見出し画像

【ロマンスは別冊付録】いろんな愛が詰まってる

2019年のドラマ。主演はイ・ジョンソク、イ・ナヨン。出版社で働く人たちが繰り広げるラブコメディである。

「バツイチ子持ち彼女と年下イケメン編集長との恋」という感じの紹介が多かったからあんまり期待もしていなかった。でも、ここんとこアクションや権力の闇みたいなドラマを立て続けに観てしまったからほんわかしたくて、観始めたら最初からすごくおもしろいやん!!!

最終話まで一気に観た感想としては、胸キュンラブストーリー以外のエピソードに共感度が大きい。「ラブ」についても確かに、献身的でまっすぐな割に時々甘えたりからかったりしてくる自由自在な余裕を持ち合わせる年下彼氏が素晴らしく、こんな「弟分」がいたらと想像するだけで幸せになれる、ラブコメの王道である。

ただ、そういうドラマはいくらでもあるから、そのへんはもうね、いいんですよ。私としては。

むしろそれ以外の、主婦の再就職の厳しさとか、共働きでも子どもの急な発熱に対応するのは母親ばかりであったりとか、仕事一筋に生きてきて孤独を抱える感じとか、そういうエピソードに共感しすぎて切ない。日本も韓国も女性の置かれている状況が似ているから、他人事とは思えない。

それから、出版社で働く人たちの本づくりへの情熱とかプライドの描き方もすごく好き。長いものに巻かれ、強いものへの忖度に気を遣いながら働くのではなく、自分の意見をはっきりと言い合う会議の様子が素敵だと思った。言葉や知性への愛が詰まってる。特に9話でソン代理が涙ながらに本への愛着を語るシーンとか、最終話でのカン・ダニの譲れない一線とか、カッコいい!このドラマを作ったのは、本が大好きで言葉の価値を大事にしたい人たちなんだろうなとリスペクト。

最終話も幸せだった。採用方針の変更も、儲けることは必要だけど儲けだけがすべてではない現実路線も、一歩ずつ変えていくルールと変えてはいけない理念の対比として考えたらなんか深いなって気がしたし。

柴咲コウにしか見えない

ところで、イ・ナヨンは柴咲コウととても似ている。顔立ちだけじゃなくて、表情とかもすごく。演技が自然で可愛いだけじゃなく、大人の女性ぽさも十分で魅力的だった。よくおごってくれる綺麗なお姉さんの弟だったウィ・ハジュンはこちらでは頼もしく男っぽいキャラ。ヴィンチェンツォで保身に走り回った挙句に悲劇的な最期を迎えたチョ・ハンチョルはこちらでもやっぱりちょっと情けないおじさんだったけど、詩への情熱を熱く語る姿はなかなか良かった。そのほか、キム・ソニョン、カン・ギドゥン、オ・ウィシク、イ・ジウォン、キム・ガンフン・・観たことのある俳優や子役たちがいっぱい出ていて、それが分かるようになってきた自分にもよく分からない満足感!

月が綺麗ですね

「月が綺麗ですね」と言えば夏目漱石、けっこう重要な位置づけでこのセリフが使われている。そういえば別の韓ドラでもこのセリフを聴いたことがある。夏目漱石、韓国でも有名なのね。それに比べて韓国の有名な作家を私たちはどれくらい知っているだろう?最近は韓国文学ブームで次々と出版され、書店で見かけることが増えたけど、「韓国の文豪」は知らないなぁ。隣の国なんだから教科書に韓国作品が載ってても良いと思うのに、そんなのあったかな?私も、最近読書が進まないけど(老眼つらい)やっぱり本を読まないとな‥と改めて感じたし、韓国の古典にも挑戦してみようかな‥とか、真面目に考えたりもした。

仕事で疲れてほんわかしたいときにきっとまた観たくなる、ドラマでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?