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【小説】Schizophrenia §4 労働の火照りと同級生、甘酸っぱい記憶

労働の火照りにシャワーは最高だった。
さて飯だ。何をしたものか。と言っても冷蔵庫の中身は決まっていた。じゃがいも、人参、玉ねぎ。カレーだ。
量の一室にはスパイスの香りが充満していた。芳しいも芳しい。小学校以来の遭遇に胸が高鳴る。
白米の白銀とルウの黄金を一匙。当たり前にうまい。思ったよりも時間をかけないと調理がうまくいかないことは寮に入って初めて料理をしたときに痛感していた。初めての自炊で作ったのは野菜炒めに味噌汁。あの歓迎会の後だったはずだ。歓迎会でも「これから初めての自炊で、野菜炒めと味噌汁を作る」と言っていた。それに覆いかぶさる「定番だね」の一言。余計だと思った。
自炊一日目をラインのタイムラインに載せたところ、高校一、二年の同級生近岡がいいねと共に「まりんの方が上手くできるし笑笑」と一言。これまた余計だ。

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