見出し画像

アナウンサーへの道(2)

アナウンススクールと大学のアナウンスサークル

「アナウンススクールに通わないと、アナウンサーになれないんですか?」

よく聞かれる質問です。

確かに採用試験の準備のために、大学時代にアナウンススクールに通う人は多いです。

3日間くらいの講座も含めれば、アナウンサーの8割くらいは通った経験があるかもしれません。

でも、通わないでアナウンサーになった人ももちろんいます。

アナウンサーは、理容師や建築士のような資格が必要な職業ではありません。また、スクールでアナウンス技術が向上したといっても、何点以上取ったら合格というものでもありません。アナウンスがうまいかどうかだけで採用が決まるわけではありません。

スクールに通い、局アナに顔を売ることで有利に働くと思っている人もたまにいますが、そんなこともありません。昔は書類審査くらいは通してもらっていましたが、今はそれもないのが実情です。

だから通わないとなれないというのは、間違いです。

アナウンススクールに通う理由は?

では、アナウンサーの職に就いた多くの人が、スクールに通っていた理由とは何でしょうか。

  • アナウンサー試験の情報が入ってくる

  • 現役アナや内定者の話を聞ける

  • ライバルの力量がわかる

アナウンス技術を学ぶ以外でよく聞く理由は、この3つです。

しかし大学の放送系サークルでも実は同様のことは可能です。

活動内容の熱心さはサークルによって千差万別ですが、早稲田大学アナウンス研究会や法政大学自主マスコミ講座など熱心なところでは、普段の練習を含めアナウンススクールと同じか、むしろそれ以上の活動を行っており、レベルもかなり高いです。

皆さんが通う大学のサークルをのぞいてみて、スクールに行かなくても同様のことができるなと考えれば、わざわざ高い費用を払ってアナウンススクールに通う必要はないと思います。

逆にそういった場が身近にない人は、短期間でもかまわないので、一度アナウンススクールに通って、アナウンサー試験のための準備をしておいたほうがいいと思います。

高校の放送部は?

結論から言うと、有利になることはほぼないという印象です。

高校の放送部の甲子園ともいうべき、NHKの全国放送コンテスト。過去の上位入賞者からアナウンサーが誕生しています。

しかしキー局のアナウンサーがほとんどを占めるかというと全くそうではありません。むしろ地方局のアナウンサーが多い印象です。しかも局アナになった人数は、けっして多くはありません。

全国大会で優秀な成績を収めればプロからドラフトされる高校野球などとはこの辺りが違うところです。

なぜか。それはコンテストで求められるアナウンスと実際のプロのアナウンサーに求められているものが少し違うからです。

昭和の時代は、正確なアクセントで滑舌も完璧で、癖もない、形式ばったアナウンスが求められていました。しかし現在は、より人間性を感じられるアナウンスが求められています。

アナウンサー試験では、型にはまっている人を敬遠する傾向にあります。

高校の放送コンテストでは、全体に無難さ、完璧さが求められ、実際の放送レベルでみると、アナウンスとしてはうまいのだけどそこまでという評価にとどまりがちです。

大学生になって、高校で学んだ基礎を生かして、自分の個性をうまくかけ合わせられるかどうかがプロになるためには重要です。

ミスコンはアナウンサーの登竜門?

大学のミスコンが世間の注目を集めるようになったのは2000年代半ば。

ミスコン出身者が民放キー局のアナウンサーとなり、大学ミスコンは「女子アナウンサーの登竜門」と位置づけられるようになりました。

そしてアナウンサーを目指す女子学生が多く出場するようになり、そこで賞を獲った学生がアナウンサーとなり、その流れはより加速していきました。

ただ結論から言えば、登竜門というよりも、アナウンサーに採用された人に「ミスコン歴」があったというだけです。

ミスコンに選ばれること自体が、その人にもともと魅力があったから受賞したわけで、当然、それ以外にアナウンサーの資質が備わっていたら、その人は高い確率でアナウンサーになれます。

ですから、単に肩書を得るためだけに、コンテストのようなものに片っ端から応募していくのは、経験としては悪くはないですが、受賞=アナウンサーとして優位に働くというのは早計です。

逆に落選したからと言って、アナウンサーになれないというわけでもありません。

また最近は、大学のミスコン以外に、○○大使のようなものも乱立していて、アナウンサー志望者の女性の20人に1人くらいは、そういったものを経験している印象があります。

もちろん、「選ばれた」事実は自信につながると思いますが、似たような経歴の人が多くなっていることを考えると、そこでの活動を通して、何を得たのかということをしっかりと話せないと、ただ肩書を得ただけに終わってしまいます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?