冬休み前の演出「心を育む語りと劇化」〜ペップトーカー❌ドラマディレクター
講話で何を話すか思い悩む時、語りのネタ本を散策することがある。サーっと目を通して、どれもいい話だなとウロウロしつつ、決め手となるのは、タイムリーなネタである。
そのネタを見つけるには、日常の生活舞台を「劇」としてメタ認知するところから始まる。
冬休みの前の最終日、インフルエンザ流行のあおりをうけて、欠席者がいたから、その文字が目に飛び込んできた。
その状況を乗り越える語りのキーワードは、ビタミンDだった。
本筋は「健康な体づくり」だが、月並みな伝え方では響かない。
たとえ、平凡なテーマであっても、
興味を引く「つかみ」にこだわることは、語り手として最低限の嗜みだ。
その「つかみ」との出会いは、何気ない日常の中にあった。
集会で講話をする日、出勤前に「つかみ」に出会う伏線があった。
「今日、話すことは決まってるの?」
「まあ、大体ね。でも、話したって、すぐ忘れちゃうんだよ。」
「そんなことないよ。子供はちゃんと覚えているよ。」
その時は、まだ、頭は”霧の中”だった。
そして、この霧が晴れる瞬間は来るのだが、それが直前になってしまうことが多い。
家族との対話で生まれた脳の空白を埋めようとしたのか、何気にチャンネルを変えると、トレンド雑貨の特集をキャッチ。そこでは、猫型のプリン容器、カレーライスの盛り付けに使える猫型のご飯容器などがクローズアップされていた。猫好きの私の目は釘付けになった。
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当初の構想は、学校の合言葉(わかる気、できる気、その気)を体で表現させること、これまでの活動を振り返り、自分の中での達成度を問うことを考えていた。
しかし、本をめくっているうちに、それとは全く関係のないところで、
「インフルエンザに負けてはいけないよ」という心の声と、
生活経験から得た知識「猫とビタミンD」が、脳神経系で繋がった。
それは、我が家は猫から学んだ生活経験と知識が豊富だったから。
構想段階で残ったのは”動作化”だけだった。
そして、直前に決まったネタと「猫のプリン」の脳内イメージだけを頼りに、即興的に講話を組み立てた。原稿なしで無駄な言葉のオンパレードだったが、子供たちは食い入るような視線とニコニコ反応を投げ返してきた。
そのシナリオを記す。
ここで終わると、普通の講話。
記憶に定着させるためには、聴覚だけでなく、視覚、体感覚へのアプローチを加える。
そこで、演劇的手法を使ったのである。
目的は、話した内容の一部を体の中に記憶させること。
そもそも、猫を飼ったことがなければ動きのイメージが湧かない。
経験のある子はイメージがあるから動きができる。だから、その様子を見て真似させればいい。
極力、指示命令型にならぬように言葉をかける。
それでは、このお話を体に覚えさせるために準備体操をします。
「まず、猫になってください。」
そして、演技している子を認める。そして、困っている子に反応を促す。
「おお、Aさん、猫みたいな手だね。」
「おやおや、まだ人間がいるな。周り見て真似していいよ。」
全員が何らかの動きをしたところで、次のアプローチをする。
「2人組か3人組でビタミンDになります。」
「アルファベットのDの形を作ってください。」
立位で動きを作る、床に寝て作るグループが出てきた。
それを見て、笑っている子たちもいる。
すかさず、立っている子を促します。
「ビタミンDを食べに行ってください。」
すると、促された子供たちだけでなく、周りで見ていた先生たちも喜んで食べに行く姿が…。
私も子供の中に入って、食べに行きます。
「おお、ビタミンDがあるぞ。食べちゃおう。」
”ティーチャー・イン・ロール”という名前の手法ですが、
先生が役になりきって劇の中に入っていき、意欲化を図るもの。
3年生の国語「モチモチの木」の授業で様々な演劇的手法を活用してみて、多くの気づきがあった。
子供にとっては、お行儀よく話を聞くことよりも、自分の感覚を駆使して体で表現する、役になりきってイメージを膨らませることの方が楽しく、理解も深まるということ。
また、対話的な学びの中で、自己理解や相手意識も高まるということ。
6時間の授業を通して、こうした経験則を得られたことが、今回のチャレンジ講話につながった。
振り返るに、講話というよりも、劇化講話という新たなカテゴリー。
やってみて、面白い。
バリエーションを増やしていくと、子供たちが真似して、集会活動などで劇化を活用したプレゼンテーションをするのではないかと。
これまで、ペップトーカーとして、心に残る講話を工夫してきました。
今後は、ドラマティーチャーまたはドラマディレクターとなって、イメージを膨らませること、再現力・表現力を演出できるアーティストを目指してみようと。
愛されるカッコイイ講演家になるために・・・。
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