見出し画像

Piano Album[Look Up At The Stars]ライナーノーツ

ライナーノーツをこちらに記載しました。
是非ご覧になりながらアルバムをお楽しみくださいませ。




あなたとの距離。

複雑さを受け入れていく音楽。

クラシック、ジャズ、エレクトロニカ、音響が一つの物語となった新しいピアノの表現。
シューマンの「子供の情景」にインスパイアされ制作しました。

電子音は全てピアノの音から制作されています。


1.Distance

“喧騒の中で、ダンスを踊っていたり、ピアノを弾いている人が見えます。子供か、大人かとい う区別も遠くなのでつきません。無邪気に遊んでいるように見えます。”

ピアノの即興とそれに合わせ反応する電子音。それぞれは独立しているようにも聞こえるが、 互いに反応しあったりと自由に展開していく。電子音とピアノの主体性が入れ替わる曲。


2.Sing

“遠くで踊っていた人に視点は移ります。歌を歌っているのですが、喧騒に紛れ遠くに聞こえま せん。彼(彼女?)からすると、全ての他の音は雑音となり、諦め、自らの声に耳を傾けていきま す。”

シンプルなテーマのピアノ小品。ピアノにまとわりつく電子音。先ほどの曲とは打って変わり、 全曲の中で最もピアノの音の距離が聞き手に近い音響になっている。


3.Lay

“自らを見つめると、心は平穏からは遠く、こちらも喧騒にまみれています。考えを巡らしても 全てはループのように思考が戻ってきます。自らをコントロールすることは不可能です。”

トッカータ風の作品。即興的に制作された演奏を編集した部分と作曲された部分を織り交ぜて いる。低音と高音のフレーズが定位置から徐々に交差していき、演奏なのか機械的な処理なの かわからない程に激しく展開していく。



4.Get rid of my anxiety

“平穏は自分の内面からだけでは得られないと気づきました。全ては遠く彼方に。それを受け入 れると世界は変わっていきます。”

シンプルなピアノループと、それに即興で合わせたピアノの曲。展開はゆっくりとリラックスを 誘い、アルバムのインタールード的な曲。


5.Chimaera

“世界は捉え方により全く変わりました。あらゆるものは逆に動いていきます。全ては複雑で捉 え辛くなっています。しかし、その中で何かを見つけようと動き始めます。”

ピアノと音響によるポストミニマル作品。様々な要素が反応に複雑に動き、展開も急スピード で進んでいく。電子音とピアノは複雑に混ざり合い、並列化していく。


6.Tomtom

“理解できないながらも大きな流れに身を委ねます。自分と外との距離、差異を見つめると、初 めて自分の存在を意識できます。内面を見つめる事と外を見つめることは同義だと感じます。”

無調的なピアノバラード。ピアノループは陰影のある和声を展開していく。途中長いドローンに 入り、ジャズ的でもある即興を繰り広げる。最後にはまた違った姿で曲が戻り、終える。


7.Look up at the stars

“空を見上げると。”

静謐なピアノアンビエント。全ては同一になり、喧騒も演奏の中に溶け込み、調和を得てい く。讃美歌にも、慟哭のようにも聞こえる。


本アルバムは、シューマン以外にもフランクオーシャンの[ブロンド]から影響を受けています。 また、アジア人であることを意識し、ノイズと捉えられる音も意図的に取り入れています。
曲、MV毎に高解像度なもの、劣化しているもの、音との距離感のバランス等様々ですが、それ自体を表現として取り込んでいます。
ぜひ楽しんで聴いていただければ幸いです。


ライナーノーツ by NAKAMURA Hiroyuki(UN.a)






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?