野茂は自立主義者だ。Nomo is an INDIVIDUALISTS.

 雑誌はほとんど読みませんが、特集記事によっては、ときどき読む雑誌があります。『Sports Graphic Number』です。2020年8月20日発売の1009号の特集は【<メジャー挑戦25周年 完全保存版>こんな夜に野茂英雄が読みたい。】でした。ところで、こんな夜とは?
 野茂英雄ファンの私としては無視できない特集です。近鉄時代は藤井寺球場で、メジャー挑戦後はNHKのTVで応援していました(現地で応援できませんでしたが)。もちろん「ノモ16Tシャツ」も着ていました。野球ファンではなくても、野茂さんを知らない日本人は少ないでしょう。
 野茂さんを取り巻く渡米前のゴタゴタはいかにも日本らしいですが、渡米に否定的な人物が本物だったのか偽物だったのかを、渡米後の野茂さんの活躍が結果的にあぶりだすことになります。それが個人的に、とても痛快です。野茂さんのメジャーでの活躍はすでに伝説ですが、その精神は現在も「ノモ・ベースボール・クラブ」に脈々と息づいています。野球への深い愛はもちろん、その恩を次の世代へ返そうとする姿勢が感じられます。
 野茂さんが渡米した25年前といえば、神戸では地震がありました。大阪市内に住んでいても、部屋は滅茶苦茶で、携帯は繋がらず、歩いて会社に行きました。東京ではカルト教団の犯罪もあり、大阪の地下鉄でも乗るのが怖かったことを覚えています。そして今、コロナ禍での、あらゆる閉塞と、それを超えていくための、さまざまな変化を求められています。だから変革を怖れない自立主義者としての野茂英雄の精神を、今こそ、取り戻す必要がありそうです。

追伸

 野茂さんは私の好きな佐野元春さんの曲が好きです(佐野さんの曲を進めたのは吉井理人(NYメッツのチームメイト)さんで、3人で対談していたTV番組を昔観た記憶があります)。マウンドに立つときは『彼女の隣人』を、19996年のノーヒットノーラン達成前には『サムデイ』を聴いていたそうです。引退後も野茂さんは、佐野さんの30周年記念ツアー(2011年3月大阪城ホール)でステージに登場して、二人でキャッチボールしていました。ちなみに佐野さんも、ここで紹介した『ナンバー』(1009号・66-67頁)に登場しています。佐野さんは野茂さんを自身の曲に絡めて『INDIVIDUALISTS(インディビジュアリスト=自立主義者)』だと紹介しています。『彼女の隣人』も『サムデイ』も『INDIVIDUALISTS』も、どの曲も素敵です。本当に。

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