行政書士専業にすべきなのか?という話
前提として、この記事で行政書士専業というのは「行政書士の仕事のみで収益を上げ、その収益で生活していく」ことを指しています。
私自身は、少しだけ会社員だった頃もありますが、基本的に音楽の専門学校を卒業後、個人事業主として生きてきています。
音楽を作ったり、編曲したり、ウェブサイトやウェブシステム作ったりといろいろやってきており、現在ではさらに情報処理安全確保支援士まで追加しましたが、そのいずれも私個人での仕事です。
それもあって、行政書士の資格を取得後であっても「行政書士業は私の事業のひとつ」でしかなく、それまでやってきた音楽関係やウェブ関係の業務と同列で扱っています。
(現在は時間がとれないため、私名義の音楽関係の仕事はやっていませんが…。)
”専業こそ正義”感
おそらく行政書士の多くが、元々は会社員や公務員など勤め人であり、行政書士として独立して初めて個人事業を開始されているのだと思います。
そのような理由に依るのかどうかはわかりませんが、
「行政書士である以上、行政書士業務だけで食っていかなければならない」
という考えをもっている人は少なくないと感じます。
もちろん、個人事業として行政書士業務だけを行っているのであれば、行政書士業務だけである程度収益を上げないと生活できませんので、そういった点では正しいと言えます。
ただ、この考えに固執するあまり、行政書士業以外の仕事はするべきではない、言い換えれば「兼業は恥」「兼業は負け組」のような価値観を持ってしまっているような人もいるようです。
このような価値観は、私にとっては唯々理解不能なもので、この”専業こそ正義”感は事業遂行にあたってメリットになるものなのでしょうか。
行政書士だけで食っていく??
私の行政書士業は東京都墨田区で開業しており、墨田支部の会員でしたが、開業当初にちょっとしたきっかけで他の某区の行政書士たちと交流が持てるようになりました。
その某区行政書士たちが中心となった懇親会的な会合のお誘いをいただいたので参加したのですが、その会合に参加していた、私よりも数年業務歴の長い初対面の行政書士から前職について聞かれたので、先述のとおり個人事業としていろいろやってきており、それらは継続している旨を伝えたところ、こう言われました。
「あー、行政書士になったのなら、行政書士だけで食っていけるようにならないとダメだよ。もっと努力したほうがいいよ。」
”俺は行政書士業だけで十分食っているぜ?”とでも言いたげに、軽く馬鹿にしているような雰囲気を存分に醸し出しながら。
私は内心「はぁぁぁ??? 何言ってんの???」としか感じなかったのですが、もちろん「ハハッ そうですよね」のような必要最小限の返答だけして、さっさとその場を離れたわけです。
でも、落ち着いて冷静に考えると、このような専業こそ正義だと思っている人は、
兼業している = 行政書士業だけでは食っていくことができない人
という考えしか浮かばず、だから初対面の人に向かって努力が足りないと平然と言うことができるのだな、と思います。
あくまで”個人”事業である
SNSではよく行政書士に関して「食える・食えない」といった話題が定期的に挙がってきますが、もう不毛かつ無価値すぎて考えるだけで時間と労力の無駄でしかありません。
でも、専業こそ正義だという考えが強ければ尚更、この”食える”ことに関しての価値を重視してしまうようにも感じます。
私が行政書士専業を選択せず他の事業も行っているのは、食える・食えないという論点ではなく、収益を上げる必要があるのは行政書士業というミクロな視点ではなく「私個人の事業全体」であって、個人事業として収益を上げられれば十分だからです。
いろいろな事業をやっていると、よく「メインは行政書士ですか?ウェブですか?」と聞かれます。
でも、どんな事業を行おうが、そのすべてが私個人の事業です。
そこに優劣はありません。
メインもサブもありません。
まとめると、私は今後も様々な肩書きをもって個人の事業を継続していきますし、行政書士専業が偉いのではなく個人で事業をすることに価値を見いだすべきだと考えています。
なお、便宜上明示する業務を絞らなければならないこともあり、例えばこのNoteの投稿者名は「行政書士の」としていますし、確定申告書の職業欄もすべての事業を記載できるほど枠が広くないため記載する業種は限定していますが、これは別に優劣を付けている意図でもなく、これはこれ、それはそれということで。
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