見出し画像

株式会社コペルの倒産と障害福祉業界の未来~続報:債権者説明会~

前回の記事について、たくさんの方にお読みいただきましてありがとうございます。

記事をアップした直後はそれほどPVは上がらなかったのですが、数日たって、PVが大きく伸びてきました。
要因はGoogleの検索インデックスに登録されたからだと思います。
Googleで「コペル 民事再生」で検索した場合、1番目に帝国データバンク、2番目にコペルプラスの民事再生申し立てに関するリリース、そして3番目に前回のnoteの記事、4番目にコペルの民事再生申し立てに関するリリースという順番となっており、検索経由でご覧いただいた方も多かったと思います。

さて、今日は前回のnoteの続報として、2024年6月5日に行われた債権者集会の様子が、帝国データバンクの記事にあったので、そちらを見ていこうと思います。全文は以下の帝国データバンクのリンクをご覧ください。


■民事再生法に至った経緯
 幼児教室事業「コペル」、発達障がいがある児童を対象とした教育事業「コペルプラス」を全国各地で展開してきたが、教室運営に必要な人材確保や利用者の獲得に一定の時間を要したことなどによる採算性低下や、(株)ゆたかカレッジ(2022年8月に子会社化、福岡市博多区)の自立訓練・就労移行支援施設事業における新教室開校の遅延によって、業績・資金繰りが悪化し、自力での事業継続が困難となった。

倒産速報 | 株式会社 帝国データバンク[TDB]

まずは倒産の要因ですが、
「教室運営に必要な人材確保や利用者の獲得に一定の時間を要したことなどによる採算性低下」
「(株)ゆたかカレッジの自立訓練・就労移行支援施設事業における新教室開校の遅延」
と説明されていますが、直近で10億の利益を出した企業であることが本当なら、これほど短期間に事業継続が困難になるほどの業績悪化が起こるとは考えにくいですね。真の窮境要因が他にあるように感じます。

■スポンサー
外部のスポンサーを確保し、支援を受けて再建を図る予定。複数のスポンサー候補から意向表明を受けて最終段階に入っている。競争環境を維持するため、また、複数先で協議中でもあるため詳細は開示できない。民事再生手続き中の資金繰りについては、三菱UFJ銀行からDIPファイナンスを受けており確保できている。

倒産速報 | 株式会社 帝国データバンク[TDB]

スポンサーについては、複数スポンサーからの支援表明があるとのことで、債権者の方にとっては、債権のカット幅が小さくなりそうな雰囲気は感じます。
当然ながら、前期10億の黒字ですから、多くの金融機関やフランチャイジーの方にとっては民事再生申し立ては寝耳に水だとは思いますが、同じく最近破綻した北浜グローバル経営を思えば、まだ戻ってくる元本があるだけ良いと考えるしかありません。

ただ、金融機関などの債権はカットされたとしても、加盟金を支払ってまだ出店できていないフランチャイジー、出店はしたものの赤字が続いており、安心保証支援パックの黒字保証を受けていたフランチャイジーなどの取り扱いがどうなるか気になるところです。

■今後の予定
6月中 スポンサー決定、事業譲渡契約等の締結
7月中旬以降 債権者説明会
7月中旬~下旬頃 事業譲渡の許可決定
8月下旬~10月下旬頃 再生計画案の提出 

倒産速報 | 株式会社 帝国データバンク[TDB]

スケジュールも出てきています。この記事を書いている6月中にもスポンサーが決定され、事業譲渡契約の締結が予定されています。
そのうえで、債権者説明会を実施し、7月中に裁判所から事業譲渡の許可決定を受けると書かれていますので、いわゆる計画外事業譲渡を取るようです。
負債69億のうち、さすがに金融機関借入が過半を占めると思いますが、不意打ちで民事再生をくらった金融機関が納得するかが事業譲渡許可のポイントでしょうか。

といっても、この業種、規模の事業を引き継げる先はかなり限定的ですので、事業の性格(社会的意義)も含め、最後は金融機関が折れるということになると思います。


次からは出席者との質疑応答です。

――スポンサー選定基準について教えてほしい
(申請代理人)支援額を含めた経済条件をベースに、事業の規模を基準としたい。コペルプラスについては公費事業なので社会的意義を理解してくれること

倒産速報 | 株式会社 帝国データバンク[TDB]

当然ながら、経済条件(事業譲渡価格)が第一条件になります。これは至って当然の回答です。

――少額弁済(10万円以下等)はされるか
(申請代理人)されない。少額でも再生債権となり、保全処分の例外には含めない。再生計画の中で変わることもあるがスポンサー次第

今まで私も複数の民事再生に関わってきましたが、多くのケースで少額弁済が設定されていたような気がします。
今回はそれがないということですので、10万円以下の債務の件数がそれほどないということなのかもしれません。


――ゆたかカレッジを法的整理から除いた理由は
(申請代理人)経営体が別で、ゆたかカレッジの資金繰りに問題はないため

倒産速報 | 株式会社 帝国データバンク[TDB]

最初に書いた民事再生申し立てに至った要因に「(株)ゆたかカレッジの自立訓練・就労移行支援施設事業における新教室開校の遅延」ってありますよね?矛盾しているような気がしますが…さて本当はどちらなのでしょう。


――業容を急拡大させた理由は
(社長)経済的に通えないという人も通えるように1000教室を目指してやってきたが、半分にも届かなかった。これは急拡大であったと反省している
(申請代理人)理念と目標を掲げながらの拡大をしていき、こういう事態となった

倒産速報 | 株式会社 帝国データバンク[TDB]

急拡大の理由を聞かれていますが、社長のコメントは答えになっていません。申請代理人の回答も、債権者からすると、聞きたいこととズレている、はぐらかしている印象ですね。


――いつから民事再生を考えていたのか?
(申請代理人)4月後半ごろから相談を受け、金融機関の借入金の返済猶予、スポンサー探索を検討してきた。スポンサーの意向と当社の資金繰り状況を踏まえると、このタイミングでの民事再生が不可避であるとの判断となり、5月30日の取締役会で決定した
(社長)4月末に金融機関に支払いの猶予をお願いすることになり、その時に石田弁護士に依頼した。最終的に民事再生が不可避という話になった

倒産速報 | 株式会社 帝国データバンク[TDB]

――決算書の会計処理は適切だったのか
(申請代理人)財務状況は財務アドバイザーが精査している状況。スポンサーが確定後に説明する方針

倒産速報 | 株式会社 帝国データバンク[TDB]

――5月24日時点では、4月末から返済猶予となった金融機関の借入金について債権カットは伴わないという説明だったが、1週間たらずで民事再生になった。何があったのか
(申請代理人)スポンサー候補の意向が示されたのが5月末。その際に民事再生手続きが不可避との最終判断をさせていただいた

倒産速報 | 株式会社 帝国データバンク[TDB]

この辺りの質問は金融機関からでしょう。
4月後半からスポンサーからの支援も含めた私的再生と、民事再生などの法的再生を並行して検討していたのでしょうが、結果として、金融機関としては裏切られた気持ちでしょうね。
もしかしたら、追加融資が受けられなかったことを考えると、ある程度、金融機関側も財務内容、資金繰りの怪しさに薄々気づいていたかもしれませんが…。

ただ、過去少なくとも5期連続黒字、かつ直近10億の黒字なので、格付(債務者区分)も正常先にしていたところが多いと思います。
正常先からの4月末のリスケ要請を受けて、格付見直しをして一旦要注意先に落としたら、すぐに破綻先になったという感じで、支店の担当者としては、前向きな業務は一切できず大変ご苦労されていると思います。


――オーナー制度はどうなるのか
(申請代理人)スポンサーの意向次第。

倒産速報 | 株式会社 帝国データバンク[TDB]

最後はフランチャイジー(加盟オーナー)からの質問ですね。
「スポンサーの意向次第」という何とも素っ気ない回答ですが、事業譲渡のケースにおいて、フランチャイズ契約って反故にできるものなのでしょうかね。

一般的には権利義務を事業譲受側が引き継ぐのかなとも思いますが、事業譲渡の内容が直営施設のみの譲渡(引継ぎ)で、フランチャイズ関連は事業譲渡の対象に含めない(コペルに残る)となると、フランチャイジーには多大な影響がでるでしょう。

事業譲渡後のコペルがどうなるかにもよりますが、直営施設のみ事業譲渡すると、コペルに残るのはフランチャイズ関連事業のみ。
直営が大失敗で経営が傾いたというよりは、フランチャイズ関連(安心保証支援パックなど)に問題があったとすると、従前のフランチャイズ契約が履行される可能性は極めて厳しいと言わざるをえません。

また、事業譲渡先が引き続きフランチャイズ支援をするケースでも、契約条件の見直しを迫られる可能性もあるでしょうから、7月の債権者説明会は要注目となります。


以上、帝国データバンクの記事から、コペルの第1回債権者説明会について見てきました。

最後に私も勉強させていただいている株式会社フリグマさんのコアフランチャイジー養成講座のリンクを載せておきます。
フランチャイズ加盟で失敗したくない方は、受講を検討されてみてはいかがでしょうか?


-------------------2024年6月25日追記部分----------------------

2024年6月24日にコペルプラスの認定FC(投資型ではない)関係者とおっしゃられる方から情報提供がありましたので、追記する形でこちらに書かせていただきます。
なお、本件については当方で事実確認がとれているわけではございませんので、情報をお寄せいただいた方の主張を簡潔に掲載いたします。
ちょっと事実と違うぞ?と言う方がいらっしゃればコメントやメール等でメッセージいただければと思います。

以下が関係者とおっしゃる方の主張です。

・各オーナーが責任をもって運営する【認定FC】はきちんと経営がされているケースが多いので、通われている方にはご安心いただきたい
・投資型FC(実質本部直営)は人員も含め本部に任せきりのため、投資型FCの要請に対応せざるを得ず出店スピードを優先させた結果、サービス水準が不十分で、人員が想定通り集まらず赤字となっている施設がかなりの数にのぼっている
・投資型FC運営に係る赤字を補填するため、契約金の引き上げ、更なる追加契約の促進、実質的に運転資金見合いの加盟金も売上計上など、利益の水増し(利益の先食い)が5年以上前から行われていた可能性がある
・認定FCのオーナーからは、投資型での無理な展開を危惧する声が以前よりあった
・福祉の業界もサービス業であり、最後は「人」であるので、無理なペースでの出店は禁物
・契約金(運転資金見合い含む)を売上計上することで、投資型FC(実質直営)教室の赤字(黒字保証制度含め)を埋めていたであろうこと等についてコペルを指導監督するはずのメイン行の責任は重いと思う
・信用調査会社についても、表面上の決算が良好のため高い評点がつき、信用調査会社の情報を信用して投資したオーナーも存在したはず。必ずしも信用調査会社の情報は実態をとらえた評点ではない可能性もあるので注意が必要

というようなお話でした。

皆様にエビデンスを提示することができないのでこの程度の表現にとどめておきますが、お聞きした情報が正しければ、私が最初に記事を書いた時点よりも状態は厳しいのかなという印象です。

結果的には、最も企業実態を把握しやすい立場にある金融機関と、安易に全部お任せの投資型FCに乗ってしまった方々が、今回の民事再生で最も大きな被害(債権カット)を受けることになります。
今後とも、「急成長」「●●保証」「投資型FC」というワードにはご注意いただければと思います。

なお、6月21日付でスポンサー選定に係るリリースが出されており、静岡の株式会社クラ・ゼミという会社が選定されておりますが、各オーナーが責任をもって運営されている認定FCに対する教材の供給が今後も行われ、投資型FCの施設も含め、利用されている方々が良い形で通い続けられるような再建案が示されることを願っています。


本件に関するお問合せ先

合同会社ビジネスデザインラボラトリーズ
担当:太田
TEL: 070-2826-0182
Email:mitsuru.ota@bd-labs.jp
お問合せは下記公式LINE等よりお問合せいただきますと幸いです。



弊社は補助金申請のサポートの他に、インバウンド(訪日外国人観光客)向けの集客支援サービス「ExchangePLUS事業」も行っております。
観光地で飲食店、お土産店、貸衣装店などの店舗を経営されている方で、訪日外国人観光客向けの売上を増やすことをお考えの方がいらっしゃいましたら、下記をご覧いただくか、公式LINE等からお声かけください。

また、2024年6月より 士業などのプロフェッショナル向けのスマホアプリの開発受託事業も開始致しました。

HPを持つのは当たり前の時代になりましたが、HPがあっても何もしなければ、誰もそこを訪れてはくれません。
facebookやtwitter(X)、YouTubeやInstagram、そしてこのnoteなどのSNSで情報発信を行うことはとても大切です。

また、最近は公式LINEを持つ方も増えています。しかし、公式LINEが増えすぎて、LINEがあふれかえっていないでしょうか?
では、今後どのような情報発信ツールが良いのかと考えたときに、士業など個人の能力で勝負をしていく職業の方が、自分(自社)のアプリを持つのが良いのでは?と思い、現在事業化を進めています。
スマホアプリを作るとなると、数百万?というお金がかかるのが当たり前でしたが、今は比較的簡単にオリジナルアプリを作ることができるツールが登場しており、もっとお安く制作が可能です。ランニングコストも数千円程度と士業など個人でスマホアプリが持てる時代になりました。
アプリを持つことで、より深く、より身近にお客様とつながることができるような取り組みを目指しています。
また上記の他にも、専門の知識や経験を持った各分野の「ガイド」が、その分野に関する信頼性の高い情報を掲載する総合情報サイト「All About」とリアルなつながりが強いことで有名なBNIをゆるやかにした組織形態を掛け合わせた、プロフェッショナルグループを作るべく現在検討中です。
士業に限らず、なんらかの分野で専門性をお持ちの方で、上記の取り組みにご興味がある方がいらっしゃれば、LINEからご連絡いただけると幸いです。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?