【お知らせ】「雨の牢獄」解答篇掲載を一時中断します。

前回の解答篇(八)の掲載が一年前なので「なにをいまさら」ではありますが、なんの声明も出さないのは輪をかけて不誠実なので、ここに正式に表明しておこうと思います。以下、事情についての説明します。

掲載中断に至った経緯について

私は飲食業およびイベント業を本業としており、昨年2020年1月に独立と移転をしたのですが、直後、コロナ禍に見舞われ、その対応に追われる日々が続いています。

時間を捻出しながら「雨の牢獄」の掲載を不定期で続けていましたが、2020年の秋以降はGo To トラベルや年末営業の対応などに時間を大きく割かれ、ここでまず時間的な余裕がなくなりました。

年が明けた直後、金沢は大雪に見舞われたのですが、雪かき等での体力的な無理もこの時期はありました。

そんななか、今年2021年1月に賞を頂くという名誉な出来事があり、このまたとない機会にと同年3月に東京・六本木でワンマンリサイタルを開催しました。地元メディアの取材も多数重なり、ここしばらくでは物理的な忙しさのピークはこの時期だったかなと思います。

春になり上記ふたつが落ち着いたため、執筆に戻ろうとしたのですが「長文が書けない」、それ以前に「物事を考えることができない」という状況に陥っていることに気づきました。

これはこのように文字で客観的に説明しても深刻なことには読めないと思いますし、私とて他人に起きたことなら簡単に考えて済ませてしまったと思うのですが、「少しでも複雑なことを考えると、途端に頭が真っ白になる」という状況は、いざ実感してみるとこれは相当な恐怖であり絶望でした。

一例を挙げるなら、一番ひどいときは「仮定を前提とした話が困難」なため「一切のスケジュールを立てることができなかった」と書けば、すこしは大変さが伝わるでしょうか。

所謂「ブレインフォグ」(Brain Fog、脳の霧)の状態なのだったと思います。

これは新型コロナ感染の後遺症としても最近は知られるようになりましたが(ちなみに現在に至るまで新型コロナに感染してはいませんので、念のためお伝えしておきます)、実は3年前にもこの状況に陥ったことがあり、当時は「過労」「睡眠不足」「飲酒」等のストレスが複数重なる状態が続くとこれになりやすいとの診断を受け、以来、プライベートでの飲酒はほぼほぼおこなっておらず、無理を控えるように気をつけてはいるのですが、経営者という旅場、また独立してから日が浅く、諸々の不慣れも相まって、このような状況に陥ってしまいました。

時期としては2021年6~7月が最もひどく、このころは複数行にわたるメールのやりとりさえ困難で、本業にも大きく支障をきたしました。

2021年6月18日に金沢市内の飲食店に対して時間短縮営業要請があり、これを受けるかたちで当店マジックカフェ&バーBELIEVEは「予約時のみ営業」というかたちでの事実上の休業に踏みきりましたが、ここで思いきって休養が取ったことがさいわいし、おかげさまで波はあるものの最近は小康状態にあります。

2021年9月14日現在、時間短縮営業要請の延長を受け、店舗営業においては9月30日までは「予約時のみ営業」というかたちでの対応が続きますが、取材によるインタビューや、対談や座談会といったかたちで、本業の活動自体は再開しており、パブリックなものに関しては公開次第あらためてご案内いたしますが、

「雨の牢獄」を楽しみにしていただいている皆様に対しては、一切の説明のないままに長期の掲載中断となってしまった/しまっていることを、ここにお詫びします。


発表の今後について

非常に申し訳ないのですが「状況の許す範囲で書き、完結を目指す」としか言いようがありません。

「せめて2021年内に」という想いはありますが、確約はできません。

上記の物理的な側面以外に、作品そのもの自体について執筆のネックになっている事情があるのですが、それを説明するためには、「雨の牢獄」の内容に踏み込まなければいけません。


作品自体が抱えている問題について

(以下、「あとがき」用の内容を一部放出するため、公開済みの解決篇の内容を多分に含みますので、ネタバレ部分は https://bit.ly/3huBrtG のように伏字にします。内容を読みたいかたはURLをクリックして遷移先でそれをご覧ください)

今回のオンライン連載版「雨の牢獄」は、2014年秋に執筆した犯人当て朗読作品「月島邸事件」がベースにしていますが、実は「雨の牢獄」の犯人特定のメインロジックそのものは「月島邸事件」から一切変更がありません。なので、本来は「月島邸事件」の解決篇をそのまま小説化するだけでよかったはずなのですが……

ここでネックになるのが、本作の〈足跡の密室〉を成立されているトリックの「性質」にあります。

この〈足跡の密室〉のトリックの性質は、解決篇(三)および(四)で触れられているとおり、https://bit.ly/2VCzZO2 ものです。

これは本作を解くうえでの非常に大きなヒントなのですが、本作の犯人は最終的には https://bit.ly/3z6nlEJ によって特定されます。

余談ですが、本作の https://bit.ly/3E82Knc では https://bit.ly/3E82Knc が用いられていますが、この目的は大きくふたつあり、ひとつは勿論〈足跡の密室〉のトリックの発覚を困難にするためですが、作者の意図はもうひとつの https://bit.ly/3CchnV0 にこそあります。フーダニットのロジックにおいて https://bit.ly/3Ac2nFM は重要な要素のひとつですが、これを操作するために https://bit.ly/3E82Knc を用いるのはなかなかにユニークなのではと自負しているのですが、どうでしょうか。

ところが、解決篇(五)および(六)で示された https://bit.ly/3Cbg9sQ が端的に示しているように、https://bit.ly/2VCzZO2 ことを複数回にわたっておこなったとするなら、 https://bit.ly/3z6nlEJ による犯人の特定が不可能になる可能性が生まれてしまいます。

実はこの、解決篇(五)および(六)で示された https://bit.ly/3Cbg9sQ は今回の執筆の過程で偶発的に生まれたものでした。

これによる https://bit.ly/3z9pdwo という趣向自体は「月島邸事件」の構想時点で狙っていたものの実力が及ばず実現できなかったので、思いがけず達成できた点においてこれは嬉しい誤算だったのですが、同時に「ロジックの前提に穴があるのではないか」との危惧が生まれてしまったことも事実で……いや、このあたりは精査すれば実際には大した障害ではないのかもしれませんが、以前よりも思考力が落ちている現在の作者では、上手く整理できないのです。

ちなみに本作にはもうひとつ大きな懸念点があり……

解答篇(八)で示された事実は、以降の推理の「前提」としていただいて構わないのですが、そうなると「来客が控えているという切迫した状況下において https://bit.ly/2XeH6gi が極めて希薄」という問題が生じてしまいます。これは一般的な犯罪小説ならさておき、本格ミステリ、特に犯人当てというフォーマットでは重視されなかったりもするのですが、作者本人にとって気がかりだったのは間違いなく……

幸いなことに、こちらも今回の執筆の過程で「小説的に」解決する方法を思いついたのですが、そのためには作品全体を「より小説的に」書き直さねばなりません……

***

さて、このような状況のなかで、あくまで「雨の牢獄」という作品を軸に、皆様に愉しく考えていただくことはできないか、を考えた結果、上記のように「あとがき」の内容を一部公開することとしました。

現在公開中の解決篇の最新部分まで読了のうえ、上記の伏字部分を読んでいただければ、犯人当て小説――特に〈読者への挑戦〉がいかに茨の道か、その一端をご理解いただけるのではと思っています。

実は https://bit.ly/3ljz4uV という内容も本作のテーマだったりするのですが、こちらも「より小説的に」本作を仕立て直さないと書くことが難しく……

ひとまずは今回のアップデートが、現状の私にできるかぎりのせいいっぱいの誠意です。ご理解いただければ幸いです。


最後に(お願い)

既に何度か戴いていますが、作者に対する敬意のないDMやメッセージの類はご遠慮ください。期待の裏返しだと理解するように努めていますが、当然ながら私にも感情があり、粗暴な発言に対してはなかなか心中穏やかにはなれません。作品の完結を応援いただけるのであれば、罵倒以外のアプローチでお願いします。

サポートは「Amazon欲しいものリスト」からも受けつけています https://www.amazon.jp/hz/wishlist/ls/2IR0DQ4XDNN02?ref_=wl_share