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アル=ジャズィーラ記者シェリーン・アブー・アークレさん殺害への非難声明(翻訳)

5月11日、ジェニーン難民キャンプへのイスラエル軍の襲撃を報道していたアル=ジャズィーラ記者でパレスチナ系アメリカ人のシェリーン・アブー・アークレさんがイスラエル軍に殺害された。「紛争地」におけるジャーナリストの殺害は明確な国際法違反である。パレスチナでは、シェリーンさんの死は、イスラエルの違法行為の歴史を上塗りする新たな衝撃的な事件として受け止められ、イスラエルに違法行為の責任を追及する声がさらに高まっている。

シェリーンさん殺害に関わってさまざまな団体が声明を出している。本記事では、そのうちの4つの声明の翻訳を掲載する。掲載するのは、①アルジャズィーラ、②パレスチナ帰還センター(ロンドン)、③パレスチナ文学祭、④日本外国特派員協会 報道の自由委員会の声明である。これらの動きを参考に、日本でもイスラエルの違法行為への法的責任を求める動きを作っていきたい。

①アル=ジャズーラ(Al Jazeera)

アル=ジャズィーラはイスラエルによるシェリーン・アブー・アークレ殺害を非難する(5月11日)

https://www.aljazeera.com/news/2022/5/11/al-jazeera-condemns-israels-killing-of-shireen-abu-akleh

2022年5月11日水曜日の早朝、国際法と国際規範に違反する言語道断の殺害行為によって、イスラエル占領軍はアル=ジャズィーラのパレスチナ担当記者シェリーン・アブー・アークレを実弾で狙い、冷酷に暗殺した。彼女は記者の任務としてヨルダン川西岸地区のジェニーン難民キャンプへのイスラエル軍の襲撃について報道しており、記者であることを示す報道関係者用のジャケットをはっきりと身に着けていた。

アル=ジャズィーラ・メディア・ネットワークは、メディアの任務遂行を阻止することだけを意図したこの凶悪な犯罪を非難する。アル=ジャズィーラは、シェリーン殺害に対するイスラエル政府と占領軍の責任を追及する。同社は国際社会に対しても、イスラエル占領軍がシェリーンを意図的に標的とし、殺害したことを非難し、イスラエル軍に責任を負わせることを呼びかける。

イスラエル当局は、同じ事件の報道中に背中を撃たれたアル=ジャズィーラのプロデューサー、アリー・アル=サムーディーを標的にしたことにも責任がある。彼は現在治療を受けている。

アル=ジャズィーラはパレスチナにいるシェリーンのご家族と、世界にいるご親族に心からの哀悼を捧げ、彼らがどれだけ熱心に犯罪行為を隠そうとしても、実行犯を法的に訴追し、裁きにかけることを誓約する。

②パレスチナ帰還センター(Palestine Return Center、ロンドン)

パレスチナ帰還センターはイスラエルによるアル=ジャズィーラのパレスチナ担当記者の超法規的殺害を強く非難する(5月11日)

https://prc.org.uk/en/post/4397/prc-strongly-condemns-israel-s-extrajudicial-killing-of-al-jazeera-palestine-correspondent

ロンドンのパレスチナ帰還センター(以下、PRC)は、水曜日早朝の占領下西岸地区ジェニーン難民キャンプにて、イスラエルがアル=ジャズィーラの実績あるパレスチナ系アメリカ人記者シェリーン・アブー・アークレを殺害したことについて、最も強い表現で非難する。

イスラエルの占領軍はシェリーン・アブー・アークレの頭部を銃撃した。彼女はイスラエルの犯罪行為を報道している最中に殺害された。彼女は「プレス(報道関係者)」と書かれたベストを身に着けていた。

この殺人行為は、歴史の正しい側に常に立ってきた人々の声を沈黙させようとするイスラエルの絶えざる企てを示すだけでなく、占領下パレスチナにおける人権侵害を隠蔽し、人道に対する罪をごまかすための容赦ない試みを示している。

この凶悪な犯罪は、メディア記者用のベストを身に着けた記者に対して冷酷に行われたものであり、ジャーナリストやメディア関係者の保護を定める国際人道法、国際条約および国際規範に甚だしく違反している。

PRCは当該記者の遺族、友人、そして同僚たちに心からの哀悼を捧げる。歴史は、イスラエル占領下パレスチナに広がる、イスラエルの終わらない人権侵害のさらなる衝撃的な証拠として、シェリーンの身体にふりかかった血をいつまでも記憶し続ける。

③パレスチナ文学祭(Palestine Writes Literature Festival)

2022年5月11日
https://www.palestinewrites.org/news1/shireenabuaqleh

パレスチナでは今朝、アル=ジャズィーラに勤めるパレスチナ系アメリカ人記者シェリーン・アブー・アークレがイスラエル占領軍の狙撃手によって暗殺された。彼女がジェニーンで進行中のイスラエルによる攻撃をアル=ジャズィーラで報道しているさなかでのことだった。イスラエル人狙撃手がシェリーン・アブー・アークレの顔を銃撃し、頭蓋骨を打ち砕いた時、彼女はイスラエルの攻撃を報じる時は大抵そうだったように、前後に「プレス(報道関係者)」という文字が書かれた弾丸ベストを着ていた。現場にいた彼女の同僚記者たちはこの恐るべき殺人行為を目撃し、カメラで記録した。

シェリーン・アブー・アークレは20年間パレスチナでの事件を報道し続け、その間に彼女は皆から愛される人物となり、パレスチナ中のすべての人々からその名が知られ、イスラエルが隠蔽しようと努める事柄を勇敢かつ確実に伝える象徴的なジャーナリストだった。

彼女への言語道断の殺害は、パレスチナ人の声を沈黙させるために続く試みゆえにイスラエルによって暗殺された著名人たちの長いリストに連なっており、パレスチナ文学祭に集う我々はみな彼女の殺害に深く悲しみ、衝撃を受けている。

我々はシェリーンの遺族に心からの哀悼を捧げる。

我々は、国連、人権機関、世界中のジャーナリストたちに、イスラエルおよび狙撃手個人に責任を負わせるため、彼女の殺害についての調査を求める。我々はバイデン政権および国務省に透明性ある完全な調査を実施するよう求める。

国際的に承認された「ナクバの日」が近づくにあたり、我々はシェリーンおよびイスラエルの植民地主義とアパルトヘイトの真実を報道し続ける他のジャーナリストたちを記憶し、祝福する。我々は、ヨルダン川から地中海に至るパレスチナが解放されるまで、自らの声をあげ続け、彼女の名を記憶し、その名を語り続ける。

連帯をこめて
パレスチナ文学際運営委員会

④日本外国特派員協会(FCCJ) 報道の自由委員会

アル=ジャズィーラ記者シェリーン・アブー・アークレ殺害に対するFCCJの声明(5月12日)

https://www.fccj.or.jp/sites/default/files/2022-05/FCCJ%20Statement%20the%20Killing%20of%20Journalist%20Shireen%20Abu%20Akleh.pdf

FCCJ報道の自由(FoP)委員会は、昨日5月11日に起きたアル=ジャズィーラのシェリーン・アブー・アークレ(51)の殺害について早急な独立調査を求める。現場の目撃者たちは、この攻撃はアブー・アークレがヨルダン川西岸地区のジェニーンでの〔イスラエル〕軍と〔パレスチナ人〕抗議者たちの間の衝突を報道している最中で起きた、イスラエル軍による意図的な殺害だったと述べている。アル=ジャズィーラは、ヘルメットと「プレス(報道関係者)」とはっきり記されたベストを着ていた同社記者が、狙撃手によって「冷酷非道に」銃撃されたと述べた。アラブ系メディアはこの殺害を「処刑」と呼んでいる。アブー・アークレは15年に渡ってイスラエル・パレスチナ紛争を報道してきた。この事件では、アル=ジャズィーラ記者アリー・アル=サムーディーも負傷し、病院にて回復状態にある。

イスラエル軍は攻撃を受けた後に銃撃を行ったと述べ、アブー・アークレは交戦中に殺されたと示唆するが、FoPはイスラエル軍が過去にジャーナリストを標的にしたことで非難されてきた点に留意する。その後もイスラエルはAP通信やその他のメディア支局のオフィスが入るガザの建物を空爆の標的にして破壊した。

https://apnews.com/article/israel-middle-east-business-israel-palestinian-conflict-f595d0ea0a7e21a4e4974ae55e00024d

カタールのアル=ジャズィーラ・メディア・ネットワークが昨日発表した声明は、同社記者アブー・アークレに対する「国際法と国際規範」違反の「言語道断の殺害」を非難し、彼女の死を「凶悪な犯罪」と呼び、その死を通してメディアにメッセージを届けるさせることを阻止しようとしていると述べた。

我々はシェリーン・アブー・アークレの殺害をめぐる状況についての完全な調査と、違法な振る舞いが明らかになった場合はその責任者を処罰することを、すべての関係各所に求める。政府のために行動する兵士たちが、職務を全うしようとする報道関係者たちを威嚇し、脅し、殺害することは許されてはならない。

報道の自由委員会



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