主題歌:「hope」マカロニえんぴつ

「私は40歳で死ぬ予定なんだけど」

そういって君は微笑んだ。一番白い笑顔を見せてくれた。この子はこの世界を愛しきれず、絶望を感じているのだろうか。それとも愛せないこの世界と別れられることに希望を抱いているのだろうか。僕にはわからない。でもきっと、悲しんでいる。僕はそんな彼女を救うことはできない。

僕は彼女を高校から知っている。正確には、”彼女の背中”を知っている。

高校の彼女は周りのイメージの殻の中に閉じこもっていた。僕はそんな事にも気づかずそれがホントの姿だと思っていた。二年ぶりにあった彼女は変わっていた。いや、正確には変わっていないのだが。僕たちのイメージとは異なる姿をしていただけだ。それでも、そのか弱そうな、寂しそうな背中はあの頃のままだった。彼氏ができたときに見た背中、絵の具パレットを洗っている背中、全校集会で体育座りしている背中。思い出の彼女はいつも寂しそうな背中をしていた。

それでも、何もないようなそぶりを見せる。

今度会ったら、その背中を少しでも寂しさから解放してあげたい。

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