「教えないスキル」前編

今日は佐伯夕利子さん「教えないスキル ビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術」を読んで感じたことを本文の内容を交えながら簡潔に書きます。


・「とにかく、一周しておいで」
これは古い慣習を壊す過程でベテランコーチなどは反発するが、まずは経験してみないとわからないよね、経験した上で今までのやり方が良いと感じたら戻せばいいよね、という思想を一言で表した言葉。とても響きます。

・「ペティコミテを許さない」
ペティコミテとはミニ会議を指し、日本でいう派閥ごとのひそひそ話だそう。これをされると組織が成長しない。
ペティコミテ、弊社にもあるような気がします。どうしてもこれできてしまいがちですが注意が必要ですね。

・否定の「なぜ?」ではなく問いの「なぜ?」
一方通行の指導(ここはこうしろ!あーしろ!)ではなくなぜその手段をとったのか?と傾聴するために選手になぜを問うも選手は否定されていると感じてしまった例。これも日常にありふれているように思います。ちょっとしたニュアンスも大切です。

・「いいね!」「ナイス!」・・・なにが?
スペイン語で「ビエン!(グッド!)」と練習中に連呼する指導者。しかしメンタルコーチから「その言葉に価値はあるのか?」と突っ込まれ閉口してしまったという例。これはまさに子育てにも当てはまる例で、「わあ~上手!」「すごい!天才!」とバカのひとつ覚えみたいに言っても意味ないわけです。なぜ上手と思ったのか?なぜ天才と感じたのか?それを言語化して伝えることで相手はどこに価値を感じてもらったのか初めて理解できます。

・叱っていいのは「attitude(姿勢、態度、取り組み方)」だけ
①attitude : 姿勢、態度、取り組み方
②aptitude : 適性、才能、スキル
③being : 存在、ありよう
この中で叱っていいのは①attitudeだけだよね、という話。
②を叱る、というより怒ると選手はどうなるか。才能や適性を責められたらやる気をなくすのは容易に理解できますよね。
③は論外。存在を否定するのは自殺に追い込むことと同義です。
練習に取り組む姿勢やチームの雰囲気を落とすような態度に対しては叱って正す必要があります。

・フットボールは想定していた現象が起きる可能性が圧倒的に低いスポーツ
これはティーチングばかりをした結果選手が想定外のシーンに対応できずパニックに陥る、という例。ああ懐かしきかな、私が高校生のときのサッカー部の監督がまさにこれで、部員みんなが「○○監督って理論しか言わない、言ってることはわかるんだけど・・・」と嘆いていたのを昨日のことのように思い出します。
これの対策はこれ!とはいかないのですが本書では
「人は知っていることしか見えない」、つまりその都度ピッチ上で選手が見るべきものが見えるように育てようね、と説いています。

・言葉はアクションを生む、アクションはパフォーマンスを生む、だからこそ注意深く言語化する
本書ではサッカーにおける言葉の意味をコーチが一方的に伝えるのではなく選手も主体的に理解に取り組み、チームで解釈を一致させることで言葉から想起される景色を統一した、という例。
言葉は私もすごく大切だと思います。人間の脳で考えられたことを言語化すると要素が圧倒的に削ぎ落とされてしまいます。だからこそなるべく脳内のオリジナルに近い状態を相手に伝えるにはどうすればよいか?を考えたりしますよね。
「納豆」と聞いて「おかめ納豆」を想起する者もいれば「くめ納豆」を想起する者もいるわけです。ここの解釈がずれたまま話が進行すると「(おかめ納豆の)たれ美味しいよね~」「(くめ納豆の)たれ?美味しいか?」「え?(おかめ納豆のたれ)うまいやろ」(以下略)


後編に続きます。



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