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【映画鑑賞】2023年2月(10本)
あっという間に3月である。今年はちゃんと映画を見ていこうと思う。自分の内省、世界を少し広げる為に。今はそういう時期なのだと自分に言い聞かせる。血球全体がまだ少なく、ここ1年は健康と向きあう、そして自分の感情や感覚と向きあう。その為に映画というツールを利用する。いいかどうかは他人が判断する事ではない、ただ自分が決めた。
30年程前に人生に悩んだことがある。その時も映画を年間で200本見た。何となく自分の感性が整理され前へ出る気持ちが出てきたのを覚えている。30年経ってもやる事は変わっていない。人間そんなに変わらないものなのかもしれない。
さて今月観た映画を順位づけしてみた。
【第1位】ミナリ(2020年公開)
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最後の20分まで我慢して見て下さい。
アメリカの片田舎に引っ越してきた韓国の家族。農業の仕事に邁進する夫、片田舎に馴染めない妻、アメリカ育ちで心臓に持病がある息子、韓国育ちの姉。夫婦仲。兄弟仲はあまり良くなく不協和音が鳴り続けている。そしてそこに型破りな祖母がやってきてさらに不協和音が大きくなる。
噛み合わない続きの最後に脳卒中を起こし身体が不自由な祖母が大事な大事な農作物を燃やしてしまうという火事を起こしてしまう。余りの残酷さに口をあんぐりあけているとその時に3つの奇跡のような事が起こる。そこに登場人物は気づいていないしうっかりすると観客も見逃してしまう。
火事にも関わらず火の中に飛び込んで大事な農産物を運び出す呆れた夫に続いてあれ程反発していた妻が一緒に火の中に飛び込んで農作物を運びだす。そして最後は農作物を放り出して妻を助け出す夫。心臓が悪い筈の息子があれ程毛嫌いしていたお婆ちゃんに向かって走り出すシーンは感動的だ。
最悪の事の中に最良の事が混じっている。陰と陽。陰が極まれば陽となる。吹き荒れる不協和音を吹き消す為にあの火事という災害が起こっているように見えるのだ。そこにこの監督が描きたかった壮大な世界観があるように思えたのだ。
最後セリ(ミナリ)を父と息子で取りにいくシーンだけ見せて終わるが夫と妻の関係はどうなったのか、夫の事業はどうなったのか、お婆ちゃんと孫の関係はどうなったのか。何も見せずに観客に想像させるに止める。いやーそこ知りたいんやけどな。その物足りなさがこの映画を最良にしていると思うのだ。
【第2位】アナザーラウンド(2020年公開)
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ノルウェー哲学者のフィル・スコルドゥールの「人体の血中アルコール濃度を0.05%にするとパフォーマンスは最大化する」という与太話を40代超えたオッサン達が真面目に実験をするというだけのお話。
この映画は意外に学びが深い。だって「良い飲み」というのは意外に人生において重要かつ深淵なテーマ。自分は今は身体の為に余り飲んでないけど20を超えてから人一倍呑める身体であった為呑みまくった。結果あれは良い飲みだったなぁ、悪い飲みだったなぁというのがある訳で。多分これはnoteネタで1万文字くらいは書けそうだ。
自分が海外で旅行へ凄く言っていた時代。飲み&ダンスで海外の人達とコミュニケーションをとり周りを盛り上げたり交流を深めることが出来た。又会社生活でも地方へ出張行った時に名物を食しながら飲むなんてのもありそれらは楽しい思い出として残っている。反面癌にかかる直前の飲みで上司の愚痴と悪口と責任のなすり付け合いに発展した飲みは最悪だった。つくづく思うのは酒が悪いのでなく「良い酒の飲み方」「悪い酒の飲み方」があるだけなのだ。
このアホみたいな実験をする先生の生徒が飲みで緊張を緩和させて口述試験でキルケゴールについて回答する。「失敗した時に自分の不完全さを認める事。自分や他人を愛する為に」
そう!!その為に飲みの席というものはある。自分の愚痴や会社の悪口をいう為に飲みはあるのでなく周りとの距離感、関係性を改善したりするのに一時的なスパイスとして有効である。自分が大切なのではない、周囲との関係性が全てだ。だから血中アルコール濃度という数値が指標として大事なのではなく酒を呑むその瞬間の「感情」が大切なのだとこの愛すべきポンコツ映画を観て改めて感じた。
自分はダンサーだし最後の場面のような踊り狂いながら周りとの一体感を感じながら呑みまくった事は何度かあり既視感を感じた。あれは楽しい時代だった。
【第3位】Search(2018年公開)
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思ったより数十倍面白かった。
SNSやり取り、テレビ電話、原作などラップトップPCから見た絵で最後まで完結する物語。現在人はスマホ、PCなどデジタルネットがないと生きていけないし、むしろデジタルデバイスの方がこちらの方を観ていて我々が動かされているのではないか。そんな怖さがずっと奥底に流れる映画だった。
怒りのままにメッセージを送信しようとして思い直して取り消すなどはまさに日常のあるあるであり、そこを映し出す事によりPCを使っている人の心情も映し出してしまう。又ネットの世界では見えなくても良かったものを見てしまう。まさにオンラインに感情そのものが揺さぶられているのだ。
このアジア系アメリカ人のお父さんは物凄く凄腕のSearcherでありエクセルやSNSの使い方が上手くて早い。だが妄想を先に走らせてしばしば失敗してしまう。結果はハッピーエンドでネット社会の光の側面の部分が照らし出された結末だが影も忘れてはいけない。
【第4位】The Shape of Water (2017年公開)
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私には最初観た時、刺さらなかった。だけど何かを描こうとするアーティストとしての「意思」は感じた。
いきなり風呂場での裸のサリーホーキンスの自慰行為から入る。声を失ったお世辞にも美しいとはいえない清掃女と水中に住む怪物との愛の物語。1968年の冷戦下のアメリカは現在よりさらに生きづらかった筈だ。
観終わって2、3日経った後気がついた。あれは男女の性愛がテーマの映画だったのではないかと。清掃女と水中に住む怪物とのやり取りは卵のやり取りから始まる。つまり生殖の結果としての卵。仲良くなった女の子と一緒にお風呂に入るのはセックスよりもエロティックだなあ、とか思い返してみた時にこの映画が急にエロティックなものとして思えてきた。
怪物を虐待するマイケル・シャノンの肉肉しさは憎々しくもあり、それは彼の性行為にも現れている。対比するように清掃女と怪物の周りには常に「水」の気配がある。コップの中の水、雨、風呂。思えば水は我々の故郷であり、癒しである。
愛は本当に水の形をしているのかもしれない。
【第5位】Hustle (2022年公開)
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NBAのロッキー版で尚且つ現代風にアレンジしている。Netflixらしい映画。
ところどころにロッキーへのオマージュがあり意識はしているんだろうな。スカウトマンがスペインのストリートバスケットから引き抜いてきた選手をNBAに入れるサクセスストーリー。会話、展開がバスケットボール試合シーンも含めてリズムに乗っているし音楽も最高。
Never back down(決して屈するな)を合言葉にスカッとしたい日にお勧めの映画。
【第6位】アクアマン(2022年公開)
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海底王国アトランティスの末裔でありながら地上で育てられたアクアマンの物語。
アクアマンが海底でそして地上でと度肝を抜かれるアクションを繰り広げ続ける。ストーリーはかなりありきたりなんだけど展開の早さや場面の移り変わりで漫画的世界を見事に映画化している。
この映画はアクションと家族とロマンスの物語とも言えるが一歩引いてみると環境問題に遠回しではあるが分かりやすく警鐘を鳴らした作品と言えるだろう。普段地上に我々は住んでいる訳で人間のいない海中の事を気にはしていない。これでは海の王が攻撃してきてもしょうがないだろう。
主人公は胡散くささ満載のジェイソン・モモア演じるアクアマンだけど完全に常に映画の中心にあり心であるのはニコール・キッドマン演じるアトランナ王女だろう。アンダー・バード演じるメラ王女と漫画ワンピースを彷彿とさせる怪物魚類が住むエリアを抜けた無人島で母と再開するシーンは完全にこの映画のクライマックスだったし感動的なシーンだった。「ライオン」とかもそうだしニコール・キッドマンて悪女も演じられるけど聖母を演じてもピカイチなんよね。
子供が見ても大人が見ても想像力を掻き立てられる映画としてはかなり良い線いってるよね。
「陸と海で一つなのよ」
「国王を超える存在。それがヒーローよ」
【第7位】ブレット・トレイン(2022年公開)
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どうなんだろう、これは賛否が分かれる作品かもしれない。タランティーノのキルビルのオマージュなのかなと思って観てました。最近はこのタランティーノ的映画はついぞ無くなっていたのでその辺は楽しめた。
東海道新幹線て日本人の心象風景を占めているのは確かではあるが海外の人が切り取ると荒っぽくなっちゃうね。伊坂幸太郎の原作を基にしてるらしく原作も読んでないけど恐らくかなりデフォルメしちゃってるよね。てんとう虫もタンジェリンもレモンもいいけどいつも乗っている新幹線に殺し屋しか乗って来ない新幹線がどうも現実離れしすぎていて上手く乗れなかった。
多分そんな視点が入ってくる自分は頭が硬いのだろうか。このとてつもなくヘンテコな話やストーリーをヘンテコなママで楽しめる感性が必要なのだろうか。日本をリスペクトしてるのかディスられてるのかわからんかった。
最後何故かチョイ役で出てくるサンドラブロックが結構ハマり役で大物感あって良かった。
【第8位】The Swimmers :希望を託して(2022年公開)
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人は生まれてくる時に場所も家族も持って生まれた才能も選べない。そこに個人個人の責任はない。
前半はシリアの街、カルチャー、人との結びつきといった中東の美しさが描かれている。中東てただ怖いと思われがちだけど街は歴史があり美男美女の宝庫だし、踊る事が何よりも好きなんだよね。だけどそんなところでも命が危ないなら逃げるしかない。留まるも地獄、逃げるも地獄。何と日本で生まれたというのはラッキーなのだろうかと思う。映画「Flee」もそうなのだが亡命のシーン。その過酷さは見ていられない。
これは実話を基にしたドキュメンタリーだから最後のエンディングに本人のレースを見せて欲しかったね。
【第9位】Nope(2022年公開)
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No way out 系のB級映画だがクソ面白い。U nextで視聴。Nope!(嘘だろ)
単なるUFO映画と思いきや謎の電気を無効化する肉食動物というトンデモ設定。
途中の回想シーンで人に襲い掛かるチンパンジーもグロかったし、色々散らかりっぱなしで自由過ぎるけどラスト30分は魅せてくれたね。
【第10位】Cash Truck (2021年公開)
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可もなく不可もなしといった映画だなぁ。
ジェイソン・ステイサムが息子をキャッシュトラック強盗に殺されて復讐するギャングのボスという立ち回りで。どう考えても5回くらい死んでいる筈なのに不死鳥のように蘇ってくる。とにかく人があっさり死にまくって最後は復讐をドライに遂げて終わるという大筋としては捻りも何にもない映画なんだけど。
うん、でも悪い映画ではないよ。
Hが奥さんと喋る部屋、キャッシュトラック強盗のボスの部屋はお洒落で小物が効いていて音楽はモノトーン系の画像に合う流れ続けていてとかく丁寧に仕上げてはあるので最後まで観れる。逆にこのストーリー展開で最後まで魅せれるのはすごい事。脇を固める強面のキャストがとにかく良いチョイス。キャッシュトラック強盗のボスはどこかで観た事がある人だなぁと観ていたら「バーンノーティス」の彼だったのね。
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