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新たな髪色で新たな無職生活【ニュージー無職日記】

朝の10時から美容院に行って、終わったのが昼の2時。ブリーチはいつも時間がかかる。その分終わったときの晴れ晴れとした気持ちは何者にも代えがたい。今朝まで田舎のヤンキーのような金髪だった髪の毛が、今では透け感のあるアッシュブラウンに染まっている。きーもちいー。

これまでほとんど派手に髪を染めることなく生きてきたので、30代半ばにもなって髪色をいじる楽しさに目覚めるとは思わなかった。通う美容院を変えたのをきっかけに、金のメッシュをいれたりアッシュに染めたりとやりたい放題している。別に無職になってヤケになっているわけではなく、ふつうに会社に勤めているうちから髪で遊んでいたことは強調しておきたい。IT企業は往々にしてファッションに寛容なのだ。

普通は茶髪や金髪など20代で卒業して、社会人になったらおとなしく黒髪で生きていくものだろう。おれもそう思う。いい年こいて若作りしちゃってる痛いやつと見る人もいるだろう。しかしほかの人がどう感じるかは別にして、おれは明るい髪のほうが気分が上がるし自信も持てるのだ。

30歳を過ぎてから、急に白髪が目立つようになってきた。特にもみあげ周りがひどく、髪を切ってから2週間もするとわっさーと生えてくる。黒く染めるとかえって白髪が目立つのである。その点、アッシュなど思いっきり明るい色にしてしまえばあまり気にならない。ビートたけしや所ジョージの髪を思い浮かべてみれば意図が伝わると思う。

髪型や髪色を頻繁に変えるようになったのはここ半年ほどのことだが、やはり自分自身に飽きてきていたのかなと感じる。プログラミングの仕事自体は楽しんで続けていたが、今ひとつ技術者としてのレベルアップが感じられなかったし、かといって突き抜けるための努力をするモチベーションもなかった。いい給料を得るためだけにコードを書いているような自分が嫌だったし、常にハイパフォーマンスを見せる同僚たちと比べてもずっと負い目を感じていた。

不思議なものだが、髪型をガラッと変えるだけで、自分にはまだまだ可能性があるかのような気がしてくるのだ。1000円カットで毎回同じ髪型にしてもらうのも悪くはないが、それは今までのルーティンに自らをまた放り込む行為である。美容院に入ってまったく新しい見た目になって出てくれば、大袈裟に言うならば、そこから新しい生活が始まるわけじゃないか。今の生活に悶々としている人は、一度1万円握りしめてちょっといいサロンに行ってみたらいいんじゃないだろうかと思う。無職のおれが言うのもなんだけど。

伸びすぎた前髪もすっきりして、桜も咲いて、春の無職生活が始まる。次はどんな色に染め直そうかと、今からもう考えている。

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