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【note私設賞】「野郎どもが互いの名を絶叫しながら殺し合う小説大賞」略して「絶叫杯」開催のお知らせ #拡散希望

 お前は。
 彼女と共に在れた時代を、そんな風にして悔いるのか。
 出会ったことが間違いであったと、愛されたことは過ちだったと、そんな風に切り捨てるのか。
 彼女が、どれほどの思いでお前を選んだのかも知らず。
 俺が、どれほどお前をうらやみ、同時にお前のことが誇らしかったかも知らず。
「お前がッ」
 濁った声が、喉を引き裂く。
「何を背負いこんだかは知っている……何を護りたかったかもわかっている……ッ」
 だけど。それでも。
 それでも問おう。
「どうして去った! どうして彼女の手を離した! どうして――俺たちを見てくれなかった!」
「言いたいことはそれだけか、外道」
 何かの苦痛に耐えるように閉ざされてきた目が、ゆっくりと見開かれ、俺を刺し貫いた。
「貴様の下らん癇癖で、死んではならん者が何人死んだと思っている……恥じる心がひとかけらでも残っているなら、黙って首を差し出せ」
「くだ……らん……?」
 どこかで、何かが割れる音がした。砕け、綺羅綺羅と舞いながら、散乱し、足元に広がる。
 踏みしめるたびに、彼女の泣き声が、聞こえた。
「……ァ……ぁ……」
 胸中で、黒く冷たい塊が膨れ上がり、今にも破裂しそうだった。
 濁った絶叫が上がる。それが自分の喉を傷めつけながら発せられたものであることに、一瞬気づかなかった。
「俺を見ろ! 俺たちを、見ろよぉ……! 紫藤ォォォッ!!」
「その悲痛の万分の一でも、どうして難民たちに向けてやらなかった! 加那原ァァァッ!!」

 いい。いいものだ。心が洗われる。
 男たちが激重感情をぶつけ合いながら殺し合うさまはこの世の何よりも美しい。
 特に互いの名を絶叫したりするともうたまらない。きっと前まではそれなりに気安い間柄だったのではないだろうか。親友か。兄弟か。ライバルか。親子か。同じ女を愛した者同士か。あるいはその時初めて対面した、しかし今まで存在だけは知り、最大の警戒を向け合っていた宿敵か。互いの名を絶叫するという状況は、もうそれだけでドラマがあったことを前提として要求してくる。胸を打たずにはおかない。
 だが、悲しいかな本邦における野郎どもが互いの名を絶叫しながら殺し合う文学は、お世辞にも隆盛しているとは言えない。さまざまな不安に満ちた世相の中で、フィクションの役割は「ひとときの癒し」であることが強く求められるようになった――と言う人もいる。だが、現実の苦しみや悲しみを知るからこそ、登場人物たちが足掻きながら出した答えに力をもらう人とて同様にいるはずだ。このままではそうした人たちも、自分が野郎どもが互いの名を絶叫しながら殺し合う文学を求めていたことを忘れ去ってしまうかもしれない。筆者はそういう可能性を強く憂えている。野郎どもが互いの名を絶叫しながら殺し合う文学の健全な発展のために、誰かが立ち上がらなければならない。そういう強い使命感が、

いやごめん嘘。本当は俺がそうゆうの読みたいだけです。

 えー、なので「野郎どもが互いの名を絶叫しながら殺し合う小説大賞」略して「絶叫杯」を開催したいと思います。

レギュレーション

・野郎どもが互いの名を絶叫しながら殺し合うシーンが存在する、完結した小説作品を広く募集します(極めて重要なポイントですので厳守をお願いします)。ジャンル不問。必ずしも悲劇である必要はありません。

・プロ・アマ不問。

・文字数制限は上限、下限ともにありません。とはいえ題材的に、それなりの尺はあったほうがエモを導きやすい気はしますが……短くとも審査団(一名)の魂を打ち抜ける自信がある作品ならば、もちろん大歓迎です。そして大長編を送ってくれても私は一向に構わんッ!!

・締め切りは2021年6月末日。日付が変わって7月になった瞬間、締め切らせていただきます。

・note記事として「#絶叫杯」タグをつけ、冒頭か末尾に本記事へのリンクを張って投稿してください。
(12/8追記:「一人一作まで」というルールがありましたが、「参戦作品があんまり来なくてエンドオブメキシコする」のと「参戦作が多すぎて七月にめっちゃ苦労する」のとどっちがいいかを考えた結果、圧倒的に後者のほうが良いので、このルールは撤廃します。本命作を撃ち放つ前に、短めの奴で素振りして感覚を掴んでみるのも良いのではないでしょうか!!!!)

・今のところ審査員は筆者バール一人だけの暗黒独裁体制です。最も筆者の心を揺さぶった作品の作者様には初代絶叫王者の名誉とともに、賞金五千円をサポートとして進呈いたします。が。投稿作品数が10を超えた瞬間から、賞金が倍の一万円になります。いや……その……だいぶニッチな題材を募集している自覚はあるので……その……ねえ? なんで一万円かと言えば、それがnoteで投げ銭できる上限額だからです。たくさんのご応募お待ちしております! マジで!!

・一次、二次選考とか副賞とかそうゆうのはありません。なるべく作品に優劣をつけたくない思いがある。ただし、投稿作品すべてにレビューを書くつもりでいます。

・絶叫王者の発表は7月末日を予定していますが、投稿数が予想を遥かに超えて多かった場合、遅れる可能性があります。

・何か質問があれば、本記事のコメント欄にお願いします。

 そうゆうわけで、素敵な激重感情のぶつけ合いをお待ちしております!!

 「ほーん、ちょっと面白そうだけど、書くのは難しそうだしな……」とか思ったそこのあなた!! ならばツイッターとかでこの記事をシェアしておくれ……!! 「あ~、野郎どものクソデカ感情のぶつけ合いを書きてえなぁ、でも受けそうにないからやめとくか……」とあきらめた経験のあるすべての人々にこの催しを知って欲しいのです。冗談抜きで、絶叫杯が成功するかはあなたが気まぐれにシェアボタンを押してくれるかどうかにかかっています。

 なお、なるべくジャンルや雰囲気などに囚われず、公平に審査していきたいとは思っていますが、人間なのでどうしても好みの作品を贔屓してしまう可能性は否めません。よって、

 事前に筆者の好みを把握しておくと有利かもしれませんね(ゲス顔)。kindle unlimitedに入っていれば無料で読めるよ!

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