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天理教に関係ない記事どす

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創作だったりエッセイだったり戯れ言だったり。
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記事一覧

迎え鐘とお精霊(おしょらい)さん 【三部作の1】

【プロローグ】 京都東山の麓、北は五条坂から南は今熊野付近までの一帯はかつて鳥辺野と呼ば…

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超短編 白いパラソル (小春へのレクイエム) 【迎え鐘とお精霊さん/続編に代えて…

2022年夏PM2:00 -漁港にて- ダシ(山から吹く風)が吹いているのだろう。波の音も聞こえず…

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運動会 【三部作の2】

今日は我が子が通う小学校の運動会だった。 田舎の漁師町のことゆえ早朝から親類縁者総出で場…

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邂逅 【三部作の3】

父の死から5年が経った。40年以上も前に28歳の母と、生後3ヶ月の私を残し、失踪したろくでな…

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夏の箸休め4 国語の時間 『新明解国語辞典』はいい奴だ。

ある夏の午後2時。太陽は中天に耀き、蝉しぐれが絶え間なく鼓膜を叩く。 狂おしい夏に絡め取…

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勝ち組と負け組 日の丸と君が代 Brasilシリーズ1

今日はちょっと毛色の変わった記事を書きます。 このところサッカーやラグビーのワールドカッ…

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『鉄路にて』Brasilシリーズ2

序章大柄で屈強な男がゆっくりと近づいてくる。凶相をしたアフリカ系ブラジル人だ。その目は確実に私を捉えていた。 全速で走行している列車の中という逃げ場のない状況。 漆黒に近い男の顔からは喜怒哀楽を読み取ることができなかった。だが少なくとも国と人種の枠を超えた友好関係を結ぼうとしているわけでは無いようだ。男が醸し出す禍々しい雰囲気はそれほどに雄弁だった。 断っておくが、僕には何人かのアフリカ系の友人がいる。それも真っ黒の。僕は肌の色や人種に対する偏見がまったくない。しかし男は僕に

ジャカランダの樹の下で Brasilシリーズ3

ブラジルに移民した広瀬弓(ゆみ)さんが60数年ぶりに日本への一時帰国を果たしたのは、平成12…

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真夏の青空のような人

朝からうだるような暑さだった。 昼イチで会長(教会ではなく株式会社の創業者にして代表取締…

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夏休みの読書感想文『徒然草』考 その1

あらかじめ言ひおけど、此の記に天理教につきての譚はあらず。 いにしえに師より、『徒然草』…

夏休みの読書感想文『徒然草』考 その2

さて、兼好法師は多くの僧侶を諧謔と風刺を織り交ぜて描いている。 『徒然草』が1330年から133…

夏休みの読書感想文『徒然草』考 その3

【色好まざらん男は いとさうざうしく】 遊び人(仕事もせんと、つれづれなるままに好きなこ…

夏休みの読書感想文『徒然草』考 その4

キーンさんは偉い。なんといっても「従三位」なんだから。「従三位」という位は律令制下では苗…

夏休みの読書感想文『徒然草』考 その5

兼好法師の実家である卜部家が、代々京都の吉田神社の神職を勤める家系であり、歴代天皇の即位の礼にも、卜部家が亀卜(亀の甲羅を使った占い)を行ってきたことは以前の記事で書いたよね。 大正天皇の御大典にも卜部の家々に亀卜を行なうように命が下りているんだ。 そもそも、卜部家は古代から呪術的祭祀の「道饗祭」を司っていて、都の内外を画する境界で人々に害をなすモノ(疫病や悪鬼など)をくい止める役目も負っていたのさ。 さて、そうした出自を持つ兼好なのだけど、怪力乱心、あるいは百鬼夜行などの怪