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夢をカタチにする相川びと/北村酒店・北村龍さん

新型コロナウィルス第五波がようやく収まりをみせた2021年9月26日(日)。佐渡市相川でプロレス大会が開催されました。

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プロレス大会を主催しているのは、佐渡相川で酒店を営む北村龍さんが代表の、相川の仲間たちでつくった団体「AWGP」(エーダブルジーピー)。
市民団体で開催されているプロレス大会はめずらしく、AWGPは佐渡相川で2020年から秋に開催されています。※2020年はコロナの影響で中止

プロレス大会の開催だけではなく多方面で活動し、やりたいことを実現しているAWGP代表の北村さん。
どのようにして夢を実現しているのか?
北村さんにお話しを聞いてきました。

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北村 龍 Kitamura Ryu
1973年佐渡市生まれ。高校卒業後、新潟市の基板設計会社に勤務。2年後退職し佐渡へUターンし、お父様が営む酒屋に入る。2017年、お父様の他界により家業を継ぎ現在に至る。店舗販売だけでなく、約18年前からインターネット販売を積極的に行い、新潟のお酒を中心に全国へ販売している。2010年から開催しているプロレス大会のほか、地元ケーブルテレビ「佐渡テレビ」での番組制作・出演、各イベントでの飲食販売の出店、自主イベントの開催など多くの人を巻き込み、幅広く活動をしている相川びと。

佐渡にプロレスをよぶ夢を実現し、10年以上の継続。

——昨年はコロナの影響でプロレス大会は中止となり、今回2年ぶり11回目の開催となりました。今年の大会を終えてみていかがでしたか?

まず言いたいことは、スタッフへの感謝です。スタッフがいないと絶対にできませんから。
みんなボランティアで手伝ってくれるスタッフで、メンバーは30人くらいいます。

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——スタッフはどのような人たちですか?

もともと商工会青年部のメンバーで始めたのですが、一緒に飲んでいる仲間や、その仲間の仲間だったり。
メンバーはだんだん増えてきたんです。

——みなさんプロレスが好きな人たちなのですか?

プロレスに興味ある人は少ないです。3人くらいしかいないですよ。
インタビューでは偉そうに話していますけど、自分の手柄でもないし、みんながいないと出来ない事なので、何度も言いますがスタッフのみんなには感謝しています。

——なるほど。毎年継続して開催していることで相川の「お祭り」になって、スタッフメンバーが増えていったのですね。今回が11回目の開催でしたが、お客さんの方はいかがですか?

「11回目」というナンバリングはしていないんです。第○回などと、ポスターにも書いていません。
それはお客さんにとって、回数は関係がないから。見に来てくれるお客さんが一番であると考えています。

嬉しいことに毎年楽しみにしている人がいて、3月くらいになると「今年もやるんですか?」と電話をかけてくる人が何人かいるんです。「早めに休暇を取りたいんです!」と。

佐渡島内だけでなく、島外の人も。女の人もいるんですよ。

その時点ではまだチケットはないし、誰が来るかも決まっていませんが、その人の名前を聞いて受付をすると、「わたし、これで半年間、仕事をがんばれます!」と言ってくれるんです。とってもありがたいです。

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——それほどまでにコアなファンが・・・。その理由はなんでしょう?

今回はコロナで制約があったのですが、本来は2倍3倍の盛り上がりがあるんですよ。
コロナ前は立ち歩きができて、選手が入場してきたら、みんな寄ってきてハイタッチができるんです。
他にも紙テープを用意してお客さんに配ったり、スタッフがアジャコングのメイク体験コーナーを設けてお客さんを楽しませたりしていました。
昭和の頃にあったプロレスのような、人がうねりのようになって大盛り上がる光景が、いまだに佐渡にはあるんです。

——ちょっと踏み込んだことをお聞きしたいのですが・・・。資金面はどうされているのですか?

一回目は、プロレスを呼ぶのにいくらかかるかわからずに「やる」と決めて動き出しました(笑)

誰を呼ぶかによっても変わってきますが、なかなかの金額がかかるので、チケット売上だけではかなり厳しいです。
そこで、資金を作るためにやっていることは、佐渡島内で行われるイベントでの出店です。
仲間と一緒に出掛けていき、焼きそばやお酒を販売して、そこで得た売上をプロレスの為に貯めておくんです。

それと大きいのは、個人の方や企業様からの協賛です。
ありがたいことに、多くの人たちから資金面でも応援をいただいています。

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楽しいこと、おもしろい事をただやっているだけ

——酒販店としてのお仕事がある中で、プロレス大会の継続は大変ではないですか?

店売り、ネット販売、クロネコヤマトの宅配業の3本柱でやっています。
店売りは当日の午前中に注文を受けて、その日のうちにお店に届けるという形でやっています。

——他にはどんな活動をされているんですか?

地元ケーブルテレビ(佐渡テレビ)で番組づくり、子供を対象にした宝さがしイベント、小学校のイルミネーション設置をやっています。クリスマスイブにはサンタさんに扮して各家庭に行ってお菓子を配り、同日に飲み屋さんに行き栄養ドリンクと避妊具配りをしています。
あとは先ほど話しましたが、佐渡の各イベントで飲食販売の出店ですね。

——すごいですね。なぜ、そんなに活動ができるのでしょう?
楽しいと思っていることをやっているだけ、ではカッコつけすぎですね(笑)
目的や思いはあんまり前に出していないです。「一緒にお酒飲みながらお話しましょう」くらいの感じです。

——今、佐渡相川ではまちおこしの動きが高まっていますがどのように見ていますか?

自分たちの活動とは比べられない規模で動いていますよね。
中心になって盛り上げている車座のメンバーの皆さんは大変だと思いますが、相川の為に頑張ってほしいと思います。

どちらかというと、AWGPは「好きなことを好きな人たちに」提供していますが、町おこしは「優先するのは町の人の為に」となると思いますので、メンバーの皆さんには頭が下がります。

相川のひとは一度仲良くなると、とことん仲良くなる

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——雨宮さんのような二拠点生活の人や、移住などで佐渡に入ってくる人たちに対してはどう感じていますか?

雨宮さんとは初めて会った時からプロレスの話で意気投合したというのはあったんですけど、最初見たときからこの人とは合うなと思いました。

ある時、お尻の線がみえるくらいのゆるゆるズボンで呑んでたんです。それを見たときに「あ、この人は相川向いているわ!」って思いました。こういう田舎に向いている人だなと。

これがいつまでもスーツでいたり、ちょっとバリアを張ったりしているといつまで経っても、馴染めない。相川の為にいろいろやってくれているのはわかるんだけど、俺ら地元民とは違うしな・・・って感じになってしまうんですよね。

——なかなか難しいところですね。どうやったら外部の人が馴染んでいけるのでしょう?

難しいですよね。もともとこっちの人って、そんなに社交的ではないんですよ。
そのかわり一度仲良くなると、けっこう深く、とことん仲良くなったりするんですよね。わりあい田舎はどこでもそうかもしれないですね。

うちの嫁さんはもともと新津(新潟市秋葉区)出身の人。夏場だけホテルの仕事をするために佐渡相川に訪れていたんですけれど、だんだんおばちゃん達はやさしく接してくれるようになって、「うちの祭りに来いっちゃ!」って声をかけてくれるほど、とても親しくしてくれるようになりました。

今回みたいに外部の人でもプロレスを手伝ってくれたり、同じTシャツを着ていたりしていると、共通の話題ができてきて、その壁がだんだん薄くなってくると思うんです。そういう人が増えてくれるといいですね!

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■北村酒店(きたむらさけてん)
住所:〒952-1558 新潟県佐渡市相川2丁目45
ネット通販(楽天市場):https://www.rakuten.co.jp/sakesado/
TEL:0259-74-2256




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