記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

二度目に気づく、映画 HELLO WORLD の細かい演出

(本記事は映画 HELLO WORLD のネタバレを含みます。また、ある程度本編への理解があると読みやすいと思います😀)

映画 HELLO WORLD を先日オンラインレンタルで観てどハマリしました。演出の細部に神が宿った作品でした。映画館で観たかった!!

そんな映画 HELLO WORLD で個人的にグッとくる演出を集めてみました。「そうそう!」と同意していただけるものや、「そうなの?」と疑問を持つものもあるかもしれません。Twitter に垂れ流す長さでもないので、note に記した次第です。ので、文章が読みにくいかもしれませんがご容赦ください💦

セリフの「間」

"ハイスピード" SF青春ラブストーリーの名の通り本編は怒涛の展開をみせます。しかし告白シーンやためらうシーンでは十分な間があり、感情移入するための時間をしっかりとってあることがわかります。プレスコ方式の為せる技?

個人的には夕暮れの図書準備室の堅書くんと一行さんの会話の間が大好物です。「がんばれ!」と応援したくなったり、二人のぎこちなさに胸が変な音を立てたりします。

効果音

主に前半です。ナオミはアバターなので世界に触れることができません。にも関わらず、接地音(倒れる、歩くなど)が入れてあります。

おそらく、この効果音がなければ「ん?」という疑問符とともにスクリーンの世界から現実に引き戻されることでしょう。ストーリー的に深い意味はなく、単に不自然に見えないようにする工夫だと考えています。

ナオミの影

前述の音響面と反する工夫です。映像面ではナオミの「異質感」をふんわりと漂わせる工夫があります。ナオミの影を地面に投影しないことで、世界から浮いた印象を与えます。ただ、不自然になりすぎないようにナオミ自身の表面の影はそのシーンの光源に基づいています。

なお後半、B世界に入った直実には影があり、先のナオミと同列のアバターではないことがわかります。なぜ実体なのか?詳しいことは考察班に任せますが、A世界とB世界の狭間でカラス(C世界の存在)がいい感じにコンバートしてくれたんだと捉えてます(適当)。

2Dアニメっぽい表現

本編は一部を除き、3D グラフィックによるキャラクターモーションがふんだんに駆使されています。3D グラフィックが進化したとはいえ、まだまだ 2D アニメーションの "アニメーションとしての" 自然な動きとは乖離があるように感じます(3D 世界の私たちが 2D を自然だと感じるのもおかしな話ですが、それはまた別のお話)。そんな乖離を埋めるための工夫が随所に見受けられます。

例えば、直実が一行さんのお尻に突っ込んで叩かれるシーンで「好感度下がってるじゃないですか!」というセリフがあります。このときの焦る直実のモーションが不連続になっていて、従来の 2D アニメーションを意識しています。さらに「💦」←こんな感じの汗もあとから書き込んであり、我々が今まで慣れ親しんだ 2D アニメーションの文脈に沿った表現になっています。好き。

── 以下はストーリー的な演出を含みます ──

ナオミの「フw」

観光客用のアルタラ施設に直実を連れてきて見学しているときのナオミのセリフです。ガラスの向こうの研究者ルームでおどける千古教授を見て、ナオミが「フw」と声をもらします。

初めて観たときはスルーしてしまいましたが、二周目にその声に気づきました。千古教授の変わらない姿に、ナオミは十年前のアルバムを見ているような気持ちになったのでしょうか。特に重要ではありませんが、ナオミの気持ちを垣間見ることができるシーンの一つです。ANOTHER WORLD を観てからこのシーンを観るとまた違った解釈ができるかもしれません。

直実の足元

冒頭、赤に変わろうとする歩行者信号を渡るかどうか決断できない直実の「止まる足元」の何気ないカットが大好きです。

後の決断の要所で同じ構図で直実の「踏み出す足元」と効果的に対比することができ、彼の成長を感じることができます。(オーロラに飛び込む決心、狭間の世界での瑠璃を連れ戻す決心)

ナオミの足元

クライマックス、ナオミの「踏み出す足元」のカットが大好きです。これはナオミの足元ですが、上記の直実の足元とも十年の時間を経て遠くつながっていて、作品に一本の筋を通しています。

落雷で意識が戻らなくなった一行さんを取り戻すことをナオミは固く決心します。 ナオミはそれからいろいろなものを失いながらその決意を形にしようとします (ANOTHER WORLD)。何も決断できなかった過去の彼はそこにいません。度重なるダイブ試行の末、ついに踏み出すための足が動かなくなってしまいます。

そしてクライマックス、直実と瑠璃のために、「大切な人のために」動かないはずの足で踏み出します。十年前の歩行者信号の足元の映像がフラッシュバックします。号泣。

二度の同じ回想

クライマックス、尺が短いにも関わらずまったく同じ回想がわざわざ二度繰り返されます。一度目は直実視点、二度目はナオミ視点です。

ナオミ視点だけ最後に2カット追加されるのに気づきます。一つは大階段での瑠璃の「あなたは私を愛してくれたんですね」のカット。そしてもう一つは図書準備室での直実の告白を遠くで優しく見守るナオミのカット。

最強マニュアル通りに直実を動かしたがっていたナオミはなぜ後半(深夜の図書室以降)過度な干渉をやめたのでしょう??はい、号泣。

白紙の「最強マニュアル」

これはわかりやすいカットですが大好きです。クライマックス、開闢後の空間に飛んでいく最強マニュアル。

そこには何も書かれていません。ページはバラバラになって飛んでいってしまいます。新しい世界で直実がどうすべきかを示唆しています。好き。

本編終了時のロゴアニメーション

HELLO WORLD の "WORLD" 部分のみ白地に黒に反転するアニメーションです。新世界に遷移する様を示唆しています。

このシンプルすぎるロゴデザインの中に映画の主たるメッセージが詰まっていてホント好きです。新世界には時空間的な意味の他に、精神的な意味も含まれます。たぶん。

(悔やまれる演出!)エンドロールの位置

エンドロールは月面シーンの前に持ってきたかった!(監督も言ってる https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1585905988

あのシーンで「ファーー!!」ってなった後に考える猶予を与えずに終わってほしかった!映画館出ながらふわふわ妄想する時間。

まぁ私、映画館で観れなかったんですけど!!


以上、にわかハロワ民の私が好きな演出(シーン?)でした。失礼いたしました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?