システム---処理状況照会---www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp

これが処理状況照会画面です。請求した情報が表示されますが、この時点ではまだ請求手続きは完了していません
電子納付ができるようになるまで、少し(2〜3分程度?)待ちます。

FireShot Capture 018---登記・供託オンライン申請システム---処理状況照会---www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp

2〜3分ほど待ってから再度「処理状況照会」画面を開くと、処理状況が「処理中」となり、「納付」ボタンが出現しています!
意気揚々と「納付」ボタンをクリックします。

FireShot Capture 019---登記・供託オンライン申請システム---電子納付情報表示---www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp

このような画面になりますので、納付額などを確認し、「電子納付」ボタンをクリックします。
電子納付しない場合は、オレンジ色の枠の部分に記されているペイジー用の情報をメモしてATMにダッシュします。

FireShot Capture 020 - 操作の流れ(1) } 金融機関の種別選択 - shinsei.e-gov.go.jp

ここから電子納付手続きのため、別のサイトに移動します。
銀行名、支店名を選択していき、支払いに利用する銀行口座を指定します。
(※上記画面例は「e-Govウェブサイト」から引用しています。)

FireShot Capture 021---SMBCダイレクト---direct3.smbc.co

各銀行のシステムに遷移して、インターネットバンキング用の画面が表示されます。
(※上記1枚および下記1枚の画面例は三井住友銀行の「SMBCダイレクト インターネットバンキング」のものを引用しています。銀行によって変わると思います。)

FireShot Capture 022---SMBCダイレクト---direct3.smbc.co.jp

上記のようにあれやこれやして、手数料を支払うことで電子納付が完了し、処理状況照会画面に戻ります。

FireShot-Capture-024---登記・供託オンライン申請システム---処理状況照会---www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp

電子納付終了後しばらく(数分)すると、処理状況が「手続終了」に変わります。

17時15分以降に納付した場合は、翌日の受付になるようで、当日中には処理状況は変わらないようです

これでオンライン請求完了です!

あとは、郵便が届くまで待ちましょう。

まとめ

どうですか?簡単そうですか?難しそうですか?

自社の登記情報でも良いですし、取引を開始する会社の情報でも良いですし、気になる会社でも良いですので、いろいろと便利に利用できると思います。

ちなみに、登記情報は誰でもどの会社の情報でも取得できます

冒頭でも記したとおり、主に中小企業が自社の登記情報を取得することを想定した記事ですが、フリーランスや個人事業主でも取引先の情報を把握しておく必要がある場合も少なく無いですし、将来法人化することを視野に入れて「こんな情報が登記されているんだぁー、へぇー」という参考情報として扱うためにも、必要に応じてオンライン請求してみてはいかがでしょうか。

見るだけなら別のサービスもあり

なお、この記事では登記ねっとを利用した「交付請求」について紹介しましたが、登記情報の「閲覧」だけなら「登記情報提供サービス」というサービスもあります。

こちらは、登記情報をオンラインで閲覧(PDFで提供)できるもので、利用料も1通334円(商業・法人登記情報の場合。2020年4月10日現在)と、さらに安価です。

ただ、閲覧だけのサービスのため、証明文や公印等が付加されませんので、様々な手続の添付書類として使うことは(たぶん)できませんのでご注意ください。


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