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【楽器の話】これから楽器を始める人に向けて見てほしいエレキギターの代表モデルと楽器を選ぶ基準【ビジュで選ぼう】【Q&A付き】

今回の記事は、これからギターを始めたい!という人に
『最初のギターを楽しく良い感じに選んでほしい』
そしてあわよくば
『ギター(楽器)を楽しく続けてほしい』
目的で書きました。

『このギターはやめておけ!』みたいな話は一切出てこないので、その点だけはご安心ください笑


イントロ(読み飛ばし可)

僕は大学生時代に軽音サークルに加入し楽器を始めました。
最も演奏に打ち込んでいた時期は、学校内ではありますが2,3ヶ月に1回はライブをやっていました。
スクールには通っていませんでしたが、サークルのおかげで切磋琢磨できる相手が身近にて、何より継続的に人前に立つという行動が、楽器を続けるモチベーションの一つになっていました。(最近までモチベ迷子でしたが……笑)
そのまま好きが高じて楽器屋さんに就職。当時は主にエレキギター、ベース、アンプを担当し、2,3万円くらいのエントリークラスから3,40万円くらいのミドルクラスの楽器を中心に取り扱う部門にいました。

楽器屋さんは今は退職していますが、その後も楽器を始めたい、という友人の付き添いで一緒に楽器屋に行ったり、アドバイスめいたものを何度かしていました。


今はネットも普及して、初めての方にも優しいサイトデザインや、YouTubeなどで実際プロが初心者用の楽器をレビューする動画なんかも増えていますが、完全アマチュア目線の記事って少なくない?と、ふと思い立ちました。

需要がないから存在しない、とも思いましたが、僕が楽器を始めた時は楽器屋さんの「買わせてやる」オーラが怖くて、基本的についてきてくれた先輩の言うことしか聞いていなかったのを覚えています。
まあこれは店員さんの個性で、中には優しくヒアリングして根気強く楽器選びに付き合ってくれる店員さんもいましたが……笑

とにかく、楽器屋さんやプロミュージシャンのように、現場のプロの意見は正しいんだろうけど正しさを押し付けられてる感じがする、と言う方もいるのではないか。
という仮説を自分の中で立て、同じように思っている方に安心していただけるような記事があればと思い、今回書いてみました。

内容としては上述の思いに加え、自分の持っている知識のひけらかし共有と棚卸し、自分が楽器屋さんにいた時はこんな風に案内や提案をしていたなあ、という意識と、これといった肩書きのない超一般人がぶっちゃける楽器選びってこうだよね!と言う主観をそのまま文章に落とし込んでみました。


今回の記事と楽器を選ぶ基準(ここからは読んでください)

今回の記事について

今回は、恐らく最もプレイ人口が多いであろうエレキギターに絞って紹介したいと思います。
どの楽器屋さん、通販サイトを見ても、初めての方にオススメ!として選ばれるベーシックなモデルとその特徴を紹介。
各項目の最後に、「これは初めての人も安心して使えるな」と個人的に思えるモデルの、通販サイトへのリンクを貼っています。

極力専門用語は使わないように心がけていますが、もしわからない言葉があればコメントにお寄せいただけると幸いです。
個別にお答えするか、もし数が多くなりそうならまた別途記事を出したいと思います。

また、通販サイトのURLを貼っていますが、個人的には実際に楽器屋さんに行って、実物を持ってみるのを推奨しています。
お住まいの事情などで実店舗に行くのが難しい方もいらっしゃるのは十分承知していますが、お時間と予算が許す範囲でご検討いただければと思います。

次に楽器を選ぶ上で一番大切だと僕が個人的に思っていることをお伝えします。

楽器は見た目で選んでください

これは絶対です。楽器、特に弦楽器はまず見た目。
楽器によって弾きにくい、管理が大変、取り回しが難しいなど、初心者の方には正直オススメできないモデルがあるのも確かです。

でもその辺の知識や技術は買ってから覚えればいい事です。見た目が好みなら練習のモチベも上がります。練習を楽しくできれば上達も早くもっとギターが楽しくなります。
なのでまずはビジュがいいやつを選んでください。

そして例え他人からそのセンスを理解されなかったとしても無視しましょう。そのギターはあなたのセンスだからこそ光り輝くダイヤの原石みたいなものです。自分のフィーリングにあった、一番ビジュが良いと思うギターを選んでください。

ただ、初心者だからあんまり奇抜なのもちょっと……と言う奥ゆかしくシャイな方もいるでしょう。分かります。
そんな方は、これから紹介するギターの中から「これなら使ってみてもいいかな」「自分に似合うかな」と思うモデルを探してみてください。
形はもちろん色やデザインなど、似ているようでちゃんと比べると意外とちょっとずつ違います。

リンク先にあるモデルでも良いですし、違うメーカーの同じような形をしたギターの中から、自分のフィーリングにピタッとハマる一本を探すのも楽しいです。
自分で選んだその楽器はめちゃくちゃ愛着を持てますし、楽器を弾くのがずっと楽しくなると思います。

前置きが随分長くなってしまいましたが、以下の記事が、これから楽器を始めようとしている方のご一助になれば幸いです。


1.ストラトキャスタータイプ


Fender "Player II Stratocaster®"  (Fender国内公式サイトより引用)

ストラトキャスタータイプはこんなギター🎸

  • 多彩なコントロールとマイクによる豊かな表現力を持つギター

  • 体にフィットする薄型シェイプのボディ

  • 優れたプレイアビリティで世界中から愛されるスタンダードモデル

多彩なコントロールとマイクによる豊かな表現力

鋭いサウンドが特徴のシングルコイル・ピックアップ(マイク)が3つ搭載されており、基本の音色はエッジが立っていて煌びやかなのが特徴です。
ピックアップの組み合わせを切り替えるスイッチや、音量と音の明るさをコントロールする3つのノブを駆使することにより、ロックやポップス、ジャズ、メタルなどジャンルを問わないサウンドメイクを実現できます。

体にフィットする薄型シェイプのボディ

ギターが体に当たるお腹付近と、肘が当たるボディ下側が体にフィットするように切り出された"コンターカット"と呼ばれる窪みがあるのも、ストラトタイプの特徴。長時間の演奏もストレスなく行えます。
これは実際にお店に行って触ったり、実物を見るとわかりやすいと思います。

優れたプレイアビリティで世界中から愛されるスタンダードモデル

上述のコンターカットに加え、片側が大きく湾曲したボディシェイプ(シングルカッタウェイ)は高音域部分へのアクセスに優れ、演奏性が非常に高いのも特徴です。
これも弾いてみるとわかるのですが、高音域部分は体と腕の位置が近づきすぎてしまい、どんなギター、ベースを使っても大体弾きにくいです……笑

ストラトキャスタータイプ、通称ストラトタイプは音楽のジャンルを問わず、長時間弾いてもストレスが少なく、演奏が困難なポイントも構造的にクリアしており、その完成度の高さから世界中のトッププレイヤーから愛されています。

代表的なプレイヤーとしてはジェフ・ベックやエリック・クラプトン、ジミ・ヘンドリクス、ジョン・フルシアンテ、デイビット・ギルモア、スティーヴィー・レイヴォーンなど、レジェンド達だけでも枚挙に暇がありません。
メインで使っていなかっとしても、何年かギターに触れていれば所持していない(所持した事がない)と言うギタリストはいない、と言い切ってもいいくらいメジャーなモデルです。

ストラトタイプはプロアマ問わず世界中のギタリストが愛用しているモデルなので、様々なメーカーから様々なカラーバリエーション、カスタムバリエーションが登場しており、自分好みの一本を探しやすいのも魅力です!

オススメのストラトタイプ

ストラトキャスターを生み出した世界的ギターブランド、"Fender"が、廉価モデルとして展開しているのがSquier(スクワイア)ブランド。
本家ストラトの特徴を忠実に再現しながら、比較的お求めやすい価格で展開しているので初めての方にうってつけです!

予算に余裕があればこちらをオススメ!

こちらは本家Fenderが直営するFenderメキシコ工場で生産されたモデルです。木材やパーツ類のグレードが上がり、長く使い続けられます。


2.レスポールタイプ

Gibson"1959 Les Paul Standard Reissue"  (Gibson Japan 公式サイトより引用)

レスポールタイプはこんなギター🎸

  • 分厚く温かみのあるサウンド

  • 豊かな音の余韻

  • ガッチリしたボディとネック

分厚く温かみのあるサウンド

ストラトキャスタータイプと異なり、レスポールタイプはハムバッカーというピックアップが搭載されています。ストラトタイプに搭載されているシングルコイルに比べ出力が高く、厚みがあり、ふくよかでノイズの少ないサウンドが特徴です。また、重厚なサウンドメイクも得意なギターです。

豊かな音の余韻

レスポールタイプは楽器の構造上音の余韻(サステイン)が良く、伸びやかなサウンドも特徴です。ピックアップの特徴と相まって甘く豊かな音色を奏でる事ができ、ロックやポップスはもちろん、ジャズやカントリー、ブルースなどでも愛用されています。

ガッチリしたボディとボディとネック

上述の通り、レスポールタイプは全体的に分厚く、豊かなサウンドが特徴です。そのため本体の重量もストラトタイプに比べると本体が重く、厚みもあります。ネックもしっかりとした握り心地のある個体が多いのも特徴です。

独自の魅力を多く備えたレスポールタイプは、ストラトタイプ同様世界中のプレイヤーから多く愛されています。そしてやはりストラトタイプ同様、メインでは使っていなくても所持していないプレイヤーはいない、と言っても過言ではないスタンダードモデルです。

レスポールタイプを愛用するプレイヤーといえばジミー・ペイジ、ジョー・ペリー、スラッシュ、そしてB'zの松本孝弘さんと、こちらも挙げたらキリがないほど多くのプレイヤーが愛用しています。

余談(ぼっちざろっくと大好きなギタリスト三井律郎さん)

2024年に映画も公開され、大ヒットしているアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』(ぼざろ)の主人公、『後藤ひとり』ことぼっちちゃんもレスポールを使用していますね。彼女が使っているのはレスポール・カスタムという、ざっくり言うとレスポールの上位モデルになります。


アニメ気に入った人はぜひ原作も……


また、同じく登場人物の『喜多郁代』ことキタちゃんもレスポール・ジュニアという、ざっくり言うとレスポールのスチューデントモデルを使っています。これも立派なレスポールタイプのギターです。

【LIVE映像】結束バンド「星座になれたら」LIVE at 秀華祭/ 「ぼっち・ざ・ろっく!」劇中曲


ストラトタイプにも同じことが言えますが、同じような名前、形でもいろんなバリエーションがあるのも、ギターの面白いポイントかなと思います。

さらに言うと、アニメぼざろに関わる全ての楽曲に携わる三井律郎さん(The Youth,LOST IN TIME)もレスポールタイプを使用しています。(ストラトタイプも使っています笑)

TVアニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」劇中曲「星座になれたら」を弾いてみた by 三井律郎


個人的にLOST IN TIMEというバンドが大好きなので三井さんが大好きな作品に参加しているだけで嬉しいですし、ぼざろ楽曲の節々に三井さん、LOST IN TIMEの匂いを感じるフレーズが散りばめられており、楽曲を聴くだけでも青春が蘇ってくるような気持ちになります。

Gibson Japan公式サイトのトップには、三井さんとぼっちちゃん役を務めた声優の青山吉能さんが、Gibsonの代表モデルであるレスポールとES-335を構えて立っている写真が掲載されています。(記事を書いている中で知ってめちゃくちゃテンションが上がりました笑)
興味のある方は併せてご覧になってみてください。

オススメのレスポールタイプ

国産エレキギターを語る上で非常に重要なブランドの一つであるBacchus(バッカス)のレスポールタイプ。リッチな外観とレスポールタイプらしい分厚いサウンド、価格帯を感じさせない作りの良さを併せ持つ、エントリーモデルに最適なモデルです。

予算に余裕があればこちらをオススメ!

現在はGibsonの子会社となっているEpihone(エピフォン)製のレスポール。
こちらはネックのシェイプがやや薄めにデザインされており、本格的なサウンドと高い演奏製を両立しています。


3.テレキャスタータイプ


Fender "Player II Telecaster®" (Fender公式サイトより引用)

テレキャスタータイプはこんなギター🎸

  • 硬質でハリのあるサウンド

  • 実は甘い音も出せる

  • シンプルなコントロール

硬質でハリのあるサウンド
テレキャスタータイプ、通称テレキャスタイプは、なんと言ってもパリッとしたハリのあるサウンドが最大の魅力。一つ一つの音の輪郭がハッキリしています。特にピックでストロークした時のジャキジャキ感はテレキャスタイプならでのサウンドと言えます。

実は甘い音も出せる
さっき話した事と全く真逆の事を言っているように思われると思いますが、本当です。ボリュームや音の明るさをツマミで調整する事で、甘く温かみのあるサウンドメイクを実現します。
テレキャスタイプならではの煌びやかで甘いトーン、特に指で弾いた時のパツっとしたアタックのニュアンスは唯一無二の魅力があります。

シンプルなコントロール
ストラトタイプ、レスポールタイプと見比べてもらえるとわかりやすいのですが、ツマミの数が圧倒的に少なく、コントロールが非常にわかりやすくデザインされています。
ネガティブな面を言うと若干融通が効きにくい側面がありますが、それを補って余りある魅力を、テレキャスタータイプは備えていると言えます。

実はソリッドギター(中身が空洞でないエレキギター)として世界で初めて量産されたのが、このテレキャスタータイプです。細かい話が色々あるのですが、長くなるのでここでは省略します。とにかく大まかに言うとそうなのです。

そんなソリッドギターの元祖と言っても過言ではないテレキャスタータイプ愛用者としては、キース・リチャーズ、ジョー・ストラマー、ブルース・スプリングスティーン、国内では布袋寅泰さんや、RADWINPSの野田洋次郎さんなどが有名です。
また、コンパクトでシンプルなビジュアルから、女性ギタリストにも多く愛用者がいるのも特徴です。

ストラトタイプ、レスポールタイプに比べ若干不器用なところもあるテレキャスタータイプですが、唯一無二の個性がプレイスタイルも個性的なギタリストに愛されています。

オススメのテレキャスタイプ

ストラトタイプでも紹介したブランド、Squierのテレキャスタータイプです。エントリーモデルながら、テレキャスタイプの魅力をしっかりと再現しています!

予算に余裕があればこちらをオススメ!

こちらも上述のFender Mexico製のテレキャスター。
本家Fenderのピュアな"テレキャス感"を存分に堪能できます!


4.パシフィカ

YAMAHA公式サイト PACIFICAブランドページから引用

パシフィカはこんなギター🎸

  • YAMAHAならではの高いクオリティ、演奏性

  • ジャンルレスに対応できる圧倒的な柔軟性

  • 豊富なグレードバリエーション

YAMAHAならではの高いクオリティ、演奏性
パシフィカはエントリークラスでも上位モデルと変わらない多彩な機能を備えています。また、基本的なボディシェイプも変わらないので演奏性においても高い水準を保っています。

ジャンルレスに対応できる圧倒的な柔軟性
誕生自体が比較的新しいパシフィカは、これまで生まれてきた多くのエレキギターの長所、短所を捉えた上で開発されており、結果として全てのプレイヤーに最適な演奏を実現させるスペックを備えています。
高音域から低音域までバランスよく、煌びやかでハリのあるトーンから分厚くロック向きなサウンドメイクまで幅広く実現してくれます。

豊富なグレードバリエーション
価格帯によって楽器の作りや弾きやすさが変わってくるのはどのメーカーにも言える事ですが、パシフィカは明確にグレード分けされており、『上位モデルを使えばできる事が増える』がかなりハッキリしています。
今のモデルでは物足りなくなってきたな、と感じた時、使い慣れたフィーリングをそのままに上位モデルにスライドできるのは、パシフィカならではの魅力だと思います。

また、先ほど紹介した『ぼっち・ざ・ろっく!』のアニメ最終回でも主人公のぼっちちゃんがパシフィカを購入しています。作中では見た目が気に入った、という理由で選んでいましたが、あれだけテクニカルなプレイを実現できるなら、パシフィカという器用なモデルは選択肢として大いにアリだな、と感じました。

完全同スペックのモデルは残念ながら生産されていませんが(2024年9月26日現在)、ぼっちちゃんや作中のキャラがどんなギターやアンプを使っているのか、気になる方は是非YAMAHAさんの特設ページもご覧になってみてください。

オススメのパシフィカ

入門セットとして、最初に必要なものが一式揃っています。
楽器の性能については上述の通りなので割愛しますが、いろんな音楽をやりたい!という人が最初に選ぶには最適なチョイスかと思います!


【Q&A】楽器を最初に買うときによくある質問と買う前に楽器屋さんでやった方がいいこと

次に、楽器屋の店員として働いていた時や、辞めた後友人の楽器購入に付き合った時などによく質問された事をまとめました。
主観も入っていますが、ある程度楽器に携わる仕事をしていた人間の、客観的な価値観に基づいた意見の一つとして、ご参考にしていただければ幸いです。

Q.楽器ってそもそも何を基準に選べばいいの?

A.見た目→弾きやすさ→音

一番最初にも書きましたが、とにかく楽器は見た目、特に最初こそ見た目で選ぶべきだと思います。
楽器によって出来ること出来ないこと、得意なこと不得意なことがありますが、とりあえずその辺は全部一回忘れて見た目で選びましょう。
機能で選ぶない方が良いとは言いません。最初から多機能なモデルを買えば、その後買い直す必要も薄くなり、お財布に優しいのでそれそれで全然アリです。それで見た目も気に入ったなら最高です。
なのでまずは見た目で選びましょう。ビジュが良いギターを買いましょう。

次いで弾きやすさです。
長く練習を続ける上で、弾きやすい楽器というのは疲れにくくストレスレスになりますし、ライブでのパフォーマンスも十分に支えてくれます。弾きやすいというのはそれだけでメリットの塊のようなものです。
ただ、最初は何が弾きやすいか、と言うのは分かりづらいと思うので、個人的に大事なポイントだけお伝えします。ここをクリアしていれば「弾きやすい部類に入る楽器」と思っていただいてOKです。

  • ネックを握って左手の指の関節が痛くならない

  • ストラップをつけて立った時、楽器が左手の方に落ちてこない

  • 多少落ちるけど無理なく左手で支えられる

特に購入前は、ストラップをかけさせてもらい、実際に持った感触を確かめたり、鏡に映った自分の姿を見てみると良いと思います。
実際にそのギターを持ってステージに立つ自分の姿をイメージしやすくなりますし、楽器の重さ、バランスなどを確かめるには、立って持ってみるのが一番です。

最後に音です。
ストラトタイプ、レスポールタイプなどバランスの良さはありつつそれぞれに得意な音を出せるギターもあれば、テレキャスタイプのように唯一無二のサウンドを奏でるギター、パシフィカのように対応の幅が広くいい意味で尖った部分が少ないギターもあります。

ですが、物凄く雑に言うと、音は後でどうにでもなります。アンプとエフェクターという音を加工できる心強い味方がいますし、技術を突き詰めれば自分の狙った音は出せます。
もちろん楽器本来の個性によってどうにもなりにくい部分もありますが、それはどのギターを選んでも同じ事です。
それを踏まえた上で、自分の趣向に近い音の出るギターを選べば、より長く愛用できると思います。

Q.価格はどれくらいのものがいいの?

A.理想は本体で8万円以上、でも正直予算次第
先に断っておくと、上記に勧めた8万円以下のギターが悪いという話ではありません。これから始める方には最適と思えるモデルをそれぞれ選びました。
ではなぜ8万円以上からなのか、それは

  • 弾きやすい

  • 弾きやすいので練習のモチベーションが上がる

  • 上手くなると弾くのが楽しくなる

からです。この辺の差が出始めるのが大体8万円という価格帯からになります。そして値段で一番変わるのは、とにかく弾きやすさです。
ここで言う「弾きやすさ」とは、楽器の形状もありますが、それ以上に使われているパーツの種類や処理、楽器の重量のバランスなど、目には見え辛い細かい仕様の違いで生まれるものです。

弾きやすい楽器だと練習のモチベが上がり、上達の速度も早まります。
楽しくなると楽器自体を続けやすくなるので、予算に余裕がある方は8万円前後くらいのモデルで検討されるといいかと思います。

ただ、楽器は生活を圧迫してまで始めるものでもありません。
お小遣いやお給料など、それぞれのお財布事情が許すモデルを最初に買い、練習しながらお金を貯めて、ある程度技術が向上してモチベーションもある!というタイミングで上位モデルに買い替える
と言うルートが一番ベターだと思います。

また、工業製品である為、楽器は使っていればいつか故障するものです。
その場で治せるような故障もありますが、預かってもらうような故障の場合、短くて1~2ヶ月、長いと半年以上かかる場合もあります。

最初にエントリークラスの楽器を買っておき、いつか新しいモデルを買っても、いざという時に備えて手元に残しておく選択肢は全然アリだと思います。

Q.左利きなので左利き用のギターを買った方がいい?

A.右利き用を買ってください

好きなアーティストが左利きとか、喉から手が出るほど欲しい左利きモデルがあるとか、よほど差し迫った理由がない限り右利き用を買ってください。
理由は一つで、右利き用の方が圧倒的に種類が多いからです。
種類が多いので欲しいモデルやカラー、デザインを選びやすく、万が一の時の代替機も見つかりやすいです。
最初に左利き用を選びそれに慣れてしまうと、これらのメリットを全て受けられなくなります。

「左利きだから右利き用だと上手く練習できないのでは?」と言う不安もあるかと思います。ただ、0から始めると右利きの人が右用のギターを買っても最初は必ず不器用になってしまうので、正直あまり関係ないです。

なので右利き用を買ってください。

Q.初心者用セットって買った方がいい?

A.できれば買ってください

ストラップやチューナー、シールド(ケーブル)など、楽器を始めるにあたって必要なものがまとめてパッケージされたセットです。


買った方がいい理由は以下の2点です。

  • 個別に買うより圧倒的に安い

  • 必要なものが全部揃ってるので困った事があった時すぐ対応できる

買った後で「これどうしよう」「あれ足りなかった」が防げますし、必要最低限のクオリティのものが揃っています。もし物足りなくなったら買い足す方向で行けば問題ないです!
アンプについてもあった方が断然良いです。
ギター、ベースなどのエレキ楽器は、アンプに通すことで最高にカッコいいサウンドを体感できて、練習が楽しくなります。殆どの練習用アンプにはヘッドホン端子がついてますし、初心者用セットにヘッドホンも付属している場合も多いので、騒音対策にもなります。

ここからは少し細かい演奏面の話になりますが、ギターもベースも「音を鳴らす技術」と「音を消す技術」がどちらも非常に大切です。
ギターもベースも「鳴らしてはいけない音」と言うものが存在します。基本的に必要な音だけを出し、それ以外は鳴らさないのがマストになります。
音を鳴らす技術は非常に大切ですが、音を消す技術も同じくらい大切な技術なのです。
アンプに通さないと「鳴らしてはいけない音」に気づき辛いので、嵩張って部屋の中に置いておくの邪魔だなあと思ってもアンプは最初は持っておいた方が上達の早道になります。

一つだけ例外

唯一個別に買った方がいいと思うものがあります。
それはチューナーです。
正しいチューニングをする、なんてのは当たり前のことのように思いますが、安いチューナーを使うとピッチが微妙に不安定になり、その微妙な差がアンサンブルで致命的な不協和音になってしまいます。

個人的にオススメのチューナーを紹介するので、もし予算に余裕があれば検討してみてください。

ヘッド(楽器上部分)に直接取り付けるタイプなので、シールド(ケーブル)を使わずに使用できます。携帯にも便利ですし、このモデルは精度も非常に高く細かな便利機能も多数備えています。アコースティックギターやベースにも勿論使えます。オススメです。

Q.新品と中古、どっちがいい?

A.個人的には中古の方がいいです!
僕は個人的な趣味もありますが中古推しです。なんと言っても安く買える!
メーカーやモデル、年代にもよりますが、中古だと大体新品の50%~70%くらいの価格で購入できます。これだけで上述の価格の問題を一気にクリアできます。爆アドです。
ただ、中古なのでデメリットも当然存在します。
メリット、デメリットを挙げるので、それぞれ精査していただき、新品と中古どちらを買うか、ご判断いただけると幸いです。

中古楽器を選ぶメリット

  • 新品の50%~70%くらいの値段で買える

  • 人と被りにくいのでより個性を出せる

  • 運が良いとパーツが上位モデルに改造され、付加価値が上がっているものもたまにある

  • 運が良いとレアモデルに出会える可能性がある

  • 楽器屋さんの保証がついてる場合が多い

中古楽器を選ぶデメリット

  • メーカー保証が受けられない

  • 楽器屋さんの保証がない場合もある

  • 大体傷がついている

  • 本来の性能を発揮できないような改造が施されたものもある

  • 故障した場合、最悪修理できないケースもある

ザッとこんな感じです。
特に重要な点をピックアップして解説します。

・保証
メーカー保証と楽器屋さんの中古保証の範囲は異なるので、この辺は購入した店舗の店員さん(ネットショップならメールなどで)に問い合わせしたほうが良いのですが、基本メーカー保証の方が期間も内容も手厚いです。
特に複雑な機構を備えたモデルは、メーカー純正のパーツなどでないと修理自体できない場合があります。そしてこれも内容次第ですが、新品だと無料なのが、中古保証だと保証対象外になり、それなりの修理費用がかかるケースがあるのは事実です。
万が一の時に望まない修理や改造を迫られる可能性があり、費用がかかるリスクを背負うのは、中古楽器購入時のデメリットと言えます。

これらを踏まえた上で、予算に合わせて新品、中古、どちらを買うか選んでみてください。


ギターを続ける為に

ギターに限ったことではありませんが、何事も継続するのは結構大変なことです。ギターも「触ってみたら思ったより難しい……」と挫折してしまう方もいるかと思います。

ただ、生活環境の変化など自分の力ではどうにもならない理由であればともかく、難しいから、で諦めてしまうのは少し勿体無い気がします。
難しくても、続けたい。そう思えるモチベーションの源泉に、自分の趣向にあったギターを選ぶ、というのは非常に重要なファクターかと思います。
気に入った洋服を選ぶような感覚でギターを選べば、その服を着て気持ちよく買い物に出られるように、気持ちよくギターを弾き続けられると思います。

その上で、例えばスクールに通って技術を効率よく伸ばす、そこで友達も作る。友達とバンドを組んでスタジオに入る。そのバンドでライブをやる。
あるいは、1人で演奏するのが好きな人はDAWの知識も身につけて「弾いてみた」動画を投稿する。など。
短期〜中期的な目標を設定し、クオリティなんて気にしないで形に残し続ければ、きっともっと、楽器を弾くのが楽しくなると思います。


終わりに

かなり長い記事になってしまいました。一字一句漏らさず読んでくださった方がいらっしゃいましたら、本当にありがとうございます(泣)

多分に主観を交えながらあれやこれやと書きましたが、最初のギター(楽器)は、あなたが気に入る、納得のいくものであってほしいと心から思っています。この記事が、これから楽器を始めるあなたのご一助になれば幸いです。

本日も最後までお読みくださりありがとうございました。


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