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睡眠時間をその手に取り戻せ 【ニュージー無職日記】

夜11時に寝て朝8時に起きる生活リズムが板についてきた。毎日快調な9時間睡眠で実に気持ちがいい。寝たいときに寝て起きたいときに起きる、これを徹底するだけで少しずつメンタルが整っていくのを感じる。

スタミナドリンク、入浴剤、安眠用枕などなど、世の中にはリラクゼーショングッズがあふれているが、結局のところ睡眠時間さえ足りていれば大抵のストレスは消えて無くなるのではないかと思う。

以前日本で働いていたとき、忙しいときには一日6時間も寝れればいいほうだった。夜の11時にオフィスを出て、1時間半かけて家まで帰り夜1時頃に寝て、朝の7時には起きて出勤する。目には覇気がなくなり、歩くのも辛くなった。ときどき心臓の周りに突き刺すような痛みも走るようになった。ストレスから来る肋間神経痛というやつだと後になって知った。

体調が一気に良くなったのは、会社から徒歩1分の距離にアパートを借りてからである。これが実に快適でメンタルの安定に大きく役立った。夜11時にオフィスを出ても11時半には寝られる。朝は8時まで寝ていても余裕で出勤できる。長時間勤務の仕事には職住接近こそが必須であるなと身をもって理解できた。睡眠は質ではなくて量なのである。

日本人のほとんどが農耕で生計を立てていた時代は、日が落ちたら寝て日が昇れば起きればそれでよかった。必然的に8時間以上は寝られることになるので、睡眠不足にもなりにくかったはずだ。電気の普及で夜も明るくなり活動できるようになって、睡眠時間を削ってでも何かを生産することが可能になった。そして現代人は自分の理想の睡眠時間を見失った。

テレワークが急速に普及したこの世の中、みんな1週間くらい眠くなったら寝て起きたくなったら起きる生活をしてみればいいのだ。自宅勤務なら通勤電車の時間を気にして目覚ましをかける必要もない。今までびっくりするくらい睡眠時間が足りていなかったことに気がつく人が多いのではないか。

1日6時間睡眠がベストだのどうのと言われるようになったのはいつ頃からだろうか。おそらく、度重なる残業や郊外への移住による通勤時間の増加に伴って、従来どおりの8時間睡眠を確保できなくなった現代人が、最低限これだけ寝れば大丈夫というお墨付きを得たいがためにいずこからか引っ張ってきた出鱈目な数字に違いない。6時間で足りてる人はそれでもいいが、多くの人はそれじゃすまないはずだ。

睡眠をおろそかにする人間はことごとく早死にする。昭和の漫画家たちを見ればそれがわかる。何度も徹夜して作品を描き続けた手塚治虫や石ノ森章太郎は60歳で死んだ。毎日しっかり寝ることを欠かさなかった水木しげるは93歳まで生きてついには妖怪になった。

こうして無職のおれにひとつの目標ができた。毎日ちゃんと寝る。寝ることによって自分の人生を取り戻す。ちゃんと寝て長生きして、おれも妖怪になりたい。

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