裏世界ピクニック二次創作案 小桜屋敷の夏
「どうすっかなあ・・・」
雑草が野放図に伸びた庭を眺めて小桜はため息をついた。
小桜はガーデニングに興味があるわけではないが、社会常識として最低限の庭の手入れは行なっていた。しかし庭にロクでもないものができてからは手入れはおろか近づくことすらなかった。
小桜はそのロクでものないものの庭に刺さった園芸用ポールを睨みつけた。
近所付き合いのない小桜としては、公共の道路にはみ出さない限りは庭は荒れ放題でも別に構わなかった。ただ、これから社会性を身につけていかなくてはならない霞のためを考えれば整備は必須となった。
しかしながら、庭の整備中に裏世界に行ってしまっては大事である。理由が理由だけに業者を呼ぶこともできない。
あの馬鹿ども・・・。
小桜の脳裏に能天気に笑う二人の女がよぎる。
紙越空魚と仁科鳥子。
裏世界という未知の脅威に気軽に出入りするヤバい女ども。彼女らの正気を疑う行動に幾度となく狂気と恐怖に巻き込まれてきた。
小桜が二人への恨み節を空に吐いていると、ある考えが浮かんだ。
「あの二人にやらせればいいか。」
「おじゃまします、小桜さん」
初めて見る顔もいた。
事前に空魚からもう一人人員増加をさせたい旨を連絡されていたので三人来ることは知っていたのだが、瀬戸茜理あたりだろうと踏んでいたのでだいぶ驚いた。
「初めまして。紅森って言います」
人懐っこい話し方をする子だと思った。また礼儀正しくも感じた。
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